第58回国連総会第五委員会公式会合における原口幸市国際連合日本政府代表部大使演説総会議題一二四「通常予算分担率」
2003年10月14日
議長、
はじめに、閣下の第五委員会議長就任、並びに他の関係者のビューロー就任に祝意を表します。また、ウゴ・セッシ分担金委員会委員長による同委員会報告書に関する趣旨説明について、関心をもって留意しました。
議長、
今日ほど国連改革が強く叫ばれているときはありません。世界の平和と繁栄のために国連が果し得る役割は極めて大きいものがあります。そして、国連がそうした役割を果たし続けていけるためには、国連が加盟国とその国民の信頼と支持に値する活動を行い得る状況にあることが必要不可欠です。
我が国においては、国連における日本の扱いに不公平感を持つ納税者が増えています。厳しい経済・財政状況にもかかわらず日本政府は分担金を誠実に支払ってきていますが、様々な割引特権及びシーリングを含め、現行算定方式に対する疑問の声はますます高まっています。また、百九十一ヶ国もの加盟国がありながら何故日本が二十パーセント近くも負担しなければならないのかを問う声がこれほど高まったことはないでしょう。そして、安保理改革の停滞や敵国条項という死文化した条文の残置は、こうした不公平感の醸成に寄与していると言わざるを得ません。
九月二十三日の一般討論演説において川口外務大臣は、国連改革の必要性の文脈の中で分担率問題に言及しました。我が国は、真の国連改革により国連はどの国もが正統かつ公平と感じ得る世界統治システムになるべきであり、そのためには、加盟国間で適切かつ衡平な負担分配を実現することが不可欠であると考えています。分担率は、加盟国の経済実勢に則し、かつ国連における地位及び責任をも反映した、よりバランスのとれたものに改革されなくてはなりません。
議長、
我が国は、分担金委員会報告書(A/58/11)のうち、次期通常予算分担率に係る勧告について、為替レートの問題が二○○○年の総会決議(Res/55/5B)に定める算定方式の基準及び要素に完全に合致するか疑義を有しています。政治的な中立性の下に専ら専門的判断を下すべき分担金委員会が政治的な要素を取り入れた決定を行ったことに、説明責任確保の観点から納得していません。分担金委員会が政治介入していることに強く警鐘をならさざるを得ません。
我が国は、以上のような問題意識をもって第五委員会の通常予算分担率に関する議論に臨む所存です。また、我が国としては、二○○○年の総会決議(Res/55/5B)、そして国連財政の五分の一を負担する義務を負った日本の納税者の不満を考慮しつつ、国連に対する加盟国国民の信頼と支持を確保し得るような分担率の実現のため、所要の主張を行っていく考えであることを改めて申し述べたいと思います。
ありがとうございました。
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