不拡散安保理決議に関する公開討論原口大使ステートメント(和文仮約)
2004年4月22日
議長、ありがとうございます。
まず、我が国として、本問題の重要性に鑑みれば、安保理の非メンバー国を含め意見を表明する機会が与えられることが望ましいと考えていました。従って、本日公開会合が行われたことを多とします。
現時点において以下の点を指摘したいと思います。
議長、
まず、第一に、我が国は大量破壊兵器等の拡散に関する国際社会の重大な懸念を共有しており、この問題のために安保理を含む国連がより有効な役割を果たすべきであると考えています。本決議案に関しては、大量破壊兵器がテロリスト等非国家主体に拡散することを防ぐことが国際社会の平和と安全のために真に必要かつ緊急な課題であります。主権国家間の条約交渉のみによっては十分に迅速な対応を行い得ません。また、我が国を含む国際社会全体の安全保障にも直結する問題であることに鑑みて、本決議案につきさらなる議論を行った上で、メンバー国が支持し得る形での決議の採択を行うことを支持します。
第二に、本決議案には、定義があいまいで、その結果きちんとした国内実施の困難な措置もいくつか含まれていると考えます。仮にそのため多くの国が決議を履行できず、多数の決議違反ケースが発生すれば、却って安保理の権威低下につながる虞があります。また、真に懸念すべき決議違反の重大性が見落とされる危険性もあります。かかる観点からは、実質的に拘束されることになる決議の内容につき改善の余地があると考えております。
第三に、多くの国が本決議案の内容の実施に関し技術的困難を有すると考えられます。従って、本決議案の実効性を確保する観点から、本決議案に言及されている委員会はをフォローアップする組織は個別具体的な決議違反を是正するよう当該国に助言を行う機能を担うことが望ましいと考えます。かかる委員会は、安保理常任理事国のみならず、理事国以外の国からも広く専門性をもった人材を募るべきと考えております。我が国としても人的貢献を行う用意があります。また、国連には既に軍縮・不拡散分野を担当する軍縮局が存在するところ、本委員会においては、軍縮局を十分活用すべきであります。大量破壊兵器の拡散に立ち向かうためには、多くの国、就中、途上国による受動的でなく、能動的かつ主体的協力を確保することが重要であり、関連国内法整備に関する途上国への技術支援を安保理として奨励することも重要と考えます。
最後に、一般論として一点申し上げます。安保理は、国際の平和と安全に特別の責任を有しており、個別問題が発生した場合の対処において極めて重要な役割を果たしてきました。しかし、今回のような決議は、一般的な形で国連憲章第7章下で拘束力を有することになり、実質的に国際法の立法機能まで果たすものであるためです。これは、安保理の外で国際条約交渉を通じて行われてきたものであり、安保理は、国際法秩序の安定性を損なわないよう慎重に対応することが重要だと考えます。
議長、
我が国としては、安保理が以上申し上げた点を念頭におき、本決議案に関し十分透明性を確保した形での議論が継続され、各国から広範な支持が得られる決議が採択されることを強く希望します。
有り難うございました。
|