2003年

 
 

「核兵器の全面的廃絶への道程」決議案

第58回国連総会

総会は、

  • 1994年12月15日の決議49/75H、1995年12月12日の決議50/70C、1996年12月10日の決議51/45G、1997年12月9日の決議52/38K、1998年12月4日の決議53/77U、1999年12月1日の決議54/54D、2000年11月20日の決議55/33R、2001年11月29日の決議56/24N、2002年11月29日の決議57/78を想起し、
  • 国際の平和及び安全の増進と核軍縮の促進とは、相互に補完し強化し合うことを認識し、
  • 大量破壊兵器の拡散により増大しつつある危険に関する深い懸念を表明し、
  • 核の惨禍を回避するためにあらゆる努力を払うべきことを確信し、
  • 核兵器不拡散条約(NPT)が、国際的な核不拡散体制の礎として、また核軍縮を追求する上で必要不可欠な基盤として、決定的に重要であることを再確認すると共に、東ティモールの本条約加入を歓迎し、
  • NPT・核不拡散体制への挑戦により完全遵守の必要性が更に増大したこと、また、全ての締約国による条約遵守への信頼がある場合にのみNPTはその役割を果たすことができることに留意し、
  • 一方的或いは更なる核軍縮への一歩となるべき米露間の戦略攻撃削減条約の最近の発効を含む交渉を通じた、核兵器国による核兵器削減の進展、及び国際社会による核軍縮・不拡散に向けた努力を認識し、
  • 核軍縮における更なる進展は、国際的な核不拡散体制を強化し、国際の平和と安全の確保に資するとの確信を再確認し、
  • 直近の核実験以降、核兵器の実験的爆発又は他の核爆発に関するモラトリアムが継続していることも歓迎し、
  • 2000年NPT運用検討会議の最終文書が成功裡に採択されたことを歓迎するとともに、その結論を履行することの重要性を強調し、
  • 2005年に開催される運用検討会議に向けた2003年4-5月の第2回準備委員会における建設的な議論を歓迎し、
  • 昨年12月に東京において開催されたIAEA保障措置強化のための国際会議を含む、IAEA保障措置の更なる強化を目的とした一連のセミナー及び会議が成功裏に開催されたことを歓迎し、前述のセミナー及び会議の成果を最大限活用することによって、保障措置及び追加議定書の普遍化によりIAEA保障措置システムが更に強化されることへの希望を共有し、
  • ロシアと米国が、両国間の新たな戦略関係に関する共同宣言に従って、集中的な協議を継続することを慫慂し、
  • 更に包括的核実験禁止条約(CTBT)第14条に基づいて2003年9月に開催されたCTBT発効促進会議の最終宣言を歓迎し、
  • テロリストが核兵器又は関連物資、放射性物質、機材及び技術を取得または開発することを防止する重要性を認識するとともに、この点に係るIAEAの役割を強調し、
  • 未来の世代のための軍縮・不拡散教育の重要性を強調すると共に、57回会期において国連事務総長から国連総会に提出された、軍縮・不拡散教育に関する国連事務総長報告書の勧告を歓迎し、

以下決議する。

  1. NPTの普遍性を達成することの重要性を再確認するとともに、未締約国に対し、遅滞なくかつ無条件に同条約に非核兵器国として加入することを要請する。
  2. NPTの全締約国が、同条約上の義務を履行することの重要性を再確認する。
  3. NPT第6条並びに1995年の「核不拡散及び核軍縮のための原則と目標」決定のパラグラフ3及び4(c)を履行する体系的、漸進的努力のための、以下の現実的な措置の核心的重要性を強調する:
    • (a)遅滞なくかつ無条件に、かつ憲法上の手続に従い、CTBTに署名・批准し、その早期発効を達成することの重要性及び緊急性、並びにその発効までの間の、核実験爆発或いはそれ以外のあらゆる核爆発のモラトリアム。
    • (b)1995年の特別コーディネーターの報告書及び同報告書に含まれた任務に基づき、また、核軍縮と不拡散の双方の目的を考慮して、核兵器或いはその他の核爆発装置用の核分裂性物質の生産を禁止する、国際的かつ効果的に検証可能な無差別的な多数国間条約を交渉するためのアドホック委員会を、2004年会期内のできるだけ早期にジュネーブ軍縮会議(CD)に設置し、5年以内に交渉を妥結すること、並びに同条約の発効までの間の核兵器用核分裂性物質の生産モラトリアム。
    • (c)作業計画を策定する文脈の中で、核軍縮を扱うことを任務とする適切な補助機関を、2004年会期内のできるだけ早期にCDに設置すること。
    • (d)核軍縮、核及び核に関連する兵器の軍備管理・削減措置に関し、不可逆性の原則を含めること。
    • (e)2000年NPT運用検討会議で合意された、NPT加盟国が同条約第6条の下で同意する核軍縮につながる、核兵器の全面的廃絶を達成することへの核兵器国による明確な約束。
    • (f)ロシア及び米国が、戦略的安定性及び国際的安全保障を維持、強化するため、既存の多数国間条約に大きな重要性を置きつつ、戦略攻撃兵器の大幅な削減を行うこと。
    • (g)国際の安定を促進し、かつすべてのものにとっての安全保障が損なわれないとの原則に基づく方法で、すべての核兵器国が核軍縮につながる以下の措置をとること:
      • -すべての核兵器国が、一方的な核軍備削減を継続するようなお一層の努力を払うこと
      • -核兵器能力及びNPT第6条に従った合意の実行に関し、核軍縮に関する一層の進展を支える自発的な信頼醸成措置として、すべての核兵器国が透明性を向上させること
      • -一方的なイニシアチブに基づき、かつ核兵器削減及び軍縮の過程の不可分の一部としての、非戦略核兵器の一層の削減
      • -核兵器システムの運用状態を一層低減するための具体的な合意措置
      • -核兵器が使用される危険性を最小化し、核兵器の全面的廃絶の過程を促進するための、安全保障政策における核兵器の役割の低減
      • -核兵器の全面的廃絶へ至る過程に、すべての核兵器国が早期にかつ適切に関与すること。
    • (h)軍縮の過程における各国の努力の究極的目標は、効果的な国際管理の下に置かれた全面完全軍縮であることを確認すること。
  4. 核兵器のない世界の実現のためには、核兵器廃絶の達成に向けた取組みの過程におけるすべての核兵器国によるなお一層大幅な核兵器の削減を含む、更なる措置が必要であることを認識する。
  5. 核兵器国が国連加盟国に対し、核軍縮に向けた進捗或いは努力について然るべく通知するよう求める。
  6. 2004年にNPT運用検討会議第3回準備委員会が開催されるにあたり、2005年NPT運用検討会議の成功の重要性を強調する。
  7. 現在進行中の核兵器解体に係る努力を歓迎し、その結果として生じる核分裂性物質の安全かつ効果的な管理の重要性に留意し、すべての核兵器国が、もはや軍事上必要とされない核分裂性物質を、できるだけ速やかにIAEA或いは関連する国際的検証措置の下に置くこと、また、かかる物質を永久に軍事計画の枠外に置くことを確保する目的で、平和的目的のために処分するようにすることを要請する。
  8. 核兵器のない世界を実現・維持するための核軍縮合意の遵守を保証するために必要とされる、IAEAの保障措置を含む検証能力の更なる開発の重要性を強調する。
  9. すべての国家に対し、核兵器その他の大量破壊兵器の拡散を防止し抑制するための努力を倍加し、これら兵器の拡散に資する可能性のある装置、材料、技術を移転しないとの政策を、かかる政策がNPT上の加盟国の義務に一致することを確保しつつ、必要に応じて確認し強化することを要請する。
  10. すべての国家に対し、核兵器その他の大量破壊兵器の拡散に資するあらゆる物質の安全性、安全な保管、効果的な管理及び防護に関し、これらの物質が特にテロリストの手に渡るのを防止するため、可能な限り高い水準を維持するよう要請する。
  11. 加盟国に対して、決議GC(44)/RES/19及びIAEA改訂行動計画(2003年4月)で概括された、包括的保障措置協定及び追加議定書の発効促進を目的として、行動計画の要素の実施を引き続き検討することを勧告する、IAEA総会決議GC(47)/RES/11の採択を歓迎するとともに、その重要性を強調し、右決議の早期かつ完全な履行を要請する。
  12. 核不拡散・核軍縮を促進する上で、市民社会が果たす建設的役割を奨励する。
   
国際的な核不拡散体制を強化し、国際の平和と安全の確保に資するとの確信を再確認し、
  • 直近の核実験以降、核兵器の実験的爆発又は他の核爆発に関するモラトリアムが継続していることも歓迎し、
  • 2000年NPT運用検討会議の最終文書が成功裡に採択されたことを歓迎するとともに、その結論を履行することの重要性を強調し、
  • 2005年に開催される運用検討会議に向けた2003年4-5月の第2回準備委員会における建設的な議論を歓迎し、
  • 昨年12月に東京において開催されたIAEA保障措置強化のための国際会議を含む、IAEA保障措置の更なる強化を目的とした一連のセミナー及び会議が成功裏に開催されたことを歓迎し、前述のセミナー及び会議の成果を最大限活用することによって、保障措置及び追加議定書の普遍化によりIAEA保障措置システムが更に強化されることへの希望を共有し、
  • ロシアと米国が、両国間の新たな戦略関係に関する共同宣言に従って、集中的な協議を継続することを慫慂し、
  • 更に包括的核実験禁止条約(CTBT)第14条に基づいて2003年9月に開催されたCTBT発効促進会議の最終宣言を歓迎し、
  • テロリストが核兵器又は関連物資、放射性物質、機材及び技術を取得または開発することを防止する重要性を認識するとともに、この点に係るIAEAの役割を強調し、
  • 未来の世代のための軍縮・不拡散教育の重要性を強調すると共に、57回会期において国連事務総長から国連総会に提出された、軍縮・不拡散教育に関する国連事務総長報告書の勧告を歓迎し、
  • 以下決議する。

    1. NPTの普遍性を達成することの重要性を再確認するとともに、未締約国に対し、遅滞なくかつ無条件に同条約に非核兵器国として加入することを要請する。
    2. NPTの全締約国が、同条約上の義務を履行することの重要性を再確認する。
    3. NPT第6条並びに1995年の「核不拡散及び核軍縮のための原則と目標」決定のパラグラフ3及び4(c)を履行する体系的、漸進的努力のための、以下の現実的な措置の核心的重要性を強調する:
    4. 核兵器のない世界の実現のためには、核兵器廃絶の達成に向けた取組みの過程におけるすべての核兵器国によるなお一層大幅な核兵器の削減を含む、更なる措置が必要であることを認識する。
    5. 核兵器国が国連加盟国に対し、核軍縮に向けた進捗或いは努力について然るべく通知するよう求める。
    6. 2004年にNPT運用検討会議第3回準備委員会が開催されるにあたり、2005年NPT運用検討会議の成功の重要性を強調する。
    7. 現在進行中の核兵器解体に係る努力を歓迎し、その結果として生じる核分裂性物質の安全かつ効果的な管理の重要性に留意し、すべての核兵器国が、もはや軍事上必要とされない核分裂性物質を、できるだけ速やかにIAEA或いは関連する国際的検証措置の下に置くこと、また、かかる物質を永久に軍事計画の枠外に置くことを確保する目的で、平和的目的のために処分するようにすることを要請する。
    8. 核兵器のない世界を実現・維持するための核軍縮合意の遵守を保証するために必要とされる、IAEAの保障措置を含む検証能力の更なる開発の重要性を強調する。
    9. すべての国家に対し、核兵器その他の大量破壊兵器の拡散を防止し抑制するための努力を倍加し、これら兵器の拡散に資する可能性のある装置、材料、技術を移転しないとの政策を、かかる政策がNPT上の加盟国の義務に一致することを確保しつつ、必要に応じて確認し強化することを要請する。
    10. すべての国家に対し、核兵器その他の大量破壊兵器の拡散に資するあらゆる物質の安全性、安全な保管、効果的な管理及び防護に関し、これらの物質が特にテロリストの手に渡るのを防止するため、可能な限り高い水準を維持するよう要請する。
    11. 加盟国に対して、決議GC(44)/RES/19及びIAEA改訂行動計画(2003年4月)で概括された、包括的保障措置協定及び追加議定書の発効促進を目的として、行動計画の要素の実施を引き続き検討することを勧告する、IAEA総会決議GC(47)/RES/11の採択を歓迎するとともに、その重要性を強調し、右決議の早期かつ完全な履行を要請する。
    12. 核不拡散・核軍縮を促進する上で、市民社会が果たす建設的役割を奨励する。