中東和平問題に関する緊急特別総会における原口大使演説
2004年7月16日
1. 我が国は1月に国際司法裁判所(ICJ)に提出した陳述書において、グリーンラインの内側における壁建設はパレスチナ人の生活に悪影響を及ぼすとともに最終的地位交渉の結果を予断するものである、得られる情報には限りがあるがグリーンラインの内側における壁建設は関連する国際法規に抵触すると見られ、したがって建設は停止すべきとの立場を明らかにしました。我が国としては、この立場から、イスラエルがグリーンラインの内側における壁建設を継続していることは誠に遺憾であります。我が国は、最近イスラエル最高裁がイスラエル政府に壁の経路変更を命じたこと及び同政府が壁の経路変更作業に着手していることに注目しており、今次経路変更がグリーンライン内部への建設をもたらさないものかどうか、その行方を注意深く観察する考えであります。今般ICJが提出した勧告的意見においては、イスラエルによるパレスチナ占領地における壁建設が国際法に反し、この違法な状態を終了させる義務があるとされており、我が国としては、イスラエルがこの問題につき適切に行動することを期待します。
2. また我が国は、パレスチナ過激派のテロにより多数の無辜のイスラエル人の生命が犠牲になっていることに留意し、パレスチナ自治政府が治安能力の改善及びテロ抑止のために最大限の努力が必要との立場を明らかにしているところです。
3. 壁の建設に関するこの問題は、イスラエル・パレスチナ間で現在暴力の連鎖が継続し、ロードマップの履行が停滞している状況のなかで生じているものであす。したがって我が国は、両当事者の話し合いにより、平和的に共存するイスラエル・パレスチナ2つの国家構想の実現に向けたロードマップを通じた、問題の根本的解決が図られる必要があると考えております。この機会に両当事者に対しロードマップ上の義務を着実に実施するよう改めて訴えます。我が国としてもこうした両当事者の和平努力を最大限支援する考えです。 |