東ティモール情勢に係る安保理公開会合における原口大使演説(仮訳)
2004年8月24日
議長、
今回の会合の開催に感謝いたします。また、アンナビPKO局次長からの包括的な説明にも感謝いたします。
議長、
前回の公開会合において、我が国からは、東ティモールが真の意味でPKOのサクセスストーリーとなるためには、この最後の一年間にUNMISETが目的を達成し、任務を終了することが必要であり、この一年の間に、国際社会の東ティモールへの支援を、紛争処理としてのPKOの活動から、開発・発展を支援する国際機関やバイの援助活動に移行させることが必要であるとの考え方を申し述べました。その観点から、我が国としては、今般の事務総長報告において、行政、司法などの制度作りにおいて着実な進展が見られ、また、治安分野においても引き続き自らの警察組織の強化・成熟化に向けた努力がなされていることを評価いたします。東ティモール政府が引き続き自立へ向かって歩みを進めていくことは極めて大切であり、我が国もこのための支援を惜しまない考えです。
議長、
一方で、事務総長報告にも記されてるように、東ティモールとインドネシアとの間における国境確定作業が遅れていることは多少ながら懸念されます。我が国としては、本件に関し、両国が引き続き最善の努力を行うことを期待いたします。また、7月の元兵士によるデモの実施がありましたが、先週の土曜日には、政府指導者の司会の元で政府と旧兵士や、寡婦、親を失った子供等のグループとの間で対話集会が開かれており、このような元戦闘員の社会復帰の重要性を浮き彫りにしました。我が国が従来から支援してきたUNDPの「東ティモールにおける元兵士及びコミュニティのための復興・雇用・安定プログラム」(RESPECT)は、この観点から極めて重視されるべきと考えます。また、同様のプロジェクトに対する加盟国の支援を要請したいと思います。
議長、
我が国は、東ティモールの自立的な国造りへの支援の提供においても主要な役割を果たしてきております。平和構築及び復興支援に焦点をあて、独立後三年間で六千万ドルを上限とする支援表明を行いましたが、既にディリ周辺の道路・電力・水道等のインフラ整備を中心に約五千七百万ドルを投入するなど、これを着実に履行してきています。先般、我が国の自衛隊施設部隊及び司令部要員が、与えられた任務を全うし、帰国いたしました。またこの撤収に伴い、道路建設等にも使用できる車両など、一部の施設・資機材を現地の要請に基づき引き渡し、東ティモール政府職員に資機材の操作・維持・管理指導教育を施すなど、現在、自衛隊施設部隊のOBや文民の専門家など、我が国の所謂民政パワーが技術移転にも努めています。このような支援は、我が国の国際協力にとっても新たな可能性を開くものであり、東ティモールの国造りの基礎である人々の生活環境の向上の観点から極めて効果的であると考えています。
議長、
最後に、東ティモールにとって、この一年は非常に重要な時期であることをあらためて強調したいと思います。UNMISETの精鋭と賢明な指導層の下で国造りに参加する東ティモール国民の努力により、東ティモールにおける安定と発展の基礎が確実に強化され、国連PKOがその使命を成功裏に果たすことを確信しております。 |