気候変動と食料安全保障の国際平和と安全の維持への影響に関する安保理ハイレベル公開討論における穂坂外務大臣政務官のステートメント
令和6年2月13日
(Photo Credit: Ministry of Foreign Affairs of Japan)
議長
日本はこのような重要な会合を開催された議長のイニシアティブを高く評価 します。また、ブリーファーの方々の洞察に富むインプットにも感謝します。
気候変動、食料安全保障、紛争は複雑に連関しています。
我が国は、2022 年の国家安全保障戦略において、「気候変動は、人類の存在そ のものに関わる安全保障上の問題である。」と明確に位置づけ、国際社会での取 り組みを主導しています。
これらの課題は、小島嶼開発途上国(SIDS)をはじめとする脆弱国や途上国に とって重大な問題となっているだけでなく、国際の平和と安全に影響を及ぼし ます。ゆえに、安保理がこれらの課題に取り組むことが重要です。
安保理は、気候変動や感染症、食料・エネルギー安全保障といった様々なリス ク増大要因が脆弱な人々にもたらす影響に対処し、「誰一人として取り残さない」 との決意の下、「人間の尊厳」が守られ、強化される世界の実現に向けて努力し なければなりません。
議長
それぞれのリスクに個別に取り組むだけでは不十分です。我々は、社会そのも ののレジリエンスを高めることを含む包括的なアプローチが、平和の持続を構 築する上で重要であると考えています。
こうした観点から、日本は昨年、平和構築に関する公開討論を開催し、平和の 持続のために社会のレジリエンスを強化する「人への投資」の重要性を強調しま した。
また、先月には、日本はガイアナ及びモザンビークとともに、「紛争予防に関 するアリア・フォーミュラ会合」を共催しました。
我々は、女性や若者、脆弱な立場に置かれた人々のエンパワーメントを含む 「人道・開発・平和」のネクサス・アプローチを通じた紛争の予防と平和の持続 の重要性について認識を共有しました。
3月の日本議長国の下でも、このような課題に引き続き力強く取り組んでい く考えです。
議長
我々は、この問題によりよく対処するために、国連の機能を最大限に活用しな ければなりません。
特に、安保理は平和構築委員会(PBC)を一層活用していくことができます。 PBC は気候変動や食料安全保障など、紛争に影響を与えうる事項にも射程を広げ、 安保理に積極的に提言を行う必要があります。
日本は本年の安保理と PBC の非公式調整役として、平和と安全をより効果的 かつ持続的に維持するために、両者の緊密な協力関係を強化するための努力を 惜しみません。
議長
昨年5月,我々は、世界各地域を代表する国々とともに、「強靱なグローバル 食料安全保障に関する広島行動声明」を発出しました。
これは、差し迫った食料安全保障の危機に対応し、中長期的に持続可能で強靭 な農業と食料システムを確立するための包括的なガイドラインです。
包括的なアプローチは、気候変動に起因する既存のリスクの増大を食い止め るだけでなく、更なるリスクを引き起こす悪循環を断ち切るためにも有効です。
このような観点から、日本は、緩和と適応の両面における途上国支援を含め、 低排出で気候変動に強い開発に向けた各国の取組を引き続き支援していきます。
例えば、日本は 2025 年までの 5 年間で、官民合わせて最大約 700 億ドル規模 の気候変動対策資金を動員することにコミットしています。
我々の支援が、気候変動の影響を軽減し、食料安全保障への波及を防ぎ、紛争 の発生や悪化を抑制することに貢献することを期待しています。
議長
日本は来月、安保理の議長国に就任します。
人間の命、人間の尊厳が最も重要であるという原点に立ち返り、平和で安定し た国際社会の実現に向け、引き続き積極的に貢献していきます。
ありがとうございました。