総会本会議における議題22「地雷対策における支援」に関する国連日本政府代表部小澤敏朗大使ステートメント
2003年11月5日
議長、
我が国は、地雷対策支援を大変重視しており、この分野において積極的な役割を果たし続けております。私達は、多くの紛争後の状況において、地雷問題に対応することが、平和と再建のための前提条件であると信じます。我が国の新ODA大綱においても、地雷関係の支援は紛争後の状況において必要とされる地域社会の安定と保護を促進することから、これらの支援にプライオリティーを置いております。“人間の安全保障”の概念の枠組みに関して言えば、地雷対策が人間の安全保障を促進するのは言うまでもありません。日本政府は、市民社会、国際社会と共に“犠牲者ゼロ・イニシアティブ”の目標を達成するべく、積極的に取り組んでいます。
議長、
日本政府は、地雷対策支援の分野においての献身的な遂行者・貢献者として、国連の地雷対策戦略における、戦略的な目標とその関連目標の実施に関する進捗・達成状況が記載された、最近の国連事務総長報告に勇気づけられております。地雷対策をできる限り有効かつ効率的に行うためには更に組織的なアプローチが望ましい旨を、これまで、日本政府として多々の機会で強調してきましたから、特に情報技術と資源の活用における進捗が評価されると考えています。勿論、遂行すべき事項は多く残っており、“犠牲者ゼロ”の目標に達するにはまだ努力が必要ではありますが、これまでに達せられた進歩には希望と自信を見出すものであります。私達は改定された戦略が、引き続きこの分野に関わる国連機関等にとっての価値あるガイダンスとなり、地雷対策コミュニティにおける調整や、説明責任を更に促進するであろうことを再確認します。
議長、
日本は、25以上の国・地域における地雷除去、犠牲者支援、地雷啓発の訓練・教育等の地雷対策活動に援助を提供してきました。日本政府は、1998年よりの5年間で総額100億円(およそ9000万米ドル)の支援を行うプレッジを昨年10月までに実行しました。さらに、国連地雷対策サービスによって運営されている地雷対策支援信託基金への我が国からの拠出額が、今年の10月時点でおよそ2370万米ドルとなり、最大ドナーの一角を占めていることは喜ばしいことであります。
財政的支援や、従来から行ってきた地雷除去等への支援に加え、日本政府は、あらたな試みとして、我が国の専門技術を利用した、更に効果的で先進的な地雷探知器、除去機の開発を、現場で活動している地雷除去従事者のアドヴァイス・意見を踏まえ、民間企業や研究者と協力しつつ進めています。私達は、その新しい技術が、現場での作業を一層促進すると期待しております。
犠牲者支援と地雷啓発も又重要であります。私達は、地雷犠牲者をこれ以上出さないための努力とともに、犠牲者の方々への支援も推進しております。地雷対策全般にわたりNGOが貴重な貢献を行っていることは注目すべきであり、日本政府は、これらNGOの業務に対して資金協力等を行うのみではなく、NGOとの対話と協調を強化することにより、地雷対策支援の有効性の向上にむけて努力したいと考えています。
議長、
地雷対策における私達の具体的取り組みとアイディアのいくつかを紹介いたします。
東南アジアは、我が国の地雷対策支援総額の38%を占めておりますが、現在、日本政府は、ジュネーブの人道的地雷除去国際センター(GICHD)とともに、同センター(GICHD)が開発した地雷対策情報管理システム(Information
Management System for Mine Action(INSMA))の東南アジア・サポート・センターを開設することを検討し協議を進めています。この構想の実現によって、東南アジアにおける地雷対策の情報管理の開発、発展が促進されることを期待します。
私達は、アフガニスタンへの地雷対策支援にも強いコミットメントを行っております。我が国は、これまでにアフガニスタン向けに総額5000万ドル以上の支援を行っており、これらは、ANBPの一環として、また、武装解除された元兵士の雇用・社会復帰の一環として行う地雷除去プログラムへの支援を含みます。我が国は、アフガニスタンにおける平和の定着と国造りに対し、国連のミッションや他のドナーと協力しつつ、支援を続けていきます。
日本の地雷対策支援は、アフリカにも及んでおり、アンゴラ、モザンビーク、スーダン、ザンビア、ルワンダ、チャド、エチオピア、エリトリア等に対し支援を行ってきています。私達は、これらの支援が、アフリカにおける発展の前提となる平和と安全の実現に貢献することを心から希望していおります。
イラクに関しては、地雷及び不発弾(UXO)による脅威に関し、特に、国連の支援による作業が安全上の理由で停止されていることから懸念を有しています。日本政府は、国連地雷対策サービスの地雷対策支援信託基金への拠出を通じて、イラクにおける地雷回避教育、啓発キャンペーン、地雷及び不発弾(UXO)の調査を支援する可能性を検討しています。
議長、
私は、日本政府が、この分野における他の関係者と協力しつつ、地雷問題の地球的規模での解決、そして、世界を、我々全てにとってより安全な場所とすることへ向けた努力を続けていくことを再確認し、このステートメントを終わらせていただきます。ありがとうございました。
有り難うございました。
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