| 国連女子差別徹廃委員会における女子差別撤廃条約実施状況第4回・5回報告の審議
(概要と評価)
2003年7月8日
- 7月8日、国連女子差別撤廃委員会第29会期において、我が国の第4回・5回実施状況報告が、約5時間半にわたり、一括審議された。
(注:我が国は女子差別撤廃条約を1985年に批准したが、条約の第18条に、女子差別撤廃委員会による検討のため、締約国は条約の実施状態に関する報告を4年ごとに国連事務総長に提出することが規定されている。)
- 審議では、我が国の報告に基づき、各委員(22名)より様々な質問が行われ、政府代表団(内閣付、警察庁、法務省、外務省、文部科学省、農林水産省)より、我が国の状態、取組、立場につき、時間の許す限り説明を行った。追って、委員会より、本件審議をふまえた最終コメントが出される予定。
- 各委員の主な関心事項は以下のとおり。
- (1)条約の解釈、国内適用
- (2)人権擁護法案、オンブズマン
- (2)選択議定書の批准
- (4)雇用問題(賃金格差、間接差別、パート問題、コース雇用管理等)
- (5)マイノリティ女性、障害者
- (6)女性に対する暴力(DV、トラフィッキング)
- (7)意思決定過程への女性の参加(特に政治、司法分野)
- (8)男女共同参画に関する教育
- (9)従軍慰安婦問題
- (10)民法改正
- (11)非摘出子差別
- とりあえずの評価
- 9年ぶりに行われた今回の審査においては、委員の関心は極めて高く、多数の質問が寄せられた。右に対し、代表団より詳しく説明をおこなつことにより、委員より一定の理解を得ることができた。
- 今回の審査には国会議員1名と約60名の日本のNGOが現地入りし、委員に対する積極的なロビー活動を行っており、一部の委員からは、NGOから提出されたカウンターレポートに基づく質問もなされた。
- 委員長の総括コメントにおいては、基本法、DV法、均等法の改正などの法整備の進展に対する評価の言葉とともに、それらの着実な実施や、意思決定への参画、固定的性別役割の払拭等への更なる努力を期待する旨の発言があった。また、日本の市民社会の本問題への関心についても高く評価された。全体として、委員より政府代表団の真摯な対応が評価されたものと思われ、両者の間で建設的な対話がもたれた。
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