第66回国連総会 議題11(a):スポーツとオリンピックの理想を通じた平和でより良い世界の構築
兒玉和夫国際連合日本政府代表部特命全権大使によるステートメント(和文仮訳)
2011年10月17日
議長
はじめに,本年の「オリンピック停戦」決議案を主導した英国のイニシアティブを称賛したいと思います。「オリンピック停戦」決議は,既に国連総会の良き伝統となっており,我が国は共同提案国として,「スポーツとオリンピックの理想を通じた平和でより良い世界の構築」という本決議の精神を強く支持してきております。明年ロンドンで開催されるオリンピック・パラリンピック大会が,本決議の理想と目的を具体的に実現することを確信します。
議長
我が国においては,本年8月,「スポーツは,世界共通の人類の文化である。」との言葉で始まる「スポーツ基本法」が施行されました。同法は,スポーツに関する基本理念を定め,スポーツに関する施策を総合的かつ計画的に推進し,もって国民の心身の健全な発達,明るく豊かな国民生活の形成,活力ある社会の実現及び国際社会の調和ある発展に寄与することを目的とするものです。
この関連で,本年ドイツで開催されたFIFA女子ワールドカップにおいて優勝した「なでしこジャパン」の愛称で知られる日本女子代表チームにつき述べさせていただきます。彼女たちのピッチ上での活躍は,東日本大震災後の困難な状況に立ち向かう日本の人々に多大な希望と勇気を与えました。また,「なでしこジャパン」は,大震災に関して寄付金等の形で寄せられた支援と団結への日本国民の心からの感謝を込めたビデオメッセージを世界に発信しました。これこそ,我々が信じるスポーツの力であります。
スポーツ基本法の基本理念には,「障害者が自主的かつ積極的にスポーツを行うことができるよう,障害の種類及び程度に応じ必要な配慮をしつつ推進すること」および「スポーツに係る国際的な交流及び貢献を推進することにより,国際相互理解の増進及び国際平和に寄与すること」が含まれており,これらはまさに,本日採択される本決議の理念と軌を一にするものであります。同法は,これら基本理念を踏まえ,基本的施策として,国及び地方公共団体に対し,スポーツ施設の整備に当たり,障害者等の利便性の向上を図るよう努める義務を規定するとともに,また,国及び地方公共団体に対し,スポーツに係る国際的な交流及び貢献を推進するために必要な施策を講ずることにより,国際相互理解の増進及び国際平和に寄与するよう努める義務を規定しています。
議長
東京は,2020年オリンピック・パラリンピック大会の招致を正式に申請しました。右招致が実現した暁には,日本政府として,同大会を,国連総会「オリンピック停戦」決議の精神を更に強化・発展させるための場としていきたいと思います。
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