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国連軍備登録制度に関する堂之脇外務省参与のスピーチ(第58回国連総会第一委員会)
2003年10月20日
- 国連軍備登録制度は、1992年に設立され、昨年で10周年を迎えた。本制度により、通常兵器の7つのカテゴリー(注1)に関する移転の登録により、通常兵器における武器移転の透明性および信頼醸成が図られた。なお、2000年から2001年にかけて本制度の参加した国は、115ヶ国および126ヶ国であり、また、設立時からは、少なくとも160ヶ国以上が、1回は登録国になった。なお、本制度は、法的拘束力を有しておらず、登録は各国の自発的な意志に委ねられているが、米を始めとした主要な武器輸出国が参加していることから、取引額では95%以上の武器移転が登録されていると言われており、本制度の持つ意義は大きい。
- 本年、本制度に関する国連政府専門家会合が開催された(注2)。これは、制度の改善を目的とするものである。同会合の報告書では、7つのカテゴリーの内、2つのカテゴリーについての議論が行われた。その結果、大口径火砲の口径を100ミリから75ミリまで引き下げ、口径81ミリおよび82ミリの迫撃砲が登録対象となった。また、「ミサイルおよびその発射基」に地対空ミサイル(MANPADS)が含まれることとなった。これは、2001年9月11日の同時多発テロ事件以降、テロリストによる地対空ミサイルの使用が大きな関心事になってきたことに起因する。
- 新たに対象となった2つのカテゴリーの兵器は、小型武器の部類に含まれる。小型武器問題と本制度との関係については、小型武器問題は非合法取引を対象範囲としているのに対して、本制度は合法取引を対象としており、その対象は異なるが、本制度がこれらの武器を対象としたことにより、小型武器の非合法取引の防止に向けた効果があると考えられる。
- 更に、政府専門家会合の報告書では、国連軍縮局と加盟国の協力による本制度の強化のためのワークショップの重要性が盛り込まれている。2001年から2003年にかけ、カンボジア、ガーナ、ナミビア、ペルー、インドネシアにおいて関連セミナーが開催されてたところ、かかる評価は、共催国としての我が国にとって歓迎すべきことである。
- (注1)国連軍備登録制度
大型通常兵器の輸出入などを国連に登録する制度であり、わが国やEU諸国の提案により1992年に設立された。登録国数は最初の8年間は平均90国程度であったが、昨年は124国に達し、主要な武器輸出入国を殆ど網羅しているので、軍事に関する透明性の向上及び世界規模での信頼醸成措置の成功例であるとされている。登録対象兵器は 1)戦車、2)装甲戦闘車両、3)大口径火砲システム、4)戦闘用航空機、5)攻撃用ヘリコプター、6)軍用艦船、7)ミサイル及びその発射基、である。
- (注2)政府専門家会合
国連軍備登録制度の運用状況を検討する会合であり、94年以降3年毎に開催されており、本年は3月、5月及び7、8月に開催された。
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