「児童と武力紛争」に関して安保理公開討論における小澤大使演説
2004年1月20日
議長、
我が代表団は、児童と武力紛争という問題について発言する機会を与えて下さった貴議長及び安全保障理事会に対して感謝の意を表明致します。この機会は、アフリカにおいて新たな紛争後という状況が生まれつつあるなかで時宜を得ており、安保理はこの問題に対処するために、政治ミッション及び平和維持活動の創設という形で新しいアクションをとることができるでしょう。
現在、日本の主要紙は、シエラレオネ及びリベリアにおける児童兵の現実の経験に関する特集記事を、カラシニコフ銃を持った彼らの写真と共に紹介しています。11歳の少女や10歳の少年である「児童兵」という概念は、平和な暮らしを送っている我々の多くにとって殆ど超現実的であり、理解できるものではありません。しかしながら、彼らは現実の存在なのです。我々は彼等を救うことができます。そして、一旦紛争が終結すれば、さらに効果的に彼らを救うことができると考えます。
議長、
日本は、UNICEFが運営している「バック・トゥー・スクール」キャンペーンは、紛争後の国家における社会を再建するために現在実施されている取組みのうち、最も重要なものの一つであると認識しています。我々は、アフガニスタン、そして現在はイラクにおけるこれらのプログラムの実施を支援していることを誇りに思います。これらのプログラムは、武力紛争を耐え切った子どもたちのトラウマを緩和し、子どもたちが住むコミュニティに対して、より良い未来への希望を与えることができるのです。日本は、「人間の安全保障」という概念を促進している国として、子どもと女性に焦点を当て、コミュニティの自立促進を支援するために、適切な国連機関、基金及びプログラムとの協力を継続していく所存です。
議長、
紛争下の児童の保護を目的とした数多くの国際法規があります。ジュネーブ条約という包括的枠組みの歴史的意義については言うまでもなく、国際社会は紛争下の児童の保護の状況を改善するために尽力してきました。今年中に国会承認を目指しているジュネーブ条約の二つの選択議定書には、児童の保護に関する規定が盛り込まれており、これらの規定の基になっている基本原則が国際刑事裁判所のローマ規定に進化したのです。日本が一貫してその設立を支持したローマ規定は、紛争下における児童兵の徴用を戦争犯罪として規定しています。児童の保護に関する法的枠組みの進展に沿って、日本は、2002年5月に、武力紛争における児童の関与に関する児童の権利条約に関する選択議定書に署名し、今年中に国会の承認を得るべく鋭意批准作業を進めています。我々は、この重要な法規範をまだ批准していない国々が、早期に批准することを心から望みます。
議長、
我が代表団より、オララ・オトゥヌ児童と武力紛争に関する事務総長特別代理に対し、本件問題に関する国際社会の意識向上のために過去6年間に亘って実施してきたその立派な業績に、感謝の意を表明したいと思います。また、現在ではいくつかの平和維持活動において児童保護アドバイザーが任命されており、国連機関も本件問題に取り組むためのより良い準備が出来ています。
同時に、児童と武力紛争という問題はより複雑化しています。この複雑な問題により効果的に取り組むためには、より包括的なアプローチと国連機関の間のより密な協働関係が必要です。その意味で、我々は、本件問題に対する国連システムの対応能力について包括的アセスメントを実施するように国連事務総長に求めた、第57回総会における決定を歓迎しました。これに関する報告はまだ提出されておりません。我々は、この報告が早期に提出され、その内容が本件問題に関する今後の議論に有意義な指針を提供するものであることを望みます。
議長、
我々は、児童と武力紛争の問題について、アドボカシーから具体的な行動に移る時が到来したと信じております。
ありがとうございました。
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