2011年

総会非公式テーマ別討論「グローバル・ガバナンスにおける国連」
角大使の発言骨子
2011年6月28日

 

1 国連専門機関、ブレトン・ウッズ諸機関を含めた国連システムは、政治、経済、社会のあらゆる分野においてグローバル・ガバナンスを実践しており、その中で国連は中心的な役割を果たしている。

 

2 このテーマ(“Reaffirming the central role of the United Nations in global governance”)を就任時より提唱され、本日のテーマ別討論を開催されたダイス総会議長に敬意を表すると共にそのイニシアティブを歓迎する。またチリ・とシンガポール等より提案され、採択された総会決議(A/RES/65/94)”The United Nations in global governance”を歓迎。

 

3 グローバル・ガバナンスの文脈における国連にとっての最大の課題は、国際の平和と安全の確保。この分野では、安保理の活動強化、効果的な安保理の機能の確保、紛争をより総合的観点から捉えること及び平和を担保するための核軍縮と不拡散の進展が重要。また、国連は経済・開発分野でも主要な役割を担っており、特に2015年までのMDGsの達成は貧困削減と人間の安全保障の確保にかかわる喫緊の課題。世界的な経済・財政状況の停滞がMDGs達成に負の影響を与えていることもあり、国連は、経済分野のグローバル・ガバナンスでより効果的な役割を果たすべくG20を含む関係機関・フォーラムとの連携を一層強化することが望まれる。これらの分野でダイス総会議長自らが果たされている役割を高く評価する。

 

4 MDGs達成を含む開発問題への取組においては、予防外交や紛争後の諸問題にも取り組む必要がある。紛争が終結しても、10年後には、またその半数の国で紛争が再発するという調査報告もある。平和が維持され、平和が構築されるためには紛争後の経済的・社会的安定が不可欠であり、人間の安全保障の観点から復興から開発までつなぎ目ない移行が実現することを支援することが、グローバル・ガバナンスの一環として国連に期待される。PBCは、そのための鍵となる組織。

 

5 昨年9月、ダイス総会議長が就任に当たって行われたステートメントにおいて、国連はグローバル・ガバナンスの中心であり、そのためには内部の改革も重要であると指摘され、安保理改革の重要性を訴えられた。今総会においては、国連改革の一つの柱として設立された人権理事会及び平和構築委員会のレビューも行われた。残された大きな課題が安保理改革である。国際の平和と安全という国連にとっての最大の課題に取り組む上で、安保理がより代表性・正統性を有し、実効性・効率性を高める形で改革される必要がある。この進展を得られなければ、いずれ国連はマージナライズされかねない。今総会会期中に具体的成果を挙げたいとするダイス総会議長の決意を高く評価し、同議長のイニシアティブに期待している。

 

6 我が国自身、3月に発生した東日本大震災と原子力発電所の事故の影響はあるものの、この困難を克服し、国際社会との更なる協力を通じ、強く開かれた国を創造していくと決意。引き続き国際社会の平和と繁栄に貢献することこそ、国際社会への最高の返礼と確信。 (了)