ハイチ情勢に関する国連安保理公開会合における本村大使演説(案)
2004年2月26日
議長、
我が国は、カリコムの要請により、本日、急遽、ハイチ情勢に関する公開会合が行われることになったことを歓迎します。これは、国際社会がハイチ情勢の悪化を懸念し平和的解決にコミットしていることの証左であると考えます。また、今月始めの暴力行為の開始以来、ハイチにおける安定回復のために、カリコム及び米州機構が中心となって行動計画をとりまとめるとともに、さらに、先週末以降、これら地域機関が米、仏、カナダとも協力して、現地にミッションを派遣し、政府と反政府勢力が受け入れるべき仲介案を提示し、両者に受け入れるよう働きかけてきた外交努力を高く評価します。我が国は、行動計画に含まれる要素は交渉を通じた解決のための重要な基礎になると考えており、両当事者が最大限の柔軟性を発揮して、対話を通じた平和的、政治的な解決を実現するよう促します。この関連で、本日、先程説明のあった仏提案に留意したいと思います。
我が国は、現地における紛争の継続とそれに伴って発生している食糧不足、保健、教育事情の悪化という人道上の問題に対し大きな懸念を有しています。かかる人道状況の悪化を食い止めるためには、暴力行為の即時停止が必要です。このまま紛争が継続し首都ポルトー・プランスまで拡大すれば、さらに大きな人的、物的損害が生じるものと懸念しています。
議長、
我が国は、94年にアリスティッド大統領が復帰して以降、無償資金協力を中心にハイチに対し、200百万ドル余りの経済協力を行ってきました。しかし、紛争継続による治安の悪化により、経済協力の実施は遅延を余儀なくされており、これがハイチの経済発展をさらに遅らせることにより、この結果民主的な政治システムが定着しないという悪循環を招いてきました。そして、その被害を被るのは、一般市民であり、特に女性、児童といった社会的弱者であります。我が国としては、紛争が早急に停止することにより、かかる悪循環を断ち切り、我が国を含む国際社会がハイチの経済発展のために協力出来る環境が速やかに整うことを希望しています。
また、我が国としては、緊急の人道状況に対応するため、安全状況が改善され次第、国連機関が中心となり、現地の人道ニーズをとりまとめるよう要請します。更に、関係当事者に対しては、かかる人道的活動のためのアクセスを認めるよう、また関係各国に対しては様々なチャンネルを通じて関係当事者に右を働きかけるよう強く要請します。
我が国としては、対話を通じた政治的、平和的な解決が最善の方策であると考えます。そのためには、関係当事者双方の努力が必要です。国際社会が結束して、ハイチに政治的安定をもたらすための継続的な努力を我が国も支持したいと思います。
議長、ありがとうございました。
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