第58回国連総会本会議における議題48「世界人権宣言の55周年」及び議題117(d)「ウィーン宣言と行動計画の包括的実施とフォローアップ」に関する日本政府国連代表部小澤敏朗大使ステートメント
2003年12月10日
議長、
日本政府を代表して、本日、国連人権賞を授賞された方々に心より御祝い申し上げたいと思います。受賞者の方々が人権と基本的自由の促進・擁護のために示された偉大な勇気に敬意を表します。彼らの卓越した貢献に対する本日の表彰は、世界中で日々人権問題の向上のために奮励している多くの人々にとって必ずや励ましになることでしょう。私は、故人権高等弁務官セルジオ・ビエラ・デ・メロ氏が、本日の我々を見守っているように思えます。我々には、彼の遺業を引き継ぎ、世界の人権の促進と擁護のために更に努力をしていく責任があります。
議長、
世界人権宣言の採択から55年が、そして、国際社会が人権の促進・擁護への誓約を新たにしたウィーン宣言及び行動計画の採択から10年が経過しました。その間、我々は目覚ましい進展を見ましたが、一方で、世界各地で未だ重大な人権侵害が起こり続けていることも認めざるを得ません。現実には、基本的人権とは当然に手に入るものではなく、個人、市民社会及び国家の、断固とした、かつ不断の努力によって初めて獲得し得るものです。そしてまた、人権を普遍的に向上させるためには、強力かつ継続的な国際協力が不可欠です。
日本は、人権分野の普遍的な基準・規範の形成における国連の役割を非常に重視しています。日本は、既に6つの主要な国際人権条約を締結しており、また、障害者権利条約を起草する作業部会の設置が決定されたことを歓迎します。我々は、同条約の策定作業に積極的に取り組んでいく所存です。
日本は、今年で設置から10周年を迎える人権高等弁務官を引き続き支持します。我々は、人権高等弁務官がその任務を精力的に遂行して行くことを期待します。
議長、
日本政府は、人権は普遍的な価値であり、世界のあらゆる場所で促進され擁護されなければならないと固く信じるものです。従って、第一義的には各国がその国民の人権を保障する責任を負うものの、各国の人権状況は国際社会全体の正当な関心事項であるべきであると考えます。
我々は、特定の国の実際の人権問題に取り組むに当たっては、その国の特殊事情を考慮に入れながら、相互理解を促進することが必要であると信じます。かかる信念に基づき、日本は人権状況の効果的かつ実効的な促進の手段として、対話と協力を重視してきました。
議長、
本日の記念すべき日に、世界の平和と繁栄のためには基本的人権の尊重が不可欠であるとの認識を新たにすることが重要であります。日本が引き続き国連及び国際社会と緊密に協力しつつ、人権と基本的自由の保護・促進のためにあらゆる努力をしていくことを確約して、締めくくりの言葉と致します。
有り難うございました。
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