2004年

 
 

コソボ情勢に係る安保理公開会合における北岡大使 演説(仮訳)

2004年11月29日

議長、

 本会合の開催に感謝申し上げます。また、イェッセン・ペーターセン事務総長特別代表及びそのスタッフを初めとする関係者全ての御尽力に敬意を表したいと思います。

議長、

 我が国は、十月二十三日に実施されたコソボ議会選挙が、民主的かつ平穏に実施されたことを歓迎致します。しかし、セルビア系有権者の大多数が投票に参加しなかったことは、コソボの民族融和の観点から残念に思います。我が国は、右選挙の結果に基づいて、早急に暫定自治政府が立ち上がり、水準の履行に向けて、一日も早く活動を開始することを希望致します。また、セルビア系住民及びセルビア政府関係者に対しても、「多民族からなる民主的なコソボ」の構築に向けた議論に、建設的な立場で参加することを求めます。

議長、

 カイ・アイダ氏の報告に基づいて、今般アナン事務総長が安保理に行った勧告は、傾聴に値するものと考えます。我が国は、国際社会がコソボにおいて実現しようとしている最大の目標は、「多民族からなる民主的な社会」の構築であり、右は「地位の前に水準」政策を通じて実現されなければならないと認識しています。他方で、三月に発生した暴動は、アルバニア系及びセルビア系双方にとって、現状が許容しがたい状況にあることを露呈するものでした。この状況を改善するため、「水準」政策の調整、経済状況の改善を含め、複数の政策を効率的に実施する必要があり、その観点から、我が国は、今般の事務総長勧告を支持いたします。

議長、

 事務総長勧告にいう「包括的統合戦略」は多くの内容を含むものでありますが、そのうち、「水準」政策の再調整( recalibrating the standards policy) につき一言申し上げたいと思います。どの機関にも言えることですが、特に、安保理は自らの政策に対する意見には謙虚に耳を傾ける必要があります。カイ・アイダ報告における「現在の『地位の前に水準』政策は信頼性に欠けている」との指摘について、我々はこれを真正面から受け止める必要があります。これを受けて、事務総長勧告が「水準」政策の再調整を掲げたことは意義があると考えます。無論、再調整は、コソボの政治プロセスに正しいモメンタム及び方向性を与える形で行われなければなりません。同時に、PISG及びコソボの人々に対しては、事務総長勧告にも明確に示されているように、「水準の達成」は、それ自体がコソボ及びコソボの住民にとって利益のあることである点を強調したいと思います。この観点から、今回の事務総長報告において、「水準」の履行状況が限られたものであるとされていることに懸念を表明したいと思います。

議長、

 我が国は従来から、「多民族からなる民主的なコソボ」の実現には、極めて高い失業率等経済発展のレベルの低さ及び治安や持続的帰還に向けた条件整備等といった「平和の定着」が重要であると指摘してきました。係る観点から、新しい包括的統合戦略において、短期的かつ長期的な施策を含むより強い経済発展政策及び三月の暴動の結果及び原因についての追及や持続的帰還、治安・移動の自由の改善に向けた協力の重要性が改めてうたわれたことを高く評価いたします。

議長、

 我が国は、包括的統合戦略が今後成功するための鍵は、コソボ住民がいかにオーナーシップを発揮するか、及びいかにUNMIKを始めとする国際機関が効率的に活動できるかであると考えます。新たに成立する暫定自治政府の指導者及びイェッセン=ペーターセン事務総長特別代表を初めとする関係機関の方々におかれては、是非この二点を念頭に置いて、今後も業務の遂行に努めていただきたいと思います。

議長、

 我が国は、本年四月、コソボを含む西バルカン地域の安定化のために「西バルカン平和定着・経済発展閣僚会合」を開催しました。今後とも、国際社会と協調しつつ、コソボの「水準履行計画」実施に向け、引き続き協力していく所存です。

 ありがとうございました。

   
5" height="50" border="0"> 法令外国語訳 外交政策Q&A  
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2004年

 
 

コソボ情勢に係る安保理公開会合における北岡大使 演説(仮訳)

2004年11月29日

議長、

 本会合の開催に感謝申し上げます。また、イェッセン・ペーターセン事務総長特別代表及びそのスタッフを初めとする関係者全ての御尽力に敬意を表したいと思います。

議長、

 我が国は、十月二十三日に実施されたコソボ議会選挙が、民主的かつ平穏に実施されたことを歓迎致します。しかし、セルビア系有権者の大多数が投票に参加しなかったことは、コソボの民族融和の観点から残念に思います。我が国は、右選挙の結果に基づいて、早急に暫定自治政府が立ち上がり、水準の履行に向けて、一日も早く活動を開始することを希望致します。また、セルビア系住民及びセルビア政府関係者に対しても、「多民族からなる民主的なコソボ」の構築に向けた議論に、建設的な立場で参加することを求めます。

議長、

 カイ・アイダ氏の報告に基づいて、今般アナン事務総長が安保理に行った勧告は、傾聴に値するものと考えます。我が国は、国際社会がコソボにおいて実現しようとしている最大の目標は、「多民族からなる民主的な社会」の構築であり、右は「地位の前に水準」政策を通じて実現されなければならないと認識しています。他方で、三月に発生した暴動は、アルバニア系及びセルビア系双方にとって、現状が許容しがたい状況にあることを露呈するものでした。この状況を改善するため、「水準」政策の調整、経済状況の改善を含め、複数の政策を効率的に実施する必要があり、その観点から、我が国は、今般の事務総長勧告を支持いたします。

議長、

 事務総長勧告にいう「包括的統合戦略」は多くの内容を含むものでありますが、そのうち、「水準」政策の再調整( recalibrating the standards policy) につき一言申し上げたいと思います。どの機関にも言えることですが、特に、安保理は自らの政策に対する意見には謙虚に耳を傾ける必要があります。カイ・アイダ報告における「現在の『地位の前に水準』政策は信頼性に欠けている」との指摘について、我々はこれを真正面から受け止める必要があります。これを受けて、事務総長勧告が「水準」政策の再調整を掲げたことは意義があると考えます。無論、再調整は、コソボの政治プロセスに正しいモメンタム及び方向性を与える形で行われなければなりません。同時に、PISG及びコソボの人々に対しては、事務総長勧告にも明確に示されているように、「水準の達成」は、それ自体がコソボ及びコソボの住民にとって利益のあることである点を強調したいと思います。この観点から、今回の事務総長報告において、「水準」の履行状況が限られたものであるとされていることに懸念を表明したいと思います。

議長、

 我が国は従来から、「多民族からなる民主的なコソボ」の実現には、極めて高い失業率等経済発展のレベルの低さ及び治安や持続的帰還に向けた条件整備等といった「平和の定着」が重要であると指摘してきました。係る観点から、新しい包括的統合戦略において、短期的かつ長期的な施策を含むより強い経済発展政策及び三月の暴動の結果及び原因についての追及や持続的帰還、治安・移動の自由の改善に向けた協力の重要性が改めてうたわれたことを高く評価いたします。

議長、

 我が国は、包括的統合戦略が今後成功するための鍵は、コソボ住民がいかにオーナーシップを発揮するか、及びいかにUNMIKを始めとする国際機関が効率的に活動できるかであると考えます。新たに成立する暫定自治政府の指導者及びイェッセン=ペーターセン事務総長特別代表を初めとする関係機関の方々におかれては、是非この二点を念頭に置いて、今後も業務の遂行に努めていただきたいと思います。

議長、

 我が国は、本年四月、コソボを含む西バルカン地域の安定化のために「西バルカン平和定着・経済発展閣僚会合」を開催しました。今後とも、国際社会と協調しつつ、コソボの「水準履行計画」実施に向け、引き続き協力していく所存です。

 ありがとうございました。