「2026年人間の安全保障アワード」授賞式イベントの開催について

令和8年6月22日
 


6月22日(米国ニューヨーク時間)、国連本部において、「2026年人間の安全保障アワード」授賞式イベントが開催されました。
 
「人間の安全保障アワード」は、人間の安全保障のメリットに関する人々の理解を深め、その認知度を更に向上させつつ具体的な実践を世界に広く普及させることを目指して、ニューヨークをベースに活動する「人間の安全保障フレンズグループ」の共同議長、すなわち日本、コスタリカ及びセネガルの国連常駐代表が新たに立ち上げたイニシアティブです。この賞は、世界各地で国連機関が実施した事業のうち、人間の安全保障が誇る価値を効果的かつ顕著に体現したプロジェクトの功績を称えるものです。
 
今回の授賞式イベントでは、冒頭、山﨑国連常駐代表から、人間の安全保障の意義と重要性を強調した上で、アワード創設の趣旨を説明したほか、受賞案件に共通する特徴として、個人の保護とエンパワーメント、人道・開発・平和のネクサスへの貢献といった、人間の安全保障の本質を顕著に体現していることを挙げました。また、ドゥ=クロー国連開発計画(UNDP)総裁(オンライン参加)及びラッセル国連児童基金(UNICEF)事務局長が基調スピーチを行い、それぞれの組織の活動における人間の安全保障の位置付けを強調したほか、人間の安全保障の促進に対する日本の貢献に敬意を示しつつ、アワードの創設を歓迎し受賞案件関係者の功績を称えました。更に、英利外務大臣政務官がゲストスピーチを行い、人間の安全保障フレンズグループによるイニシアティブを歓迎した上で、人間の安全保障に対する理解の増進とその効果的実践の拡大を通じて人々の尊厳が確保されることに期待を示したほか、日本政府として各国・国際機関や市民社会、ビジネスとの協力の下で解決策の共創を進め、「静かなリーダーシップ」を発揮しつつ普遍的価値を着実に守っていく意思を表明しました。
 
これに続き、人間の安全保障フレンズグループ共同議長から「2026年人間の安全保障アワード」の受賞案件が発表され、下記6件の事業の実施機関代表が記念トロフィーの贈呈を受けました(注:記載は裨益国名のアルファベット順)。
 
・「エクアドルにおける平和、安全保障、暴力削減のための能力」
 ※裨益国はエクアドル。実施機関はUNDP、国連薬物犯罪事務所(UNODC)、国連女性機関(UN Women)。暴力対策を「鎮圧」から「予防」へと変えるため、コミュニティ内の女性や若者が参加するセミナーの開催等を通じて、人間中心の視点を導入するための能力構築を実施。
・「オキエマン地域における森林再生、環境持続可能性、観光の促進」
※裨益国はガーナ。実施機関はUNDP、UNICEF、国連環境計画(UNEP)、世界保健機関(WHO)。植林支援や資源管理強化・環境保護のための能力強化を実施。
・「ネパール東部における洪水に対する事前対応」
 ※裨益国はネパール。実施機関は国連食糧農業機関(FAO)、国連人口基金(UNFPA)。洪水対応において早期の行動を促し、脆弱な世帯が食料、生計、母子保健、安全、尊厳を確保できるよう支援。
・「太平洋気候変動移住と人間安全保障プログラム」
 ※裨益国は太平洋島嶼国。実施機関はIOM、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)、国際労働機関(ILO)、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)。人間の安全保障アプローチを実践的に導入し、気候変動を受けたコミュニティの計画的移転において、予測・計画面での能力構築を支援。
・「セネガル国境地域における優先自治体における人間安全保障の強化」
 ※裨益国はセネガル。実施機関はUNDP、国際移住機関(IOM)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)。気候変動や人の移動、安全保障政策等が人々の生活に与えるリスクを分析し、その解決に向けた取組を推進。
・「シリアの多面的な危機における地域ベースの帰還支援」
 ※裨益国はシリア。実施機関はUNDP、UNHCR。アレッポ帰還民に対する法的支援や能力構築、地域復興計画の策定等を実施。
 
これに続き、上記受賞案件の代表が参加するラウンドテーブルが実施され、今回の各受賞案件が、それぞれどのように人間の安全保障の視点を取り入れ、いかなる効果を生んだかについて、活発な議論が行われました。
 
今回の授賞式イベントには、各国の国連代表部や国際機関から大勢が参加しました。イベントの様子は以下のリンク先(UN Web TV)にて閲覧可能です。
 https://webtv.un.org/en/asset/k15/k15en25cbr
 
「人間の安全保障アワード」の創設は、世界における同概念の認知度を更に高め、一層の普及を図る上で大きな一歩になるものと期待されます。日本は、本件イニシアティブの継続的推進を含め、引き続き人間の安全保障の更なる主流化に尽力していく考えです。
 
(参考)人間の安全保障フレンズグループ
 2006年にニューヨークベースの非公式・自由なフォーラムとして人間の安全保障フレンズが結成され、2009年までに全7回の会合を開催。これらの会合を通じた概念普及の結果、人間の安全保障の共通理解が記載された2012年国連総会決議66/290が採択されるに至った。国際社会が新型コロナウイルスからの回復を目指していくに当たり、人間の安全保障の概念に関する議論を再活性化すべきとの認識の下、日本、コスタリカ、セネガルの国連常駐代表を共同議長として人間の安全保障フレンズグループが再結成され、2021年6月に第1回会合、同年12月に第2回会合、2022年3月に第3回会合、同年12月に第4回会合、2023年4月に第5回会合、2023年12月に第6回会合、2025年3月に第7回会合、2026年5月に第8回会合が開催された。