2003年

 
 

平和維持活動特別委員会における本村芳行国連代表部大使演説

平成15年3月3日

議長、

初めに、ナイジェリアのアーサー・ムバネフォ大使に対し、議長に再選されたことをお祝い申し上げます。私達本委員会出席者は、貴議長の知恵と優れた指導により、今会期が建設的な結果に導かれることを確信しています。我が国は平和と安全の維持における国連の役割を非常に重要と考えており、国連平和維持活動を強化する努力を支持しています。貴議長が職務を遂行するに当たり、当代表団は引き続き協力致します。

本委員会の勧告の履行状況を示す報告書を出された事務総長に感謝します。本日午前事務総長報告を補足する包括的な発言を行って頂いたジャン=マリー・ゲエノ事務次長にも感謝します。事務次長の発言は、事務総長報告と共に、私達の討議の有益な基礎となるものです。

議長、

事務総長報告に示されている通り、国連平和維持活動はバルカン、東チモール、アフリカ等の地域において大きな前進を遂げてきました。昨年12月にはボスニアとプレヴラカ半島で活動が成功裡に任務を終了しました。このように平和維持活動は、しばしば複雑で困難な状況の中で、国際の平和と安全に重要な役割を果たしています。近年の平和維持活動を取り巻く複雑性や困難に対処することは本特別委員会の任務です。本日、私は本委員会がその重要な任務を果たすに当たり特に注目する必要がある幾つかの問題に触れたいと思います。

議長、

平和維持が益々複合的な性格を帯びてくるにつれて、平和維持は平和と安全のためのより広い努力と相互に関係するようになってきました。この国際的な潮流は我が国でも明らかであり、昨年12月、明石康元事務総長特別代表が長を務める懇談会が政府に報告書を提出し、我が国の国際平和協力を強化する種々の方策につき勧告しました。政府としては現在、平和の定着と国造りに焦点を当てて、アフリカを含む様々な地域において、努力を強化しています。また、同様の観点から、私共は安全保障部門改革及び法の支配の議論に関する事務局の時宜に適ったイニシアティヴを評価致します。このイニシアティヴに対応し、平和維持活動がこれらの活動にどう関与するかについて一定の見解の一致に達することが今会期の議題の主要項目です。

安全保障部門改革は平和の定着の中で重要な場合がしばしばあります。これは開発支援における新しい概念でもあり、最近では国連アフガニスタン支援団(UNAMA)の活動に組み込まれています。私共はアフガニスタンの経験を含め、加盟国と事務局との間で本件に関する議論を行うことを楽しみにしています。

安全保障部門改革の一つの重要な構成要素でもある元戦闘員の武装解除、動員解除及び再統合(DDR)についても触れたいと思います。事務総長報告において指摘されているように、効果的なDDRは任務を与えられた場合の平和維持活動のみならず、紛争当事者、国際機関、援助国等様々な主体の調整を必要とします。この分野において我が国は一貫した支援を行ってきました。例えば、私共は平和維持環境におけるDDRの原則と指針に関する平和維持活動局の研究事業を支援しました。また、2週間前には、我が国はアフガニスタンにおけるDDRに係る努力の主導国として、DDRに焦点を当て、平和の定着東京会議をホストしました。本会議においてアフガニスタンからDDRの推進に向けた決意と明確な方針が示され、国際社会がこれに応えてこの努力へのコミットメントを示したことは私共の喜びとするところです。

法の支配の問題も私達の検討に値します。紛争後の状況において国連が時に暫定的にある地域を統治することや新政府を大規模に支援することを要請される現実に鑑み、また、基本的な法秩序の維持は人道支援や開発支援の前提条件であることに鑑みると、平和維持における法の支配を多角的に検討することは必要です。私共は平和安全執行委員会(ECPS)報告書を更なる議論の基礎として歓迎します。本件を検討するに当たり、現地の規範、慣習及び状況を十分に考慮することが重要であることについても指摘したいと思います。

議長、

平和維持活動の要員の安全は全ての要員派遣国及び国連職員にとって引き続き大変大きな問題です。2002における展開している要員の全体的な縮小にも関わらず、犠牲者数は高い状態が続いています(2002年には64名の犠牲者があり、2001年と同数)。2001年の東京におけるセミナーとこれに続く平和維持活動局自身の安全レビューはいずれも平和維持活動における安全管理体制に改善の余地があることを見出しました。我が国は事務総長報告に記述されているような措置が執られつつあることを評価しますが、なお多くのことがなされる必要があることに留意せざるを得ません。したがって、私共は事務局に対しこの問題に最大の優先事項として取り組み、平和維持活動局と安全調整官室のより明確な区分とより密接な協力に向け努力を加速することを慫慂します。説明責任のための仕組み、訓練の強化、最低限の装備に関する基準の作成、法的措置及び危機発生時における要員派遣国に対するより良い情報提供も必要です。これに加え、2002年における犠牲者の大半は事故の結果として発生したことから、安全対策に対し一層の注意を向けなければなりません。

議長、

事務局と加盟国の意思疎通も改めて取り上げるべきもう一つの重要課題です。平和維持に関連する国連の指針を加盟国がより良く理解することは国連と加盟国の双方にとっての利益であり、ひいては平和維持の努力の実効性を強化することに繋がります。私共は平和維持活動局が国連待機制度に関し加盟国と定期的に協議しており、部隊所有装備品に関する講習会を開催していることを評価します。私共は、平和維持活動局の方針文書、ガイドライン、マニュアル、標準行動手続及び訓練資料の一覧表を加盟国に定期的に提出することも提案したいと思います。更に、継続的な意見交換を可能とするため、肯定的か否定的かに関わらず、本委員会に提出される事務総長報告が委員会の勧告の全てに対し回答することが重要です。平和維持活動局は、その強化された能力をもって、これらの要請に応じることができるものと考えます。

また、私は、事務局と加盟国に対し経験の共有を奨励したいと考えます。このことは、平和維持が益々複雑な取り組みとなっている点からも非常に重要です。この関連で、当代表団は、本委員会の全ての構成国及び事務局に対し、国連東チモール暫定行政機構(UNTAET)の教訓に関して2002年9月に東京で開催された国際会議の共同議長の要約を配布しました。この会議における議論は軍事部門、法と秩序、行政、能力構築、選挙、受入国との関係、ジェンダー問題、人道支援及び出口戦略に及びましたが、この要約が皆様の関心をひくものであればと思います。

議長、

発言を終える前に、平和維持活動局の改編と配員について若干述べたいと思います。我が国を含め本委員会構成員は平和維持活動の実効性の強化のために同局の強化を支持しました。私共は事務局に対し、昨年ゲエノ局長が設定した五つの戦略目標に照らして増員された職員の活用について評価することを慫慂します。

配員の問題に関する議論は完了したと考えるとの事務総長の示唆にも関わらず、総会が支持してきた平和維持活動局内の衡平な地理的配分を達成するとの目標については未だ到達されていないことを指摘しなければなりません。実際、平和維持活動局に対し認められた200近い追加ポストに対し、職員数が過少又は全く在籍していない加盟国からは2002年には13名、2001年には六名の候補者しか選定されていません。私共はこの点に関して払われてきた努力は不十分であると結論せざるを得ません。したがって、平和維持活動局内及び現地の双方で、今後の採用において、職員数が過少又は全く在籍していない加盟国の代表性を改善するための努力を倍加させるよう事務局に対し求めます。

議長、

当代表団は平和維持という重要な問題の審議に積極的に貢献する用意があることを改めて強調し、私の発言を終えたいと思います。

有り難うございました。

   
いて大きな前進を遂げてきました。昨年12月にはボスニアとプレヴラカ半島で活動が成功裡に任務を終了しました。このように平和維持活動は、しばしば複雑で困難な状況の中で、国際の平和と安全に重要な役割を果たしています。近年の平和維持活動を取り巻く複雑性や困難に対処することは本特別委員会の任務です。本日、私は本委員会がその重要な任務を果たすに当たり特に注目する必要がある幾つかの問題に触れたいと思います。

議長、

平和維持が益々複合的な性格を帯びてくるにつれて、平和維持は平和と安全のためのより広い努力と相互に関係するようになってきました。この国際的な潮流は我が国でも明らかであり、昨年12月、明石康元事務総長特別代表が長を務める懇談会が政府に報告書を提出し、我が国の国際平和協力を強化する種々の方策につき勧告しました。政府としては現在、平和の定着と国造りに焦点を当てて、アフリカを含む様々な地域において、努力を強化しています。また、同様の観点から、私共は安全保障部門改革及び法の支配の議論に関する事務局の時宜に適ったイニシアティヴを評価致します。このイニシアティヴに対応し、平和維持活動がこれらの活動にどう関与するかについて一定の見解の一致に達することが今会期の議題の主要項目です。

安全保障部門改革は平和の定着の中で重要な場合がしばしばあります。これは開発支援における新しい概念でもあり、最近では国連アフガニスタン支援団(UNAMA)の活動に組み込まれています。私共はアフガニスタンの経験を含め、加盟国と事務局との間で本件に関する議論を行うことを楽しみにしています。

安全保障部門改革の一つの重要な構成要素でもある元戦闘員の武装解除、動員解除及び再統合(DDR)についても触れたいと思います。事務総長報告において指摘されているように、効果的なDDRは任務を与えられた場合の平和維持活動のみならず、紛争当事者、国際機関、援助国等様々な主体の調整を必要とします。この分野において我が国は一貫した支援を行ってきました。例えば、私共は平和維持環境におけるDDRの原則と指針に関する平和維持活動局の研究事業を支援しました。また、2週間前には、我が国はアフガニスタンにおけるDDRに係る努力の主導国として、DDRに焦点を当て、平和の定着東京会議をホストしました。本会議においてアフガニスタンからDDRの推進に向けた決意と明確な方針が示され、国際社会がこれに応えてこの努力へのコミットメントを示したことは私共の喜びとするところです。

法の支配の問題も私達の検討に値します。紛争後の状況において国連が時に暫定的にある地域を統治することや新政府を大規模に支援することを要請される現実に鑑み、また、基本的な法秩序の維持は人道支援や開発支援の前提条件であることに鑑みると、平和維持における法の支配を多角的に検討することは必要です。私共は平和安全執行委員会(ECPS)報告書を更なる議論の基礎として歓迎します。本件を検討するに当たり、現地の規範、慣習及び状況を十分に考慮することが重要であることについても指摘したいと思います。

議長、

平和維持活動の要員の安全は全ての要員派遣国及び国連職員にとって引き続き大変大きな問題です。2002における展開している要員の全体的な縮小にも関わらず、犠牲者数は高い状態が続いています(2002年には64名の犠牲者があり、2001年と同数)。2001年の東京におけるセミナーとこれに続く平和維持活動局自身の安全レビューはいずれも平和維持活動における安全管理体制に改善の余地があることを見出しました。我が国は事務総長報告に記述されているような措置が執られつつあることを評価しますが、なお多くのことがなされる必要があることに留意せざるを得ません。したがって、私共は事務局に対しこの問題に最大の優先事項として取り組み、平和維持活動局と安全調整官室のより明確な区分とより密接な協力に向け努力を加速することを慫慂します。説明責任のための仕組み、訓練の強化、最低限の装備に関する基準の作成、法的措置及び危機発生時における要員派遣国に対するより良い情報提供も必要です。これに加え、2002年における犠牲者の大半は事故の結果として発生したことから、安全対策に対し一層の注意を向けなければなりません。

議長、

事務局と加盟国の意思疎通も改めて取り上げるべきもう一つの重要課題です。平和維持に関連する国連の指針を加盟国がより良く理解することは国連と加盟国の双方にとっての利益であり、ひいては平和維持の努力の実効性を強化することに繋がります。私共は平和維持活動局が国連待機制度に関し加盟国と定期的に協議しており、部隊所有装備品に関する講習会を開催していることを評価します。私共は、平和維持活動局の方針文書、ガイドライン、マニュアル、標準行動手続及び訓練資料の一覧表を加盟国に定期的に提出することも提案したいと思います。更に、継続的な意見交換を可能とするため、肯定的か否定的かに関わらず、本委員会に提出される事務総長報告が委員会の勧告の全てに対し回答することが重要です。平和維持活動局は、その強化された能力をもって、これらの要請に応じることができるものと考えます。

また、私は、事務局と加盟国に対し経験の共有を奨励したいと考えます。このことは、平和維持が益々複雑な取り組みとなっている点からも非常に重要です。この関連で、当代表団は、本委員会の全ての構成国及び事務局に対し、国連東チモール暫定行政機構(UNTAET)の教訓に関して2002年9月に東京で開催された国際会議の共同議長の要約を配布しました。この会議における議論は軍事部門、法と秩序、行政、能力構築、選挙、受入国との関係、ジェンダー問題、人道支援及び出口戦略に及びましたが、この要約が皆様の関心をひくものであればと思います。

議長、

発言を終える前に、平和維持活動局の改編と配員について若干述べたいと思います。我が国を含め本委員会構成員は平和維持活動の実効性の強化のために同局の強化を支持しました。私共は事務局に対し、昨年ゲエノ局長が設定した五つの戦略目標に照らして増員された職員の活用について評価することを慫慂します。

配員の問題に関する議論は完了したと考えるとの事務総長の示唆にも関わらず、総会が支持してきた平和維持活動局内の衡平な地理的配分を達成するとの目標については未だ到達されていないことを指摘しなければなりません。実際、平和維持活動局に対し認められた200近い追加ポストに対し、職員数が過少又は全く在籍していない加盟国からは2002年には13名、2001年には六名の候補者しか選定されていません。私共はこの点に関して払われてきた努力は不十分であると結論せざるを得ません。したがって、平和維持活動局内及び現地の双方で、今後の採用において、職員数が過少又は全く在籍していない加盟国の代表性を改善するための努力を倍加させるよう事務局に対し求めます。

議長、

当代表団は平和維持という重要な問題の審議に積極的に貢献する用意があることを改めて強調し、私の発言を終えたいと思います。

有り難うございました。