平和構築における国際金融機関(IFI)連携・民間資金動員に関するイベントの開催(概要報告)

令和8年6月23日


6月23日(米国ニューヨーク時間)、国連日本政府代表部において、国連開発計画(UNDP)及び国連資本開発基金(UNCDF)との共催により、「平和構築における国際金融機関(IFI)連携・民間資金動員に関するイベント」が開催されました。
 
本イベントは、平和構築ウィーク(Peacebuilding Week)の機会に開催されたものであり、脆弱・紛争影響下にある状況において、国連、国際金融機関(IFI)及び民間セクターがそれぞれの強みを活かしつつ、平和構築ニーズを具体的かつ投資可能な案件へと転換し、平和に資する資金をいかに動員・活用していくかについて議論することを目的としたものです。当日は、各国国連代表部、国連機関、IFI、市民社会等から約70名が参加しました。
 
今回のイベントでは、冒頭、御巫国連次席常駐代表から、脆弱・紛争影響下にある文脈において、平和のための資金は単なる資金動員ではなく、人間の安全保障及び人道・開発・平和(HDP)ネクサスの視点も踏まえ、効果的なパートナーシップにより対象を絞った平和構築支援とより広範な開発資金を結び付けることが重要である旨述べました。また、日本とUNDPが、国家のオーナーシップとパートナーシップを重視し、平和構築支援を現場における具体的な成果につなげるべきとの認識を共有していることに触れつつ、いかに現場の平和構築ニーズを地域経済の回復や開発資金の動員につながる具体的案件へと転換するかについて、事例に基づく意見交換を深めることが重要である旨強調しました。
 
また、野田章子UNDP総裁補兼危機局長からは、紛争の長期化、気候変動、避難・移住の影響が相互に連関する中、平和は単なる政治・安全保障上の目標ではなく開発の成果でもあり、若者の雇用、起業家の市場・金融アクセス、女性や若者の意思決定への参画等はいずれも平和の重要な構成要素である旨述べました。その上で、各国政府、国連、IFI及び民間セクターがそれぞれの強みを組み合わせる必要がある旨強調しました。
 
続いて、世界銀行、アフリカ開発銀行、UNDPのモーリタニア、パレスチナ及びスーダンの各国事務所並びに民間セクター関係者から、予防への投資、雇用創出、中小零細企業(MSMEs)支援、金融包摂、制度強化及び市民的インフラへの投資等を通じて、現場の平和構築ニーズを投資可能でスケール可能な具体的案件へと転換していく必要性について発表が行われました。特に、モーリタニアにおける国家予防戦略、パレスチナにおける早期復旧と市場活性化、スーダンにおける制度・市民的基盤の再構築等の事例を通じ、平和に資する資金の在り方について実践的な知見が共有されました。
 
更に、会合の参加者からは、脆弱な状況にある国における民間セクターの役割、若者や女性による起業・事業成長への支援、国家予防戦略における社会的結束、信頼回復、和解及びコミュニティ間対話の位置付け等について質疑・意見交換が行われました。
 
閉会挨拶では、エリザベス・スペハー国連平和構築担当事務次長補から、平和は投資の結果として自動的に生まれるものではなく、紛争感受性、包摂性及び現地の力学への理解を開発投資に組み込む必要がある旨述べました。また、平和のための資金を実効的なものとするためには、投資可能な案件の形成、制度面への支援、政治的取組との連動、国家のオーナーシップ及び幅広いパートナーシップが不可欠である点が強調されました。
 
本イベントは、平和構築における国連、IFI及び民間セクターの連携を一層具体化し、平和に資する資金を現場の人々、コミュニティ及び制度にとっての具体的な成果へとつなげていく上で、有意義な機会となりました。日本は、引き続き、人間の安全保障及びHDPネクサスの理念を踏まえつつ、関係国、国連機関、IFI、民間セクター等との連携を通じて、持続的平和に資する取組を推進していく考えです。