国際連合安全保障理事会(東チモール情勢に関する公開討論)
における佐藤行雄国連代表部大使ステートメント
2002年4月26日
議長、
本日この重要な問題に関する会合を開催して頂いたことに感謝します。
まずはじめに、日本政府を代表して、シャナナ・グスマン氏に対し独立後の初代東チモール大統領に選ばれたことをお祝い申し上げたいと思います。
また、これまで東チモール暫定政府の首席をつとめられ、独立後にも引き続き東チモールの国造りのために重要な職務を果たされるマリ・アルカティリ氏に対しても敬意を表します。
さらに、4月14日の東チモール大統領選挙が成功裏に実施されたことについても改めて祝意を表します。日本政府が派遣した選挙監視団を含めて国際社会は、今回の選挙が自由かつ公正に行われたと評価しました。昨年8月の憲法制定議会選挙に続くこの選挙の成功は、東チモールの人々の民主主義への確固たるコミットメントを示すさらなるあかしです。
小泉純一郎総理は大統領に選出されたグスマン氏に対する祝意のメッセージにおいて、同氏が、東チモール政府及び国民と一致団結して、自立できる国家を築くために必要な諸課題に取り組むことへの期待を表明するとともに、日本政府として今後とも東チモールに対して可能な限りの支援を行っていく考えを伝えました。
そしてこの月曜日に小泉総理は東チモールを訪問します。小泉総理のこの訪問は、東チモールに対する日本国民の祝意と支援の決意を東チモールの指導者や国民に直接伝えることを目的にしています。小泉総理はディリにおいてグスマン氏及びアルカティリ氏とお会いし、東チモールの将来やアジア・太平洋地域の政治的安定と経済発展について協議することを楽しみにしています。
議長、
日本政府はこれまでも東チモールを支援する上で、国際社会の中で指導的な役割を果たすべく努めてきており、すでに支援済みの額では最大の支援国となっています。
日本政府は、2000年12月に東京で開催した第一回目の東チモール支援国会合において日本政府が表明した、三年間で1億3000万ドルを供与するという約束にもとづいて、復興開発と人道支援のために1億2000万ドルにのぼる支援をすでに実施しています。
また、国連の平和維持活動に参加するために日本の自衛隊の女性隊員を含む680名の施設部隊が今月展開を完了しました。彼らは東チモールの復興と開発にも貢献する道路や橋の整備や補修等を行っていきます。
議長、
東チモールにおいてUNTAETが達成したことは、国連として誇るべき成功物語です。過去二年半にわたりUNTAETが東チモールの独立に向けた歩みを支援する上で果たしてきた重要な役割はいくら強調しても強調しすぎることはありません。それ故に私は、この機会に、セルジオ・デ・メロ事務総長特別代表及びその他のUNTAETのメンバーに対し、この期間を通じた彼らの指導力と献身的な努力に対する日本政府の賞賛と感謝の念を表明したいと思います。
また私は、コフィー・アナン事務総長が4月17日に安全保障理事会に提出した東チモールに関する報告(S/2002/432)を歓迎いたします。日本政府はこの報告に記述された、国連東チモール支援ミッション(UNMISET)の任務、構成及びタイムテーブルについての構想を支持します。また日本政府は、安保理事会がUNMISETにその当初の一年間についてのマンデートを与える決議を採択すべきであるとの事務総長の勧告を支持します。
議長、
東チモールが独立後に多くの難しい課題に直面するであろうことは誰の目にも明らかです。このような認識にたって私は、東チモールの指導層が団結して国を導くことが重要であること、東チモール国民が自国の発展を自らの責任に係わる課題と考えて国造りの努力に参加することが重要であること、そして国際社会が東チモールに対する支援を継続することが重要であることを指摘したいと思います。特に、東チモールの安定と繁栄のためには、国際社会の支援と東チモールと近隣諸国の間の良好な協力関係の発展が不可欠であることを強調したいと思います。
日本政府としては、東チモールを支援する国際的な努力において引き続き重要な役割を果たすために努力を惜しまない決意です。
ありがとうございました。
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