「国連平和の鐘」式典に引き続いて,午前10時(当地時間)から,国連代表部と裏千家の共催により,国連本部内インドネシア・ラウンジにて,「国連創設70周年平和祈念献茶式・和合の茶会」が行われました。
裏千家から千玄室大宗匠の御出席を得て開催されたこの式典には,潘事務総長夫妻,リュッケトフト総会議長,吉川国連代表部特命全権大使夫妻の他,各国常駐代表(アフガニスタン,バングラデシュ,カザフスタン,ミャンマー,ネパール,パラオ,フィリピン,タイ,ベトナム,オーストラリア,ドイツ,ポルトガル,スロバキア,スウェーデン,ブラジル,コロンビア,グアテマラ,パナマ,レソト,チュニジア他多数)及び国連関係者,高橋在ニューヨーク総領事等併せて約100名程度が参列しました。
冒頭吉川大使から挨拶し,概要以下を述べました。
(1)国際平和の日にこの茶会をホストすることは大きな名誉。わずか1時間前には,事務総長と総会議長が日本庭園に設置された平和の鐘を鳴らし停戦と非暴力を呼びかけた。
(2)茶道の歴史は500年前にさかのぼり,以来日本人の伝統となって今では世界中に広まっている。茶道は,和,敬,清,寂という4つの原則で説明される。
(3)92歳の千大宗匠はこの茶会のためにはるばる京都からお越しになった。大宗匠は茶道の精神の普及に人生を捧げられた。また,日本国連協会の会長を10年以上務めるなど国連を支援し,これまで既に2度国連で茶会を開催された。これまでの御尽力に謝意を表したい。
(4)紛争が世界でうち続く中,平和を目指して努力することは我々の責務である。今日のこの式典により国連での協力を推進すべしとの我々の決意がより強固となることを期待する。
次に,千玄室大宗匠が挨拶し,概要以下を述べられました。
(1)国連代表部吉川大使との共催で,国連総会の始まりを告げる平和の鐘式典に続いて,国連創設の理念である平和を祈念する茶会を催すことができ幸い。また,潘基文事務総長,リュッケトフト総会議長,多くの各国常駐代表に出席頂いたことに感謝。
(2)500年前の戦乱の世の中で自分の祖先である千利休が茶道を創設した。利休は,皆が争う世の中で,争いを防ぐために茶をすすめ合って頂くことを提唱した。侍は常に帯刀していたが,茶室に入る際には刀を置いて丸腰で茶をすすめ合った。
(3)茶は元々は中国に端を発し,朝鮮半島を通じて日本に伝えられた。その日本で茶道が確立され,中国や韓国にも茶道を広めているのは,お返しの意味がある。
(4)本日は,茶を楽しむことを通じて,しばし平和について思いをいたして頂ければ幸い。
その後,潘事務総長が挨拶し,概要以下を述べました。
(1)本年3月に大宗匠にお目にかかった際にも感動的な茶会に参列し,大宗匠の元気なお姿を拝見した。大宗匠とは長年親交があるが,国連に対する大宗匠のコミットメントに感銘を受けている。
(2)今日の茶会は世界で苦難が続く時に行われている。しかしそれはまた希望の時でもある。国連は新しい持続可能な開発アジェンダを採択しようとしている。我々のヴィジョンとは,全ての人々が尊厳を持って生きる世界である。
(3)国連は第二次世界大戦の戦火から生まれた。元兵士である大宗匠御自身も戦争で多くの友人を亡くされ,それが平和を提唱する原動力となっていると伺った。
(4)茶会の美しさはその簡潔さにある。世界は多くの複雑な問題に直面しているが,我々は連帯し,人権,正義そして平和という共通の価値に基づき行動しなければならない。この茶会でインスピレーションを得てよりよい将来を目指したい。
その後,献茶の儀として,千大宗匠が,御自身が認められた掛け軸(「平和祈念」)と潘事務総長夫妻による御染筆(「Peace and Harmony through Tea. お茶を通じて平和と調和」)に対して,一碗のお茶を献じ世界平和を祈念された。続いて,和合の茶会が始まり,潘事務総長夫妻,リュッケトフト総会議長,吉川大使夫妻にお茶がすすめられた後,参加者全員に対して呈茶され,和やかな雰囲気の中式典は終了しました。
※式典の概要はUN WEB TVの動画でご覧いただけます。
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