安保理中東和平問題に関する公開討論における
2003年9月15日
議長、
ロード=ラーセン特別調整官の報告及び安保理各理事国のステートメントを注意深く拝聴しました。最近の出来事の急速な展開から明らかであり、またこれらの発言からも明らかなことは、「ロードマップ」が重大な局面にあるということです。中東和平は中東地域における平和と安定のカギであり、「ロードマップ」は依然として現下における和平にいたる唯一の途であるので、我が国はこの状況を深く憂慮しています。危機に瀕した「ロードマップ」を崩壊させないためには、現在起きている暴力と不信の連鎖を遅滞なく断ち切る必要があります。このためには、イスラエル、パレスチナ双方が直ちに事態を沈静化し、「ロードマップ」に沿った対話・協力を再開すること、とりわけ暴力の停止のため最大限の自制と努力を行うことが絶対に必要です。
ここで、我が国は11日イスラエル政府が公表したアラファト議長を除去しなければならないとの決定につき一言申し上げます。選挙で選ばれたアラファト議長を実力で排除することは、事態の改善に資さず、むしろ悪化させるものと考えます。我が国は、イスラエルが排除の措置を実行に移さないよう強く要請します。イスラエルが自らの行為がもたらす結果を十分に認識し、賢明かつ慎重な対応をすることを強く期待します。
他方、イスラエルの治安に対する懸念は理解しうるものであり、パレスチナ自治政府は過激派による暴力と断固として戦わなければなりません。我が国は、パレスチナ側が過激派の取り締まりと治安組織の強化を早急に実現するよう引き続き要請し、この分野における取り組みを支援します。また、テロは如何なる理由においても正当化できず、我が国は、多くの無辜の人々を犠牲にする残虐なテロ行為を、改めて非難します。
我が国は、両当事者による和平努力を引き続きできる限り支えていく考えです。アハマド・クレイ新首相の下で、パレスチナ自治政府の新内閣が速やかに組閣され、「ロードマップ」の成功に向けた取り組みを新たな決意の下に再開することを期待します。我が国はそのような取り組みを引き続き積極的に支援します。国際社会は新内閣を支援する必要があります。しかし、繰り返して申し上げたいことは、両当事者は直ちに暴力と不信の連鎖を断つ必要があるということであり、それこそが両当事者間の信頼に基づく真の対話の出発点であるということです。
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