2012年の活動

(1)国連の活動
ア 我が国は,中東地域の平和と安定や民主化への取り組みを支持する姿勢を国連で積極的に発信。中東和平に関して我が国は,11月、パレスチナにオブザーバー国家の地位を付与する総会決議採択に賛成票を投じた。


イ アフリカでは,マリ,ギニアビサウ,中央アフリカでクーデター等が発生し,コンゴ(民)東部で反政府武装勢力が活発化する等情勢が急変。国連は,アフリカ主導国際マリ支援ミッション(AFISMA)や,国連コンゴ(民)安定化ミッション(MONUSCO)などによる地域の安定化努力を強化。またソマリアでは,9月に8年間に及ぶ暫定統治期間が終了し,新政府が発足。南北スーダンでは,9月にAUの仲介で一定の合意に達した。我が国は,国連の安定化努力支援のため,国連南スーダンPKO(UNMISS)への部隊派遣,ガバナンス・治安部門強化支援や人道支援等の実施を継続した。


ウ 国連PKOについては,UNMISSにおいて陸上自衛隊施設部隊が活動を開始。ハイチでは,11月に,自衛隊施設部隊が約2年9ヶ月の活動を終了。東ティモールにおいては,我が国も派遣を通じて貢献したUNMITの活動が終了。UNDOFについては,12月,シリア治安情勢の悪化を受け,自衛隊部隊等が撤収した。


エ 我が国は,平和構築委員会(PBC)の主要アクターとして,PBCの機能強化に貢献した。また,「国民和解」では,我が国は,12月に,スリランカの国民和解促進を目的として,当地の国連常駐代表等とともに,国民和解及び復興プロセス視察プロジェクトを実施した。さらに,和平調停・紛争予防の観点からは,我が国は,国連政務局の信託基金への拠出(160万ドル)を通じ,イエメン,シリア,スリランカ等の中東・アジア地域における国連の活動を支援。


オ 軍縮・不拡散分野では,北朝鮮による4月のミサイル発射を受けて、5月には安保理議長声明が発出された。また,我が国は,大量破壊兵器の不拡散に関するセミナーを5月に開催し,北朝鮮の核開発だけでなく,通常兵器の不法取引にも焦点を当て,武器密輸や組織犯罪の対応に苦慮する多くの国連加盟国関係者からも高く評価された。8月に我が国は,国連小型武器行動計画第2回履行検討会議において,主要論点のファシリテーターを務め,成果文書の採択に貢献。さらに10月の第一委員会及び12月の総会においても,核軍縮決議及び武器貿易条約交渉に関する決議の採択に主導的な役割を果たした。


カ 4月,大陸棚限界委員会(CLCS)は,我が国が2008年にその大陸棚の延長申請を行った7海域のうち6海域につき勧告を採択し,日本の国土面積の約8割にも相当する大陸棚延長が認められた。一方で,9月には,中国が尖閣諸島周辺に独自に領海基線を定め,これを示した海図を国連に提出。これに対して,尖閣諸島が我が国固有の領土である等とする我が国の一貫した立場を踏まえ,中国の一方的な行為は国際法上根拠がないとの見解を口上書にて表明した。また12月には,中国及び韓国から,我が国との間での領海基線の距離が400海里未満の東シナ海海域について大陸棚延長の申請が行われた際には,国連海洋法条約上,かかる海域における大陸棚の境界は日中,日韓間の合意により画定されるべきであるとして,CLCSに対し当該申請を検討しないよう要請した。


キ また,我が国は国連の場において,あらゆる紛争は,法に基づき平和的に解決されなければならないという「法の支配」の考え方の重要性を一貫して強調し,9月に総会で開催された「法の支配ハイレベル会合」でも,我が国は,右を改めて強調した。


ク テロ関係では,6月,国連グローバル・テロ対策戦略第3回レビュー会合が開催され,国際テロ対策・組織犯罪対策協力担当大使が出席した。


ケ シリア問題,中東和平問題における安保理の機能不全を受けて安保理の権能についての疑義が指摘されるようになり,安保理改革の必要性についての認識は高まっているが,2012年中は,各グループの立場は収斂せず,実質的な交渉の開始には至らなかった。そのため,加盟国全体の関心も年々低迷し,政府間交渉も停滞している。


コ 行財政分野では、3月の第5委員会再開会期第一部では国連マネジメント改革チームの報告書の扱いが焦点となり,最終的に投票によって総会がマネジメント改革に対する関与を強める方向で決定がなされた。5月の再開会期第二部で議論された2012年7月から2013年6月までのPKO予算については,前期比6.6%減となる総額約73億2000万ドルで合意された。10月から12月に開催された分担率交渉では,我が国による積極的な交渉参画の結果,現行算定方式の維持で合意。この結果,我が国の2013-2015年分担率は10.833%となった(2010-2012年分担率は12.530%)。また2012-2013年予算に関して,2011年末の交渉において予算の計上が認められなかったインフレや為替変動分の予算について,2012年に実際に支出した費用を予算として認めることが合意された。また2014-2015年予算概算を,2010-2011年予算最終額を下回る5392百万ドルとすることが合意された。


サ 防災分野では4月に防災をテーマとした総会討論が実施され,7月に我が国は「世界防災閣僚会議in東北」を主催した。また、経済・開発分野で我が国は,6月にブラジル・リオデジャネイロで開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20)に貢献した。またポスト2015年開発アジェンダ・コンタクトグループの主催などを通じポスト2015年開発アジェンダへの日本の貢献を印象づけた。また9月には我が国が主導した「人間の安全保障決議」が総会でコンセンサス採択された。また,8月の国連地名標準化会合においては,日本海呼称問題に関するやりとりが生じたが適切に処理された。


シ 12月我が国とEUが共同提案した北朝鮮人権状況決議が総会にて初めてコンセンサスにて採択され,北朝鮮の人権状況に対する国際社会の強い懸念が明示された。また,我が国が主導するボランティア推進の一環として,ボランティア主流化決議を伯とともに提案し、総会にてコンセンサスで採択された。さらに,我が国の提案した「自然災害とジェンダー」決議案についてもコンセンサス採択された。


ス 引き続き国際社会に積極的に貢献していくため,以下の主要選挙に立候補して当選した。
・大陸棚限界委員会(CLCS)選挙(現職の浦辺徹郎委員が再選)
・国際刑事裁判所(ICC)被害者信託基金(TFV)理事会理事選挙
(野口元郎・元カンボジア・クメール・ルージュ特別法廷最高審裁判官がコンセンサスで理事に選出)

 

 

(2)我が国と国連との関係
第67回国連総会等への出席のため野田総理大臣,玄葉外務大臣が国連を来訪した。また,潘基文国連事務総長は7月8日の「アフガニスタンに関する東京会合」への参加のため訪日(外務省賓客)し、野田総理大臣への表敬、玄葉外務大臣との会談などを行った。


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