決議1325「女性・平和・安全」に関する安保理公開討論
2004年10月28日
議長、
この度は、「紛争下・紛争後におけるジェンダーに基づく暴力に対する国連の対応力の強化」という、我々が極めて重要視している問題について意見を述べる機会を与えて頂き、感謝致します。
議長、
紛争下において、女性が生きることを余儀なくされている状況は、正に人倫を踏みにじるものです。通常、彼女たちが紛争を開始するのでも、戦争を行うわけでもありませんが、彼女たちの性が特に狙われることが多々あります。このような状況は、いかなる場合にも許容されてはなりません。しかし、同時に、紛争中よりも紛争後の状況においてのほうが、この問題により効果的に取り組むことができるのだということを、国際社会は冷静に認識する必要があります。
紛争後の状況は、女性の尊厳に対する脅威を除去するための機会の扉を開きます。さらに、女性のエンパワーメントは、紛争後の平和構築のための最も有効な方法の一つであるというのは、日本が固く信じるところです。平和構築を成功させることができれば、紛争の再発防止につながり、結果的にはジェンダーに基づく暴力の危険性を減らすことにもつながります。また、決議1325が再確認しているように、女性たち自身も紛争防止において重要な役割を果たしています。女性は、新たな若しくは再発している暴力を防止するために、コミュニティのキャパシティ造りをする上で決定的な役割を果たすと知られています。
議長、
現在、女性が平和構築において重要な役割を果たすという認識は、広く共有されています。我々が今すべきことは、紛争後の状況に置かれている女性をエンパワーするために、実際の行動を現場で起こすことによって、この認識をフォローアップすることです。女性は、彼女たちのコミュニティにおいてより大きな役割を果たし、平和構築及び復興プロセスに参画することができるようになるための支援を必要としています。
この関連から、人間の安全保障の概念に再び言及したいと思います。我々は、人間の安全保障概念の本質は、市井の人々の保護とエンパワーメントであると信じています。人間の安全保障の促進は、現在の日本の外交政策の支柱となっています。人間の安全保障を強化するために現場における、より多くの行動がとられることを保障すべく、日本がイニシアチブをとって、国連人間の安全保障信託基金を設立しました。紛争後の状況にある女性をエンパワーするという目的で、国連のファンズ・アンド・プログラムや専門機関が人間の安全保障信託基金を活用して行っている活動の例をいくつか紹介致します。 UNFPA は、エリトリアにおいて、「緊急リプロダクティブ・ヘルス・サービス」( 988,098US ドル)を実施しています。 UNIFEM は、アフガニスタンにおいて「国内避難民及び難民女性の共同体構築への統合」( 1,030,000US ドル)、また、ルワンダでは「 HIV/AIDS に関連するジェンダー平等を通じた人間の安全保障の促進」( 1,323,336US ドル)と題するプロジェクトを行っています。
議長、
決議1325採択から4年の間に、平和と安全保障の全ての分野における女性の参加の重要性に対する認識が高まったのと同様に、武力紛争が女性及び女児に与える影響に対する国際理解も深まりました。決議のお陰で、紛争構築及び復興プロセスにおける男女のパートナーシップの重要性に対する認識も高まり、国際社会は決議実施のために重要な努力を行ってきました。他方、事務総長報告が指摘しているように、これらの努力が本当に適切なものであるかどうかは、現場でのインパクトによって計られます。現場に本当の変化をもたらすために、我が国は、これまでの経験を基に、この分野において積極的に貢献していくことを約束します。
議長、ありがとうございました。 |