(1)国連の活動
ア 2010年、我が国は、安保理非常任理事国として2年目の活動に従事し、任期を満了した。任期中、我が国はP5との良好な関係と、E10の代表格としての立場を十分に利用して、安保理における各種合意形成を主導する役割を演じ、特に北朝鮮、イラン、アフガニスタン、東ティモール、PKO、作業方法改善等の分野において目に見える成果を上げることができた。また、4月には2度目の議長国を務め、同月には岡田大臣(当時)を議長として、平和構築に関する安保理公開討論を開催した他、安保理作業方法に関する公開討論を開催し、幅広い加盟国から安保理の作業方法改善の具体案を聴取した。こうした貢献を通じ、日本の安保理における貢献と共に、安保理を通じた日本の世界に対する貢献を幅広い加盟国に印象づけることができた。
イ 上記の非常任理事国としての活動は、我が国が国際の平和と安全の維持に責任をもって貢献できることを示したものであり、今後、安保理改革の実現を目指していく上でも、極めて有意義であった。第65回総会においては、安保理改革について、G4外相会合(9月)において今総会会期中に、具体的な成果を出すべく政府間交渉に積極的に参加することも表明した。
ウ 5月に開催されたNPT運用検討会議は、NPTの3本柱それぞれについて行動計画を含む最終文書を採択した。右には、オバマ政権の核政策の変更を踏まえた国際的な気運の高まりと共に、各国代表団が2005年のような失敗は許されないとの強い危機感を持って交渉に臨んだという背景があった。我が国の核廃絶決議案についても、12月の総会で共同提案国過去最多の90か国、賛成173を得て採択された。
エ 5月、我が国のイニシアティヴで人間の安全保障に関する総会公式討論を開催。7月には人間の安全保障に関する初めての総会決議が採択された。
オ 9月、第65回一般討論演説の時期に併せ、地球の持続性に関するハイレベル・パネル会合、MDGs首脳会合、国連生物多様性年ハイレベル会合、安保理首脳会議、小島嶼国開発ハイレベル会合等が開催された。
カ 3月、ハイチ支援国会合に岡田大臣(当時)が参加し、我が国の支援を表明した。7月、「UNWomen」の設立及び始動時期を定めた総会決議を採択。我が国は、執行理事会の初代メンバー(任期3年)になった。北朝鮮人権状況決議は、12月の総会で賛成106票を得て、2005年以来、6年連続の採択。また同月、我が国が提出したハンセン病差別撤廃決議が総会にて全会一致で採択された。
キ 行財政分野では人事制度改革が焦点となったが、職員へのインセンティヴと財政規律とのバランスの確保及び邦人職員増強の観点を踏まえて対処し、我が国の立場を反映した決議が採択された。国連職員が継続任用されるための条件については、マネジメントの観点から職員に競争を促す仕組みを導入した。フィールドにおけるPKO・特別政治ミッションの職員と基金・計画の職員との待遇格差是正のための措置が承認されたが、追加費用は国連事務局が自らの予算削減努力により捻出することが条件づけられた。我が国を含む過小・無代表国を対象とする採用試験(競争試験)に関しては、対象年齢の引き下げ等の我が国に不利な変更を阻止したことに加え、合格後の配置先拡大などの邦人職員増強に資する改革を達成した。
ク 重点分野における我が国の影響力を確保するため、以下の主要選挙に立候補して当選した。
・女子差別撤廃委員会選挙(6月)自由権規約委員会選挙(9月)
・国連行財政問題諮問委員会(ACABQ)委員(11月、代表部・杉山公使)
・UNWomen執行理事国選挙(11月)
(2)我が国と国連との関係
上記1(5)の9月の一連の会合に、菅総理、前原大臣、鳩山前総理、松本環境大臣が出席した。また、潘基文事務総長は8月に訪日(外務省賓客)、国連事務総長として初めて長崎を訪問し、広島の平和記念式典に参加した。ダイス総会議長は、10月に訪日(外務省賓客)し、名古屋の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)ハイレベル・セグメント開会式に出席、また、広島を訪問した。
|