国連総会議題78「情報問題」大嶋英一国連代表部公使ステートメント(仮訳)
2004年10月20日
議長、
御承知のとおり、今日国連は様々な新しい課題に直面しており、国連改革の必要性が声高に叫ばれています。この関連で、アナン事務総長により設置された「脅威、課題と変革に関するハイレベル委員会」で活発な議論が継続されていると承知しています。
我々は、これらの脅威と課題に対処するために、強く且つ効果的な国連を必要としており、小泉総理が一般討論演説で述べたとおり「国連新時代」を構築しなければなりません。一方で国連が強く効果的になるためには、国連自体が改革されるのと同時に、改革された国連をアピールし国際社会の中で国連に対する支持と理解を高めていくことが重要です。この点で広報局の役割はより一層大きくなっています。
こうした中で、国連広報局が率先して改革を行い広報強化に努力してきており、その具体的な努力とイニシアティヴを我が国は高く評価します。これらの取組はあくまで国連広報を効率的にし、有効な広報が行われる為になされなければなりません。と同時に、効率的で有効な国連広報を実現する為には加盟国の支援も必要です。
我が国は、国連の情報発信の強化の為に、従来より様々な協力を行ってきました。わが国が国連広報を重視する姿勢は、東京国連広報センター(東京UNIC)の為に行っている支援にも反映されています。我が国は厳しい財政状況にあるにも拘わらず、東京UNICの広報活動事業費として、来年は35万ドルに上る貢献を行なう予定です。これは今年に比べ40%の増加です。
東京UNICは、国連が日本語で情報発信する唯一の組織であって、わが国国民が国連諸活動の重要性に対する理解を深める上で極めて重要な役割を果たしています。日本は第二の国連分担金支払い国であるとともに、多くの国連機関の主要出資国ですが、これは税負担者たる国民の国連活動に対する支持と理解があってこそ可能なのです。日本国内に国連分担金の負担に対し不満が存在することも事実であり、さればこそ、国連の諸活動のみならず国連が行っている改革努力に対する国民の理解を深めていく必要があります。この観点から東京UNICはより一層の役割を果たしていくことが求められていると考えます。
議長、
次に私は我が国が国連広報局に特に期待したい点について触れたいと思います。国連広報局が国際社会の直面する課題に焦点を当てた広報キャンペーンを行い、特にアフリカ開発に関する広報に積極的に取り組んでいることを評価します。我が国も従来よりアフリカの支援に高い優先度を置き強力に推進してきました。我が国はアフリカにおける人間の安全保障の確保、すなわちアフリカの市井の人々を保護し又能力強化していくことが、アフリカにおける国造りに極めて重要であると信じており、人間の安全保障基金や人間の安全保障に関連した二国間経済協力を通じアフリカ支援を強化しています。また、我が国の推進するアフリカ開発会議(TICAD)プロセスの一環として、アフリカへの貿易投資の拡大を目的として、我が国は11月初めに東京においてTICADアジア・アフリカ貿易投資会議を主宰します。我が国としては引き続き広報局がアフリカ開発に優先度を置いていくことを期待します。
持続可能な開発は人類が直面する大きな課題であり、このような地球規模の問題に対し国連広報が果たす役割は大きいと考えます。日本としても、ミレニアム開発目標の重要な柱である水と衛生の分野で世界最大の貢献を行い、また水と衛生に関する事務総長の諮問委員会において日本の橋本龍太郎元総理が議長を務めるなどこの分野で積極的な関与を続けています。また、持続可能な開発を達成する上で、効果的な防災戦略は鍵となる要素の一つです。自然災害は長年にわたる開発努力の成果を一瞬にして消し去ってしまうものです。日本は明年1月、10年前に壊滅的な大地震に見舞われ、その後その被害から復興した神戸において防災世界会議を主宰します。我が国としては、国連広報局が持続可能な開発をテーマ別広報キャンペーンの一項目に含め、より多くの人々の関心を集めるよう活動することを期待します。
最後にウェッブサイトの多言語主義について意見を申し述べます。国連ウェッブサイトが2003年に計21億以上ものヒットを記録したと承知します。このメッセージ発信力は国連ならではのものであり、大いに誇れるものだと考えます。他方、このウェッブサイトの改善については、引き続き既存のDPIのリソースの中で達成可能であろうと思われ、そのように努力して欲しいと考えます。
議長、
我が国は引き続き国連広報の強化と改善に向け、国連ならびに加盟国と協力していく決意を確認します。
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