安全保障理事会 「児童と武力紛争」公開討論
我が国発言骨子(2014年3月7日)
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(児童兵)
●昨日、政府軍による児童の利用及びリクルートを2016年までに終了させることを目的とした、「児童は兵士ではない」キャンペーンが正式に開始されたことを歓迎する。そもそも、「児童と武力紛争」アジェンダが始まった主たる理由は児童兵の問題に対処するためであり、この問題は未だに重要性を失っていない。兵士となった児童は、教育を受ける機会を奪われ、紛争が終わっても社会復帰は簡単ではなく、社会にとっても大きな損失となる。
●我が国も児童兵の社会復帰のため、アフリカ・中東・アジアの各地域にわたり、二国間および国際機関を通じて支援を行ってきた。これらの支援は、紛争下の状況において、もっとも弱い立場にある児童を保護・エンパワーするものであり、まさに「人間の安全保障」の概念に沿ったもの。これまで我が国は、児童兵を含む兵士の社会復帰のため、過去5年間で約7500万ドル規模の支援を実施。その一例として、スリランカにおいて、人間の安全保障基金を通じて元児童兵が雇用につくための職業訓練の支援を実施。さらに今後、中央アフリカ共和国、コンゴ(民)、マリ、モーリタニア、南スーダン等で支援を実施していく予定。
(継続的侵害者)
●児童兵を含む「児童と武力紛争」アジェンダに対処するためには、特に児童に対する継続的な侵害者(persistent perpetrators)に注目する必要がある。過去5回の児童と武力紛争に関する事務総長報告の中で、30を超える組織が事務総長報告のリストに記載された。そのうち11の団体は過去10年以上一度もリストから外れたことのない、継続的な侵害者である。
●安保理は、こうした継続的な侵害者に対しては、資産の凍結の可能性等を含む強い態度で臨むべき。
●スリランカやネパールのように、リストから外された組織があることを歓迎する。また、なぜこれらのケースは成功したのかという、グッドプラクティスを検討することは、今後それを類似の状況に適用することにもつながる。
(PKO)
●PKOは、現地では特に児童の保護に注意すべき立場にある。他方、PKO部隊による児童の人権侵害の事例が指摘されていることを、国連は恥じるべきである。
●PKOは児童保護の模範として活動すべきである。PKOへの要員派遣国においては、派遣する要員の教育訓練等を徹底し、その要員が侵害者となるようなことが決してないようにすべきであり、そうした国々の責任が第一である。
(学校への攻撃と軍事利用)
●現在の「児童と紛争」アジェンダは、児童兵の問題に留まらない。学校に対する攻撃や軍事利用が新たな問題として認識されつつある。
●こうしたモメンタムが高まる中で、「ルーソン・ガイドライン」のドラフトが策定されたことを我が国は注目している。我が国は同ガイドラインの今後のプロセスに参加していきたいと考えている。