2002年

 
 

国連システムの強化(議題52)総会討議高橋恒一 国連行財政改革担当大使スピーチ(仮訳)

平成14年10月30日

議長、

グローバル化の進展は、異なる文化を持つ人々の交流や相互理解の増大のかつてない機会をもたらしました。実際に多くの人間がグローバル化の利益を享受しています。他方において、多くの人間がグローバル化の利益を享受し損なっており、満たされた生を全うできていません。こうした中で、「国境」を越えた人間の営みに関する既存のルールが不十分な状況が多く存在します。

国連加盟国は、知恵を絞り、国連を再活性化させ、国連を今日の時代の挑戦に適合させていかなければなりません。その目標への第一歩は国連自体のアカウンタビリティーの確保であり、明確な課題を定めつつ改革を行うことです。

我が国は、コフィ・アナン事務総長による国連改革を促進するための今回のイニシアテイブを評価します。

議長、

まず私は、事務総長の改革の提案に対する我が国の見解と期待を申し上げます。

第一に、事務総長報告書にある改革全般に対し指針とモメンタムを与えるために早期に総会決議が採択されるのであれば、それを支持します。

第二に、事務総長が、既に採択されている関連決議や決定に則りつつ、自らの権限のみで改革できる事項について迅速に実行されることをエンカレッジします。

第三に、改革が導入された後に、我々加盟国が実施のプロセスを適当かつ時宜に適った方法でフォローアップし、成果を検証するべきです。

議長、

次に私は報告書の幾つかの分野についての見解を申し述べます。我が国は以下の4点を特に重視しています。

((1)計画・予算)

第一に、ミレニアム宣言や主要なグローバルな会議を通じて明らかになっている新たな課題に対して計画を適合させることが極めて重要だと考えます。こうした計画の見直しが、2004/05年の国連通常予算案に反映されるべきです。明確な優先事項の設定と、節約する財源の特定が、柔軟性と実効性を高めるための計画及び予算策定過程の見直しの中で実行されるべきであります。この点に関しフレシェット副事務総長は、先週勇気づけられる説明を行われました。

この関連で、優先度の高い課題に対して、優先度の低い課題や時代遅れの活動から資源を再配分することが不可欠だと考えます。我が国としては、中断・廃止すべき活動が事務総長によって認定され、提案されることを期待します。このことは、現下の予算についてあり得べき増大を考えるとさらに重要となります。そうした努力が成功裡に行われることなく、結果として国連予算の規模が増加を続けることとなれば、通常予算の1/5にも上る財政貢献を行っている我が国として、納税者たる国民に対し説明責任を果たすことは困難となります。

我が国国内の予算編成においても、限られた予算枠の中で優先事項を定め、廃止する活動を特定する際には各省庁の各部局の長が重要な役割を果たしています。日本の納税者は、国連の予算編成過程においても同様のことを期待しています。

よって我が国は、事務総長報告書で提案されているサンセット条項導入のためのイニシアテイブを支持します。

((2)人権分野)

第二に、我が国は人権高等弁務官事務所のマネジメント改善が重要であることを強調します。その目的のために、高等弁務官によって具体的かつ実効性のある提案が出されることを期待しています。人権高等弁務官事務所が、それぞれの機関のマンデートとの整合性を確保しつつ、また国際社会における人権の基本的考え方を維持しつつ、国連機関、機構、専門機関との協調を推進するよう努めるべきです。

((3)人事管理)

第三に、我が国は事務局職員に関する公平な地理的配分の原則の達成を特に重視しております。過小代表や非代表の問題を解消するため、我が国は、第55回総会決議(55/258)が要請しているように、事務総長が衡平な地理的配分達成のための数値目標を含む計画を策定することを期待します。人事管理改革に関する事務総長報告(A/57/293)は、この要請に十分に応えていません。我々は第57回総会会期中に十全な報告がなされることを期待します。

一般職職員の専門職職員への昇進数の制限を撤廃するという提案について、我が国は、そうした昇進の機会は一般職職員の専門職への採用者数の比率の引き上げにより確保されるべきではないと考えています。むしろ我が国としては、第51回総会決議(51/241)で言及され、第56回総会決議(56/253)で再確認されたように、事務局におけるトップ・ヘビーのポスト構成をよりピラミッド型のポスト構成に変えることにより、国別競争試験及び一般職から専門職への試験(GtoP試験)による専門職への採用機会を増大していくことが適切であると考えています。

((4)効率的で実効的な国連)

第四に、我が国は国連の効率性と実効性を高めるという観点から、国連システムと他の機関との現場における一層の調整、報告書ならびに会議運営の簡素化を期待します。

事務総長が開発分野における国連の努力に焦点を当てていることを歓迎します。我が国は、開発資金国際会議や持続的可能な開発のための世界サミットをはじめとする開発分野での一連の大規模国際会議のフォローアップを、国連システムとしていかにして統合、調整された形で進めるか、また、そうした会議の成果をいかにして実現していくかについて、議論が深められていくことを希望しています。我が国としては、他の議題の下で行われているそのための議論が国連改革全体に資するものとなることを期待します。

議長、

最後に安保理改革につき申し上げます。今回の報告書は、安保理改革のように作業部会が取り上げている政府間組織の必要な変革は対象としていません。しかしながら、これは国連強化のために重要な課題であります。事務総長が報告書で述べているように、「安保理改革なしに如何なる国連の改革も完結」しません。実効性を損なわないことを確保しつつ、安保理を拡大することは可能であり、かつ、そうしなければなりません。明年、安保理改革に関する議論が10年目を迎えます。我が国は、この目的へ向けた実際的な一歩として、拡大後の安保理の議席数の問題などに焦点を絞った議論を行うべきだと考えます。我が国はこの点に関し努力する考えです。我が国は報告書が議論にさらなるモメンタムを与え、事務総長が本件に関し積極的に関与されることを期待します。

議長、

我が国は、我々の国連を改革するための努力が、組織の実効性と効率性を高めることを期待し、この目的を実現するため、国連ならびに加盟国と協力していく決意です。

   
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国連システムの強化(議題52)総会討議高橋恒一 国連行財政改革担当大使スピーチ(仮訳)

平成14年10月30日

議長、

グローバル化の進展は、異なる文化を持つ人々の交流や相互理解の増大のかつてない機会をもたらしました。実際に多くの人間がグローバル化の利益を享受しています。他方において、多くの人間がグローバル化の利益を享受し損なっており、満たされた生を全うできていません。こうした中で、「国境」を越えた人間の営みに関する既存のルールが不十分な状況が多く存在します。

国連加盟国は、知恵を絞り、国連を再活性化させ、国連を今日の時代の挑戦に適合させていかなければなりません。その目標への第一歩は国連自体のアカウンタビリティーの確保であり、明確な課題を定めつつ改革を行うことです。

我が国は、コフィ・アナン事務総長による国連改革を促進するための今回のイニシアテイブを評価します。

議長、

まず私は、事務総長の改革の提案に対する我が国の見解と期待を申し上げます。

第一に、事務総長報告書にある改革全般に対し指針とモメンタムを与えるために早期に総会決議が採択されるのであれば、それを支持します。

第二に、事務総長が、既に採択されている関連決議や決定に則りつつ、自らの権限のみで改革できる事項について迅速に実行されることをエンカレッジします。

第三に、改革が導入された後に、我々加盟国が実施のプロセスを適当かつ時宜に適った方法でフォローアップし、成果を検証するべきです。

議長、

次に私は報告書の幾つかの分野についての見解を申し述べます。我が国は以下の4点を特に重視しています。

((1)計画・予算)

第一に、ミレニアム宣言や主要なグローバルな会議を通じて明らかになっている新たな課題に対して計画を適合させることが極めて重要だと考えます。こうした計画の見直しが、2004/05年の国連通常予算案に反映されるべきです。明確な優先事項の設定と、節約する財源の特定が、柔軟性と実効性を高めるための計画及び予算策定過程の見直しの中で実行されるべきであります。この点に関しフレシェット副事務総長は、先週勇気づけられる説明を行われました。

この関連で、優先度の高い課題に対して、優先度の低い課題や時代遅れの活動から資源を再配分することが不可欠だと考えます。我が国としては、中断・廃止すべき活動が事務総長によって認定され、提案されることを期待します。このことは、現下の予算についてあり得べき増大を考えるとさらに重要となります。そうした努力が成功裡に行われることなく、結果として国連予算の規模が増加を続けることとなれば、通常予算の1/5にも上る財政貢献を行っている我が国として、納税者たる国民に対し説明責任を果たすことは困難となります。

我が国国内の予算編成においても、限られた予算枠の中で優先事項を定め、廃止する活動を特定する際には各省庁の各部局の長が重要な役割を果たしています。日本の納税者は、国連の予算編成過程においても同様のことを期待しています。

よって我が国は、事務総長報告書で提案されているサンセット条項導入のためのイニシアテイブを支持します。

((2)人権分野)

第二に、我が国は人権高等弁務官事務所のマネジメント改善が重要であることを強調します。その目的のために、高等弁務官によって具体的かつ実効性のある提案が出されることを期待しています。人権高等弁務官事務所が、それぞれの機関のマンデートとの整合性を確保しつつ、また国際社会における人権の基本的考え方を維持しつつ、国連機関、機構、専門機関との協調を推進するよう努めるべきです。

((3)人事管理)

第三に、我が国は事務局職員に関する公平な地理的配分の原則の達成を特に重視しております。過小代表や非代表の問題を解消するため、我が国は、第55回総会決議(55/258)が要請しているように、事務総長が衡平な地理的配分達成のための数値目標を含む計画を策定することを期待します。人事管理改革に関する事務総長報告(A/57/293)は、この要請に十分に応えていません。我々は第57回総会会期中に十全な報告がなされることを期待します。

一般職職員の専門職職員への昇進数の制限を撤廃するという提案について、我が国は、そうした昇進の機会は一般職職員の専門職への採用者数の比率の引き上げにより確保されるべきではないと考えています。むしろ我が国としては、第51回総会決議(51/241)で言及され、第56回総会決議(56/253)で再確認されたように、事務局におけるトップ・ヘビーのポスト構成をよりピラミッド型のポスト構成に変えることにより、国別競争試験及び一般職から専門職への試験(GtoP試験)による専門職への採用機会を増大していくことが適切であると考えています。

((4)効率的で実効的な国連)

第四に、我が国は国連の効率性と実効性を高めるという観点から、国連システムと他の機関との現場における一層の調整、報告書ならびに会議運営の簡素化を期待します。

事務総長が開発分野における国連の努力に焦点を当てていることを歓迎します。我が国は、開発資金国際会議や持続的可能な開発のための世界サミットをはじめとする開発分野での一連の大規模国際会議のフォローアップを、国連システムとしていかにして統合、調整された形で進めるか、また、そうした会議の成果をいかにして実現していくかについて、議論が深められていくことを希望しています。我が国としては、他の議題の下で行われているそのための議論が国連改革全体に資するものとなることを期待します。

議長、

最後に安保理改革につき申し上げます。今回の報告書は、安保理改革のように作業部会が取り上げている政府間組織の必要な変革は対象としていません。しかしながら、これは国連強化のために重要な課題であります。事務総長が報告書で述べているように、「安保理改革なしに如何なる国連の改革も完結」しません。実効性を損なわないことを確保しつつ、安保理を拡大することは可能であり、かつ、そうしなければなりません。明年、安保理改革に関する議論が10年目を迎えます。我が国は、この目的へ向けた実際的な一歩として、拡大後の安保理の議席数の問題などに焦点を絞った議論を行うべきだと考えます。我が国はこの点に関し努力する考えです。我が国は報告書が議論にさらなるモメンタムを与え、事務総長が本件に関し積極的に関与されることを期待します。

議長、

我が国は、我々の国連を改革するための努力が、組織の実効性と効率性を高めることを期待し、この目的を実現するため、国連ならびに加盟国と協力していく決意です。