コソボ情勢に関する安全保障理事会公開会合における北岡国連大使演説(仮訳)
2004年8月5日
議長、
まず、我が国を代表して、ホルケリ前事務総長特別代表のコソボにおける状況を改善するための御尽力に心から敬意を表したいと思います。また、イェッセン=ペーターセン新事務総長特別代表の指名に関し、心からお祝い申し上げたいと思います。
議長、
本日の公開会合は、新しい事務総長特別代表が近々着任し、業務を開始するという意味で、現在までに至る情勢・政策を再分析する良い機会ではないかと考えます。イェッセン=ペーターセン事務総長特別代表におかれては、本日の議論から得られた結論をも参考にして、今後のUNMIKの任務遂行に御尽力いただければと思います。
議長、
さて、我が国として申し上げたいことが3点ございます。まず、我が国は、3月の暴力事件での教訓を踏まえ、地方政府への権限委譲に関し、PISG及びUNMIK、関係諸国の努力により枠組み文書が策定されたことを歓迎いたします。この枠組み文書の注意深い履行を通じて、少数民族が保護され、ひいてはコソボにおける民主的な多民族社会の構築が加速されることを期待いたします。
議長、
5月に開催された前回の公開会合において、多くの代表から「寛容」の重要性が指摘されました。我が国は、この「寛容」こそがコソボの水準の履行を成功させるための鍵であると考えます。この観点から、幾つかの主題に関する多民族間の対話の実施、特に、アルバニア系・セルビア系両代表が人権、避難民帰還を担当する政府機関の設置に関して合意したことを歓迎いたします。また、民族間の信頼関係を向上させるためには、先般3月の暴力事件発生時において破壊された家屋などは、できる限り早くに復旧される必要があります。
最後に、「寛容」を実現するためには、より良い生活へと向かう希望を住民が獲得するという、前向きなマインド・チェンジが極めて重要です。他方、最近の報道の中には、コソボにおける失業率が再び上昇し、70%に近づいているというものありました。極めて高い失業率に苦しみ、将来に対する展望を持てない状況は、是非とも是正しなければなりません。UNMIK及びPISGは、国際社会の支援とともに、水準履行計画の枠組みの中でこの問題に取り組むためより一層努力する必要があります。
議長、
我が国は、コソボ情勢の安定化が南東欧地域全体の安定と繁栄にとって重要であるとの確固たる認識の下、これまでに約186百万ドルもの資金を投入してきました。今後とも、国際社会と協調しつつ、引き続き南東欧地域の安定と繁栄に協力していく所存です。 |