国連総会一般討論における北朝鮮の答弁権行使と我が方よりの反論
2003年9月24日
1.24日午後の国連総会一般討論演説終了時(19時16分頃)、北朝鮮代表団が昨23日の川口外務大臣の一般討論演説に対し答弁権を行使し、概要以下の通り述べた。
(1)日本の外務大臣のミサイル問題、核問題、拉致問題に関する発言を完全に拒絶する。拉致問題に関し、以下の真実を各国代表に明らかにしたい。
(2)まず拉致問題は過去1世紀に亘る、日本の対北朝鮮敵視政策の結果である。40年に亘る日本占領下で840万人の朝鮮人が犠牲となり、20万人の朝鮮人女性が慰安婦として働かされたが、これらの行為は氷山の一角である。日本の大虐殺は数人の拉致被害者とは比べものにならない。日本はこの犯罪を隠蔽し、償いから逃れようとしてる。
(3)第二に、拉致問題は日朝平壌宣言でこの問題解決が約束され、訪朝した調査団にも情報を提供した。この問題は基本的に解決されている。残るは5名の生存者の北朝鮮への帰還を確保することである。これらの者は当初10~15日で帰るとされていた。
(4)第三にこの問題は人道問題であり、政治問題ではない。日本はあらゆる機会をとらえてこの問題を政治化しようとし、経済的な場にもこれを持ち出した。
(5)もしも日本が拉致問題を解決したいのであれば過去の犯罪を完全に精算することの方が先決である。
2.これに対し我が方代表団本村大使より答弁権の行使を求め、概要以下と通り発言した。
(1)我が国として、拉致問題が解決されているとは、全く認識していない。何よりも、昨年10月に25年振りに帰国された5名の拉致被害者が、それぞれの家族を依然として平壌に残したままであるという不正常な状態を一日も早く解消して、ご家族の帰国の実現を図らなくてはならない。また、拉致問題の真相究明等、引き続き徹底した問題の解決を図っていく必要がある。
(2)我が国としては、日朝平壌宣言に基づき、拉致問題及び核やミサイルを含む安全保障上の問題を包括的に解決して日朝国交正常化の実現を目指していくとの基本方針に些かの変わりもなく、北朝鮮に対して、これらの問題の解決に向けた責任ある前向きな対応をとることを、改めて強く求める。
(3)北朝鮮が提起した他の問題については反論する権限を後日に留保する。
3.これに対し先方より再度答弁権の行使があり、上記の点を再度短く述べた上で、日本に対し日朝平壌宣言の誠実な履行、5名の生存者の帰還を求めた。
4.これに対し本村大使より、「我が国の立場は、1回目の反論で述べたとおりである」旨述べた。
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