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紛争予防に関する安保理公開討論(平成26年8月21日)
吉川元偉大使ステートメント(骨子)
1 冒頭
- 国連全体として,より効果的な紛争予防の取り組みに努力。一例として,早期警戒・早期対応のための国連事務局によるRights Up Frontの取り組みを評価。また,本日採択された決議を歓迎。
- 紛争の兆候を把握した際に,安保理,国連諸機関,さらには加盟国が,大規模な行動が必要となる前の段階で,迅速に手段を講じることが必要。同時に,紛争の再発防止のためには平和の構築も重要。世銀のWorld Development Report 2011によれば,2000~2009年に発生した紛争のうち,90%が紛争の再発によるものであった。
2 日本の取り組み
- 本年,自分(吉川大使)は,PBC教訓作業部会議長として,「国連ミッションの移行」をテーマに掲げ,紛争の再発を防ぎ平和構築を前進させていく上での課題や解決策について,シエラレオネ,ブルンジ及びリベリアを取り上げつつ議論をリードしてきた。
- 議論の過程において,移行に伴う以下の2つの課題が特定された。
- 継続的な財政支援
- 包摂的な政治プロセス
- 自分としては,年末までに,議長レポートを取りまとめる考え。
- PBCは,移行期において,平和構築の進展をモニターし,必要な場合には政治状況の変化等について安保理に報告するなど,紛争の再発防止に役割を担い得る。安保理との連携も強化していきたい。
(1)PBC教訓作業部会議長としての貢献
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<p>(2)日本の平和の定着支援 p>
- 日本は,人間の安全保障の旗振り役を担いながら,和平プロセスから復興開発に至る長丁場を後戻りさせないよう継ぎ目ない平和の定着支援を行っている。例として,アフガニスタンでは約6万人の元兵士の武装解除・動員解除,カンボジアでは小型武器の回収,地雷除去等を支援。
- また,人間の安全保障基金に対して1999年から毎年累計約3.9億米ドルに及ぶ拠出を行い,難民・国内避難民・元戦闘員の社会再統合等を積極的に支援してきている。
- 特に,アフリカに関しては,日本は,TICADプロセスを通じて,「平和の定着」を重点項目の一つに掲げ,アフリカ自身の取り組みを後押ししてきている。昨年横浜で開催されたTICADVでは,日本は,サハラ地帯及び大湖地域をはじめとするアフリカの平和構築・平和の定着支援(約5.5億ドル)を打ち出した。
- 日本政府は,2013年9月より,安保理決議1325号にかかる「女性・平和・安全保障に関する行動計画」の策定作業を,市民社会とともに,女性の参加を得つつ開始。また,紛争予防において女性が果たす役割の重要性に鑑み,国際場裡においても,女性のエンパワーメント支援に積極的に取り組んでいる。
- 日本は,積極的平和主義の旗印の下,引き続き国際社会とともに紛争予防に努力していく。
(了)