中東情勢に関する安保理公開討論(7月22日)
梅本和義大使(臨時代理大使)ステートメント(骨子)
ステートメント本文(英文)はこちら
1 中東和平
(1)ガザ情勢
●イスラエルによる地上作戦開始を含め、ガザ地区とイスラエルの間で暴力の応酬が激化し、犠牲者数が増大していることを深く懸念する。暴力が続き、パレスチナの武装勢力が国際的な努力を受け入れるに至っていないことは遺憾。
●日本としては、停戦の回復に向けた国際的な取り組みに役割を果たしていく。本日、安倍総理はネタニヤフ・イスラエル首相に電話し、最大限の自制を呼びかけるとともに、停戦実現に向けた勇気ある決断を要請した。また、岸外務副大臣がエジプト、ヨルダン、イスラエル、パレスチナ、トルコを訪問中である。さらに、日本は、UNRWA等と協議しながら、ガザへの人道支援を検討していく。
(2)和平交渉と日本のパレスチナ支援
●現下のガザ危機は、2国家解決に基づく公正、永続的かつ包括的な和平実現の必要性を浮き彫りにしている。国際社会が、ガザ危機を乗り越え、当事者間の交渉再開に向けた環境醸成を進めていくことが重要。
●日本は、2国家解決の達成を目指すパレスチナの国造りを今後とも支援していく。「平和と繁栄の回廊」やCEAPAD(パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合)等の日本の支援については、別の機会に説明することとしたい。
2 シリア情勢
(1)人道情勢
●人道アクセスに関する安保理決議第2165号が全会一致で採択されたことを歓迎する。総額275百万ドルにのぼるシリア人道支援を行っている日本としては、この決議によって、現場の状況が具体的に改善することを期待する。日本は、全ての当事者、特にシリア政府に対し、本決議にしたがって人道物資の搬入を可能とするよう要請する。
(2)政治プロセス
●日本は、デ・ミストゥーラ国連事務総長特使の任命を歓迎する。また、この機会に、ブラヒミ大使に謝意を表明する。
●シリア問題は、袋小路に陥っている。6月の大統領選挙実施と7月の大統領就任は、移行的な統治主体の樹立を含むジュネーブ・コミュニケと相容れず、遺憾。シリアとイラクの領域を跨ぐISILの台頭により、情勢は一層複雑化している。
●ジュネーブ・コミュニケに基づく政治解決によってのみ、シリア国民の苦しみを終わらせることができる。日本としては、新特使等と連携しながら、人道支援と政治解決への貢献を車の両輪として取り組んでいく。