東チモール情勢に関する安保理公開会合における本村国連代表部大使演説
平成14年11月14日
議長、
本日の安保理公開会合を開催頂き有り難うございます。有益な御説明を行って頂いたシャルマ特別代表にも感謝致します。
議長、
国連東チモール支援団(UNMISET)に関するアナン事務総長の11月6日付けの報告は、独立後半年を経た東チモールの状況及びUNMISETの活動に関する包括的な報告であり評価致します。日本政府としては、東チモールがその国造りに向けて着実な努力を続けており、状況に改善が見られていることを歓迎致します。一方、この事務総長報告にも記述されているように、同国は、自立可能な国造り、難民問題の解決と国民和解、周辺諸国との連携強化等依然として多くの課題に直面しています。
「天は自ら助ける者を助ける」と言われております。東チモールも例外ではありません。国造りを進めるに当たって最も重要なことは東チモール人自身による努力であり、まずは復興開発に取り組むこと、自立に向けた国造りを一致団結して取り組めるよう国民和解を推進することが必要です。かかる真摯な自助努力が進められる限りにおいて、国際社会の側においても、東チモールの努力を引き続き支援し、これまでに行ってきた支援の成果を確かなものにしていくことが重要です。
日本としては、これまでの東チモールに対する支援における最大のドナーとして、引き続き東チモールの自立に向けた国造りに可能な限り支援を行うとの方針の下、本年5月の支援国会合において、今後3年間で約6,000万ドルを上限とする支援を表明しました。今後はこの実現に向け、二国間支援を推進していく所存であり、このため、今月5日及び6日には、日本政府、国際機関及び非政府団体がディリに一堂に会し、今後の日本の対東チモール支援につき議論を行いました。また同会議の議論を踏まえ、翌日には日本と東チモールの両政府間の経済協力政策協議を行い、今後も日本政府として引き続き人材育成、農業、インフラ整備、平和構築に重点を置いた支援を行っていくことを表明しました。なお、人間の安全保障を強化する観点から、日本政府は人間の安全保障基金を通じ、農業及びコミュニティ復興の分野で、約595万ドルの支援を行っているところです。
また、日本政府としては同国の真実和解委員会が旧独立派と旧統合派の間の和解のために行っている活動を評価しており、既に同委員会に対し53万ドルの拠出を行っています。同国の将来のためには国民和解が非常に重要であると認識しており、引き続き日本として支援を行っていきたいと考えています。
議長、
UNMISETが安保理決議1410により与えられたマンデートを実施する上で着実な進展を見せており、過去の事務総長報告において設定されたタイム・テーブルに沿って活動することが可能となっていることを歓迎致します。我が国から派遣されている自衛隊施設部隊も現地において東チモール人と協力しつつ効果的な活動を行っている旨の報告を受けています。我が国としては事務総長に対し、今後の現地状況の進展を注意深く見極めつつUNMISETの削減計画に関する作業を進めるとともに、その作業に際して引き続き要員派遣国と緊密な協議をして頂くよう要請致します。
有り難うございました。