2005年

 
 

町村外務大臣による安保理首脳会合における演説」(仮訳)

平成17年9月14日
国際連合日本政府代表部

議長、

 テロに対抗するため、国際社会が今後一層取り組むべき課題は三点あります。
  第一は、テロを未然に防止するための対策の強化です。わが国は昨年12月にテロの未然防止に関する行動計画をまとめ、法制と運用の両面で見直しを進めています。
  第二に、国内の法制を整えるとともに、国際的な法的枠組みの強化も重要です。本年に採択された核テロ防止条約は明日小泉総理がここ国連内で署名します。
  わが国は包括テロ防止条約交渉の早期妥結に向け、各国が最大限の柔軟性を発揮することを呼びかけます。
  第三は、テロ対処能力向上のための支援強化です。
  国連、特に安保理は、本日採択された決議に示されているように、このいずれの分野においても更なる役割を果たすことができると考えます。
 

 議長、

 アフリカの紛争への対応は、世界が抱えている大きな課題です。その観点から、今回の首脳会合において平和構築委員会を設立することになったことを歓迎します。同委員会が紛争後の国際社会が一貫した継ぎ目のない支援を行う上で、極めて重要な役割を果たすことを望みます。わが国は、本日の安保理決議において強調されたとおり、包括的かつ包含的な戦略が重要であることに完全に同意します。
  わが国が従来から主張している「人間の安全保障」の考え方が重要であることについても指摘したいと思います。紛争予防のためには、個人や地域社会の人的潜在力を最大限発揮させることに着目した「人間の安全保障」の視点にたった取り組みが欠かせないことは明らかです。また、「人間の安全保障」は、移行期においても重要な指導理念です。
  わが国は、TICADの一環として、間もなくアフリカの紛争後の状況における諸問題に関する国際会議を開催することを正式に表明します。同会議では、紛争後の状況から復興・開発への段階にスムーズに繋げていくために如何なる効果的な取り組みが可能かにつき、議論を深めることができると確信しております。
 

 議長、

 本日我々が議論したテロとの闘いやアフリカの紛争予防といった世界的課題に対処するため、安保理は鍵となる役割を果たすべきです。そのためには、国連安保理が今日の現実を反映することができるよう改革されることが必要です。日本は国連安保理改革を実現するため最大限の努力を継続していくことを強調し、結びと代えさせていただきます。

 ありがとうございました。