2003年

 
 

国連総会第一委員会における代表演説(骨子)

2003年10月7日

1. 序

2.テロと大量破壊兵器の拡散

(1)我が国は、国際環境の安定を確保するための外交努力を重視してきており、軍縮・不拡散体制の維持・強化をこの様な外交努力の重要な柱と位置付けている。特に最近は大量破壊兵器開発やその疑惑の問題、更に国際テロの脅威の増大等、国際社会の安全保障環境を悪化させる重要な問題が発生している。軍縮・不拡散における努力が重要。

(2)特に9.11事件以降、テロのもたらす惨害の大きさが強く認識されてきている。また、テロが和平や安定化努力を挫折させる最悪の手段であることは、イラクにおけるデ・メロ特別代表を始め国連職員を犠牲にした爆弾テロなどを見れば明らか。

(3)このような新しい脅威に対抗して世界の平和・安全を確保していくためには、「テロとの戦い」に関する軍事面、非軍事面での様々な取り組みを継続していくことは無論、軍縮・不拡散分野での様々な外交努力が益々必要になってきている。

3.具体的問題への我が国の対応

(1)大量破壊兵器の拡散については、第一に、我が国は北朝鮮がNPT脱退宣言を行ったことを深く懸念しており、北朝鮮による核兵器の開発、取得或いは保有、実験、移転は、北東アジア地域の平和と安全及び国際的な核不拡散の観点から絶対に容認できない。北朝鮮に対し、全ての核開発計画を速やかに、完全、検証可能且つ不可逆的な形で廃棄することを強く要請する。この問題は、6者会合プロセスを始めとした外交努力により解決されるべきである。朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際合意を遵守することを定めた日朝平壌宣言に基づき、北朝鮮が責任ある態度を取ることを求める。

(2)イランについては、9月12日のIAEA理事会における決議を重く受け止め、10月末までの問題点の是正を通じたIAEAへの完全な協力、IAEA追加議定書の即時且つ無条件の締結と完全履行など、要求された全ての措置を早急に履行し、国際社会の核問題への懸念を解消することを求める。我が国としても、イランに対し、積極的に働きかけを行っていきたい。

(3)更に、テロと大量破壊兵器が結びつく脅威に対する認識が急速に高まっている。かかる脅威に対応する国際的協力が必要。我が国は、全ての国家に対し、大量破壊兵器及びその製造に繋がり得る物質がテロリストの手に渡ることのないよう必要な措置を実施することを呼びかける。我が国は、核物質のような大量破壊兵器に使用可能な物質を窃取等からより確実に防護するとの観点から、核物質防護条約の改正交渉に積極的に取り組んでいる。また、先月、東京において、アジア・太平洋地域諸国を対象に、生物・化学兵器テロ発生の際の危機管理・被害対処及びこれらテロに使用される物質の管理等をテーマとしたセミナーを開催した。

(4)また、拡散安全保障イニシアティブ(PSI)に関しては、我が国はPSIが大量破壊兵器等の不拡散に関する我が国の取り組みに沿ったものとの認識の下、その趣旨に賛同し、9月中旬に豪州沖にて実施された海上阻止訓練に我が国の巡視船を参加させるなど、これまで積極的に参加してきている。

 今後、第3回PSIパリ会合にて採択された阻止原則宣言が、より多くの国々の受け入れるところとなり、国際社会全体への脅威である大量破壊兵器の拡散が実効的にくい止められるよう、国際社会における連携を強化するべく、我が国としてもアジア諸国を中心にPSIへの参加・協力・関与を求めていく考え。

4. 核軍縮・不拡散

(1)我が国は、唯一の被爆国として核武装を行わないとの基本政策の下、核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずとの非核三原則を堅持している。このことは小泉内閣を含む歴代の内閣により明確に表明されており、今後ともこれを堅持していく立場に変わりはない。同時に我が国として、核兵器のない平和で安全な世界を一日も早く実現するため、具体的な核軍縮措置が積み上げられねばならないと考える。

(2)本年6月、米露戦略的攻撃能力削減条約が発効したことを歓迎し、同条約の着実な履行を期待すると共に、これが核兵器国の更なる核軍縮に繋がることを期待する。

(3)NPT体制を支える重要な柱であるCTBTの早期発効を極めて重視している。先月開催された第3回発効促進会議は有意義な成果を上げた。我が国は会議に先立ち、発効要件未批准国に対し、議長国フィンランド、ホスト国オーストリアと共に3外相共同書簡を発出すると共に、会議には川口外務大臣自らが出席し、未署名・未批准の発効要件国に対して早期の署名・批准を求めた。我が国はCTBT発効促進に貢献すべく、検証制度に関する途上国への技術協力の実施や、昨年11月にはCTBT国内運用体制の立ち上げを行った。この場で改めてCTBTの早期署名・批准を求めたい。

(4)我が国はFMCTの早期交渉開始を重視しており、2000年NPT運用検討会議最終文書にも拘わらず、軍縮会議においてFMCTの交渉が開始されていないことは遺憾である。我が国は、本年3月ジュネーヴにおいてワークショップを開催したほか、8月にはFMCTに関する作業文書を軍縮会議に提出した。来年早期に軍縮会議の停滞が打開され、交渉開始への歩みが促進されることを期待する。

(5)2005年NPT運用検討会議に向けた第2回準備委員会は、全体的にバランスの取れた活発な議論が行われ、各国から提出された報告の数も増加し、相互理解や透明性の向上に役立ったものと評価する。数々の試練を受ける核不拡散体制の堅持・強化のため、2005年運用検討会議の成功が不可欠だが、そのためには、核不拡散及び核軍縮両面における2000年運用検討会議最終文書の実施が重要であることを強調したい。NPTの普遍化の推進及び遵守の確保も重要である。キューバ及び東チモールのNPT加入を歓迎する。同時にこの関連で、全てのNPT非締約国に対し、NPT加入を促したい。

(6)遵守の確保の観点からは、IAEA保障措置の強化、就中、IAEA追加議定書の普遍化が重要な課題である。我が国は、これまでにアジア・太平洋地域に加え、中南米、中央アジア及びアフリカ地域を対象とする追加議定書普遍化セミナーに人的・資金的貢献を行ってきた。また、昨年12月に東京でIAEA保障措置強化のための国際会議を開催した。

(7)今次国連総会でも、昨年に引き続き、「全面核廃絶への道程」決議案を提出予定であり、圧倒的多数の支持を得て採択させたい。

5. 化学・生物兵器禁止条約(CWC・BWC)

(1)CWCは引き続き着実に実施されなければならず、OPCWの機能強化が重要。我が国としてはOPCWの努力を引き続き支援していく。本年4月にCWC発効後5年を経て初めて開かれた第1回運用検討会議において、政治宣言を全会一致で採択し、化学兵器の全面廃棄と検証を伴いながら不拡散を実現することに対する締約国の決意を改めて表明できたことを高く評価する。

(2)長年行き詰まっていたBWC議定書交渉に代わって、昨年11月の第5回BWC運用検討会議再開会合においてBWCを強化するための作業計画が全会一致で合意されたことを歓迎。同作業計画に基づき本年8月に開催された専門家会合では充実した情報・意見交換が行われ、BWC強化プロセスとしての「作業計画」のキックオフ会合として成功したものと評価する。我が国はバイオセキュリティに関するプレゼンテーションや作業文書の提出等の貢献を行った。今回の専門家会合の成果を11月の締約国年次会合に如何に効果的に繋げるかが今後の課題である。

6. ミサイル

弾道ミサイルの拡散は国際及び地域の平和と安全に対する大きな懸念事項である。ミサイル活動の自制と削減、拡散防止に向けた各国の具体的対応を呼びかけたい。昨年11月弾道ミサイルの拡散に立ち向かうためのハーグ行動規範(HCOC)が立ち上げられた。これは、弾道ミサイルの不拡散及び開発・実験・配備の可能な限りの自制を掲げる初めての国際的な規範として重要な意味を持っており、その普遍化プロセスを支持している。我が国としては、HCOCの普遍性を高めるために、HCOC未参加国に対し、HCOCへの参加を慫慂したい。

7. 小型武器

(1)現在の紛争犠牲者の90%以上をもたらしていると言われている小型武器の問題は、国際社会の優先課題である。我が国は、本年7月にニューヨークにおいて開催された国連第1回小型武器中間会合の議長を務めた。同会合は、2001年の国連小型武器会議で採択された行動計画の実施状況を検討する最初の国連会議であり、その議長総括は小型武器分野の軍縮の具体的な取り組みの方向性を各国に示すものとなった。同会合は、各国の協力の下、議長総括を添付した報告書を全会一致で採択し、成功裡に終了した。

(2)同会合は、小型武器問題への取り組みにおいて様々な地域のイニシアティブを慫慂し、国際社会の完全な関与の深まりと広がりの構図を与えると共に、同会合の成功は、多数国間協力の重要性を再認識させ、国際社会にとって小型武器の軍縮における多数国間主義が実際に機能したことを証明した。更に、会合に先立ち、エビアンG8サミットの議長総括に小型武器問題が含まれた。我が国は、この会合を契機に、各国が行動計画へのコミットメントを強化し、2005年の中間会合へのリードアップとして国、地域、国際レベルでの小型武器問題への取り組みに向けて具体的な措置をとることを希望する。

(3)我が国は、小型武器問題の解決には、実際の被害国支援が重要であると考えている。例えば、カンボディアにおいて「小型武器回収の対価としての開発の提供」等を柱とする小型武器回収プロジェクトに着手した。

8.その他の通常兵器

(1) 我が国は、我が国と当時のECが共同で設立した国連軍備登録制度が通常兵器分野の透明性に多大な貢献を行っていることを評価している。昨年は、本制度設立10周年を迎えるに当たり、我が国、加、蘭、独及び国連軍縮局と協力して、地域ワークショップをアフリカ、南米及びアジア地域において開催し、本制度の普遍化及び強化に努めてきた。また、本年、国連政府専門家会合で採択され、国連総会に提出された報告書が幾つかの具体的な進展を含んでいることを歓迎する。

(2) 対人地雷がもたらす人道問題に鑑み、オタワ条約の普遍化に引き続き取り組む。我が国は、同条約で義務付けられている貯蔵対人地雷の廃棄を本年2月に完了した。また、先月アジア地域(バンコク)で初めて行われた第5回オタワ条約締約国会議は成功裡に終了し、我が国は地雷除去常設委員会の共同議長に就任した。この場にて改めてオタワ条約への参加を呼びかけたい。

(3) 現在CCWの枠組みにおいて行われている爆発性戦争残存物(ERW)に関する文書の交渉及び対人地雷以外の地雷についての交渉マンデートの作成も視野に入れた検討が行われていることは有意義。来る11月の締約国会合に向け、引き続き実質的な作業に参加していきたい。

9.軍縮教育

(1)軍縮・不拡散の進展のためには、次世代を担う若者や市民社会の理解と支持が必要であり、軍縮・不拡散問題についてのバランスの取れた教育に力を入れるべきである。国連軍縮・不拡散教育専門家グループが纏めた「軍縮・不拡散教育に関する国連の研究」報告書を歓迎する。また、本年5月のNPT第2回準備委員会において、我が国は他7ヶ国を代表して「軍縮と不拡散教育」作業文書を提出し、NPT条約との関連における軍縮教育強化の国際的イニシアチブを取っていく役割を担った。

(2)我が国は過去20年に亘って450名以上に及ぶ国連軍縮フェローシップ・プログラムの参加者を広島・長崎の視察を含め、日本に招待してきた。このプログラムは、若い外交官等に軍縮についてより深い理解をもたらすものとして重要な事業であり、その中には軍縮の第一線で活躍している外交官も少なくない。我が国は今後ともこのプログラムへの協力を続けていきたい。

10.地域センター

 3つの(アジア・太平洋、アフリカ、中南米)地域センターが、引き続き有意義な貢献を行っていることを評価する。軍縮問題について地域的啓発を図るため、地域軍縮会議は有効な手段である。本年8月に大阪で開催された国連軍縮会議において有意義な議論が行われたことを高く評価する。3つの地域センターによる努力を引き続き支持したい。

11.マルチの軍縮・軍縮会議

 多数国間軍縮の唯一の交渉機関である軍縮会議において、1996年CTBT作成以降、軍縮会議が実質的な交渉に入れない状況は早急に克服されるべきである。我が国は本年最後の会期の議長を務めた。この間、我が国の外務大臣が軍縮会議において演説を行い、軍縮・不拡散分野における我が国の政策、取組み等につき包括的に紹介すると共に、一刻も早い作業計画の合意及び実質的な議論の開始を訴えた。我が国は、ジュネーヴ及び各首都で努力が継続されるりことにより、来年早期に実質的作業が開始されることを強く期待する。また、現状打開を目指し、CD年次報告のマンデートに従って、会期間に議長協議を継続していきたい。

12.DRR(軍縮、復興、和解)

紛争終了後の和解のプロセスとの関連において、軍縮のあり方を考えることが重要。この観点から、軍縮(disarmament)、復興(reconstruction)、和解(reconciliation)の重要性を強調したい。具体的には、紛争終了後の取り組みとして、武装解除に加え、復興、更には和解を実現することにより、紛争の再発を防止する努力が重要であると共に、紛争終了後の復興過程における「和解」の促進方法及び「和解」を促進する観点からの軍縮のあり方を考える必要がある。

13.結び

軍縮・不拡散の問題は、国際社会の平和と安全のために益々重要になっており、我が国としても、各国と協力・協調して、軍縮・不拡散のために可能な限りの努力を傾注していきたい。

   
p class="indent">(2)長年行き詰まっていたBWC議定書交渉に代わって、昨年11月の第5回BWC運用検討会議再開会合においてBWCを強化するための作業計画が全会一致で合意されたことを歓迎。同作業計画に基づき本年8月に開催された専門家会合では充実した情報・意見交換が行われ、BWC強化プロセスとしての「作業計画」のキックオフ会合として成功したものと評価する。我が国はバイオセキュリティに関するプレゼンテーションや作業文書の提出等の貢献を行った。今回の専門家会合の成果を11月の締約国年次会合に如何に効果的に繋げるかが今後の課題である。

6. ミサイル

弾道ミサイルの拡散は国際及び地域の平和と安全に対する大きな懸念事項である。ミサイル活動の自制と削減、拡散防止に向けた各国の具体的対応を呼びかけたい。昨年11月弾道ミサイルの拡散に立ち向かうためのハーグ行動規範(HCOC)が立ち上げられた。これは、弾道ミサイルの不拡散及び開発・実験・配備の可能な限りの自制を掲げる初めての国際的な規範として重要な意味を持っており、その普遍化プロセスを支持している。我が国としては、HCOCの普遍性を高めるために、HCOC未参加国に対し、HCOCへの参加を慫慂したい。

7. 小型武器

(1)現在の紛争犠牲者の90%以上をもたらしていると言われている小型武器の問題は、国際社会の優先課題である。我が国は、本年7月にニューヨークにおいて開催された国連第1回小型武器中間会合の議長を務めた。同会合は、2001年の国連小型武器会議で採択された行動計画の実施状況を検討する最初の国連会議であり、その議長総括は小型武器分野の軍縮の具体的な取り組みの方向性を各国に示すものとなった。同会合は、各国の協力の下、議長総括を添付した報告書を全会一致で採択し、成功裡に終了した。

(2)同会合は、小型武器問題への取り組みにおいて様々な地域のイニシアティブを慫慂し、国際社会の完全な関与の深まりと広がりの構図を与えると共に、同会合の成功は、多数国間協力の重要性を再認識させ、国際社会にとって小型武器の軍縮における多数国間主義が実際に機能したことを証明した。更に、会合に先立ち、エビアンG8サミットの議長総括に小型武器問題が含まれた。我が国は、この会合を契機に、各国が行動計画へのコミットメントを強化し、2005年の中間会合へのリードアップとして国、地域、国際レベルでの小型武器問題への取り組みに向けて具体的な措置をとることを希望する。

(3)我が国は、小型武器問題の解決には、実際の被害国支援が重要であると考えている。例えば、カンボディアにおいて「小型武器回収の対価としての開発の提供」等を柱とする小型武器回収プロジェクトに着手した。

8.その他の通常兵器

(1) 我が国は、我が国と当時のECが共同で設立した国連軍備登録制度が通常兵器分野の透明性に多大な貢献を行っていることを評価している。昨年は、本制度設立10周年を迎えるに当たり、我が国、加、蘭、独及び国連軍縮局と協力して、地域ワークショップをアフリカ、南米及びアジア地域において開催し、本制度の普遍化及び強化に努めてきた。また、本年、国連政府専門家会合で採択され、国連総会に提出された報告書が幾つかの具体的な進展を含んでいることを歓迎する。

(2) 対人地雷がもたらす人道問題に鑑み、オタワ条約の普遍化に引き続き取り組む。我が国は、同条約で義務付けられている貯蔵対人地雷の廃棄を本年2月に完了した。また、先月アジア地域(バンコク)で初めて行われた第5回オタワ条約締約国会議は成功裡に終了し、我が国は地雷除去常設委員会の共同議長に就任した。この場にて改めてオタワ条約への参加を呼びかけたい。

(3) 現在CCWの枠組みにおいて行われている爆発性戦争残存物(ERW)に関する文書の交渉及び対人地雷以外の地雷についての交渉マンデートの作成も視野に入れた検討が行われていることは有意義。来る11月の締約国会合に向け、引き続き実質的な作業に参加していきたい。

9.軍縮教育

(1)軍縮・不拡散の進展のためには、次世代を担う若者や市民社会の理解と支持が必要であり、軍縮・不拡散問題についてのバランスの取れた教育に力を入れるべきである。国連軍縮・不拡散教育専門家グループが纏めた「軍縮・不拡散教育に関する国連の研究」報告書を歓迎する。また、本年5月のNPT第2回準備委員会において、我が国は他7ヶ国を代表して「軍縮と不拡散教育」作業文書を提出し、NPT条約との関連における軍縮教育強化の国際的イニシアチブを取っていく役割を担った。

(2)我が国は過去20年に亘って450名以上に及ぶ国連軍縮フェローシップ・プログラムの参加者を広島・長崎の視察を含め、日本に招待してきた。このプログラムは、若い外交官等に軍縮についてより深い理解をもたらすものとして重要な事業であり、その中には軍縮の第一線で活躍している外交官も少なくない。我が国は今後ともこのプログラムへの協力を続けていきたい。

10.地域センター

 3つの(アジア・太平洋、アフリカ、中南米)地域センターが、引き続き有意義な貢献を行っていることを評価する。軍縮問題について地域的啓発を図るため、地域軍縮会議は有効な手段である。本年8月に大阪で開催された国連軍縮会議において有意義な議論が行われたことを高く評価する。3つの地域センターによる努力を引き続き支持したい。

11.マルチの軍縮・軍縮会議

 多数国間軍縮の唯一の交渉機関である軍縮会議において、1996年CTBT作成以降、軍縮会議が実質的な交渉に入れない状況は早急に克服されるべきである。我が国は本年最後の会期の議長を務めた。この間、我が国の外務大臣が軍縮会議において演説を行い、軍縮・不拡散分野における我が国の政策、取組み等につき包括的に紹介すると共に、一刻も早い作業計画の合意及び実質的な議論の開始を訴えた。我が国は、ジュネーヴ及び各首都で努力が継続されるりことにより、来年早期に実質的作業が開始されることを強く期待する。また、現状打開を目指し、CD年次報告のマンデートに従って、会期間に議長協議を継続していきたい。

12.DRR(軍縮、復興、和解)

紛争終了後の和解のプロセスとの関連において、軍縮のあり方を考えることが重要。この観点から、軍縮(disarmament)、復興(reconstruction)、和解(reconciliation)の重要性を強調したい。具体的には、紛争終了後の取り組みとして、武装解除に加え、復興、更には和解を実現することにより、紛争の再発を防止する努力が重要であると共に、紛争終了後の復興過程における「和解」の促進方法及び「和解」を促進する観点からの軍縮のあり方を考える必要がある。

13.結び

軍縮・不拡散の問題は、国際社会の平和と安全のために益々重要になっており、我が国としても、各国と協力・協調して、軍縮・不拡散のために可能な限りの努力を傾注していきたい。