市川小百合 一等書記官:「仕事への想い」

令和4年2月10日

担当業務

 2021年10月に独立行政法人国際協力機構(JICA)から、国際連合日本政府代表部(国連代表部)に赴任してきました。こちらに赴任するまで約3年間スリランカに駐在してりました。
 当代表部では60人ほどの日本人職員が働いており、私のように他省庁などから出向してきている職員が一定数います。赴任前は国連代表部は国連本部の中にあると思っていたのですが、実際は国連本部から徒歩10分ほどのビルの中に位置しています。
私は、開発分野の国連システムにおける中核的な国連機関である国連開発計画(UNDP)など、JICAと関係の深い開発に関わりのある業務を主に担当しています。
 JICAでは、相手国政府とのバイの協力、案件管理などが主な業務であったため、マルチ外交や各国際機関の執行理事会での他国との交渉の御作法などがよく分からず、戸惑いもありました。しかし、議論に参加すると、各加盟国の立場の相違が明確で非常に面白く感じています。各国代表部の担当官から背景などを直接教えてもらえるのが、国連代表部で働いている醍醐味だと思います。

 

仕事を超えた交友関係

着任から1週間ほど経った頃、前任者からの紹介でランチをした他国代表部の担当官と、その場で意気投合しました。サンクスギビング、クリスマス、ニューイヤーズ・イブを一緒に過ごしたり、彼女のご主人やお友達も交えて家を往訪するなど、家族のように仲良くしてもらっています。クリスマスにはサプライズでプレゼントと共に手紙までもらい嬉しくて涙が出そうでした。もらった手紙を部屋の1番目につく場所に飾っています。




他にも、離任の近い他国代表部の担当者が奥様とお子さんも一緒にランチに誘ってくれて感激しました。残念ながら、オミクロンの感染が広がっていたタイミングだったため奥様とお子さんとはご一緒できなかったのですが、仕事以外の話、ここに来る前の仕事の話など、話題は尽きませんでした。もっと一緒に仕事をして彼から学びたかったので、私も離任する時に他の代表部の方々にそう思ってもらえるような仕事をしようと思いました。
 

やりがい

私はカソリックの小学校に通っていたのですが、10歳の頃、シエラレオネで働くシスターのお話を聞いて、私が当たり前だと思っていた日常(3食ご飯が食べられる、勉強できる(筆記用具、教科書など自分の分がある、戦争がないなど)がとても尊く感謝すべき物であると気づきました。そして、発展途上国や開発に興味を持つようになり、15歳の時に、国連機関で働いている高校の先輩に国連本部でお話を伺う機会があったこともあり、漠然と私も国連と関わる仕事がしてみたいと思っていました。
 現在、発展途上国、開発、国連と子供の頃から関心のあった分野に携われていること、当代表部、他国代表部、国連機関の様々なバックグラウンドを持った素敵な皆さんと一緒に働けることの喜びを日々噛み締めています。国連職員という立場とドナーである日本政府の一員としての国連機関への関わり方は違いますが、日本だからできること、日本として何ができるのか考えながらの業務がとても楽しいです。
 

最後に

私は、新卒で民間企業に入社しJICAを経て出向という制度で代表部で働いています。まさか子供の頃の小さな夢が現実になるとは想像していませんでしたが、興味のあることを追い続けたらたどり着けることもあるのだと、今回このポストに配属されて実感しました。自分の不甲斐なさに落胆する時、諦めたい時、辛い時もありますが、それ以上の喜びがあります。この記事を読んでくださっている皆さんがご自身の目標や夢に向かって少しでも私もできるかも、挑戦してみようかなと思ってくださったら幸いです。私も、より良い世界に微力ながら貢献できるように邁進します。みんなが隣の人に救いの手を差し伸べられる世界になったら良いなと思います。
 もっと国内に税金を使った方が良いというご意見も多いと思います。私は開発の世界に染まってしまっているので、考えが偏っているかもしれませんが、日本は戦後アメリカをはじめ先進国の力を借りてアジアで初めて先進国入りしました。他の国に対してその恩返しができたらと思い働いています。
 自分とは関係ないと思っている世界、人、こと、(できたら発展途上国、開発、外務省、国連にも)に関心を持って頂けたら嬉しいです。