2005年

 
 

小型武器に関する安保理公開討論における川口総理補佐官演説(仮訳)

 

平成17年2月17日
国際連合日本政府代表部

議長、

まず、安保理の議論に参加する機会を与えていただいたことをうれしく思います。また小型武器問題につき我が国の立場を表明する機会を与えて頂いたことに感謝するとともに、名誉に感じております。また国連事務総長報告につき包括的な説明をして頂いた阿部信泰軍縮担当事務次長に対し感謝申し上げます。今回の報告は、過去1年あまりの間の小型武器分野における進展と今後対応がなされるべき挑戦を効果的に指摘したものとして、将来の作業についての貴重なガイダンスとなるものと考えます。

議長、

小型武器問題は、小型武器により多数の生命が犠牲になるという側面ばかりでなく、児童兵の問題を生じさせたり、ポスト・コンフリクト下の復興開発の阻害要因にもなることで経済・社会的な側面を有する複合的な問題であります。

 言い換えれば、ハイレベルパネル報告書にもあるように平和と開発を結ぶ絆となる重要な分野であります。このような理由から我が国は小型武器問題を重要視しております。国連総会における小型武器決議は毎年国際社会が解決すべき問題に対する実際的な処方箋となっています。我が国はコロンビア、南アとともに小型武器決議の共同提案国として、この決議がコンセンサス採択されてきたことは意義を有していると考えています。「国連小型武器政府専門家パネル」及び「国連小型武器政府専門家グループ」はともに堂之脇光朗大使が議長を務めてきましたが、これも小型武器問題に関する我が国の取り組みの一つです。

議長、

小型武器問題における我が国の考えにつき、何点に絞って述べたいと思います。これらの点は事務総長報告に含まれる主要な要素とも密接に付随しています。

小型武器問題への取り組みにおける国連プロセスの指針は、2001年に採択された「あらゆる側面における小型武器非行法取引の防止、除去及び撲滅のための行動計画(通称、国連小型武器行動計画)」に基づいています。我が国は、この行動計画の実施を支援するため、東京、バリ、カザフスタン、フィジーといった各地でのセミナーやワークショップへの支援を含む様々な活動を行っています。本年4月には日本、中国、スイス及び国連アジア太平洋平和軍縮地域センターによりASEAN及び中央アジア諸国を招き、各国での国連小型武器行動計画の実施を支援するためのワークショップの開催が予定されています。

非合法な小型武器の刻印及び追跡(トレーシング)は、国連小型武器行動計画に示された大きな課題の一つであります。国連事務総長報告も指摘するように、国連総会によって設立されたオープンエンド作業部会は進展を見せており、また我が国は、原則として武器を輸出しない国家として、作業部会での議論に建設的な貢献を行ってきました。引き続き作業部会の成功のために貢献していきます。

事務総長報告において最新の状況が詳細に示されているように、DDRは、紛争後において国家が再び紛争に立ち戻らないことを確保するためにますます重要は手段となってきております。様々な分野において発展が見られる一方、解決しなければならない問題も多く残されています。DDRにおける進展のため、我が国は具体的な行動をとっています。例えば長引く内戦により疲弊したアフガニスタンにおいてDDRを行うことは、平和と安定を維持するために必須であります。我が国はかかる観点に立ち、アフガニスタンでのDDRのリード国として、専門家の派遣や、草の根レベルでのプロジェクトの実施を通じ元兵士の社会復帰のための職業訓練を提供することでDDRを支援しております。

また我が国はリベリア、コンゴ(民)等、アフリカにおいてもDDRプロジェクトを実施する国連関係機関と協力しています。

 この点については、私(川口総理補佐官)は、ついこの前まで外務大臣として、我が国の外交の柱の一つとして「平和の定着」を提唱しました。この間替えは、ポスト・コンフリクト状況にある国が、国家再建に向け、円滑に移行できるよう必要な支援を行うということです。こういった努力は徐々に実を結びつつあると確信しています。

議長、

「平和の定着」の考えは、国際的な平和及び安定に関する問題は、グローバル化した世界の開発問題と密接に関連しているというハイレベルパネルでの主要な認識とも一にするものです。

この観点から、日本は、今後も小型武器の被害を受けた国に対して現場における支援を行ってまいります。非合法小型武器の回収・破壊のほか、適切な法制度整備や輸出入管理に関するキャパシティ・ビルディングは、国際社会の協力が特に必要とされる分野です。この点を念頭に置きつつ、日本は、カンボジアにおいて武器の対価として開発を支援する武器回収プロジェクトを実施し、過去二年間に亘り平和構築無償支援の枠組みで800万米ドルを超える支援を行ってきております。現在、我々は、国連グローバル地域軍縮信託基金の中の小型武器基金等を通じて、アフリカ諸国との協力の可能性を検討しております。

議長、

2006年6月には行動計画の運用検討会議が予定されています。我々は、会議に向けた努力を通じ、小型武器の分野におけるよい進展があることを期待しています。またその進展は来年の事務総長報告で述べられることになるでしょう。

 我々は、世界の平和と安定に寄与する国家として、行動計画の実施において国連と協力していくとの立場を改めて確認するとともに、世界の平和と安定に貢献する国家として小型武器問題の解決のための取り組みを一層強化することを決意致します。

議長、ありがとうございました。

(了)

   
/index.html">わかる!国際情勢  
(c) Permanent Mission of Japan to the United Nations
866 United Nations Plaza, New York, NY 10017
Tel: 212-223-4300

2005年

 
 

小型武器に関する安保理公開討論における川口総理補佐官演説(仮訳)

 

平成17年2月17日
国際連合日本政府代表部

議長、

まず、安保理の議論に参加する機会を与えていただいたことをうれしく思います。また小型武器問題につき我が国の立場を表明する機会を与えて頂いたことに感謝するとともに、名誉に感じております。また国連事務総長報告につき包括的な説明をして頂いた阿部信泰軍縮担当事務次長に対し感謝申し上げます。今回の報告は、過去1年あまりの間の小型武器分野における進展と今後対応がなされるべき挑戦を効果的に指摘したものとして、将来の作業についての貴重なガイダンスとなるものと考えます。

議長、

小型武器問題は、小型武器により多数の生命が犠牲になるという側面ばかりでなく、児童兵の問題を生じさせたり、ポスト・コンフリクト下の復興開発の阻害要因にもなることで経済・社会的な側面を有する複合的な問題であります。

 言い換えれば、ハイレベルパネル報告書にもあるように平和と開発を結ぶ絆となる重要な分野であります。このような理由から我が国は小型武器問題を重要視しております。国連総会における小型武器決議は毎年国際社会が解決すべき問題に対する実際的な処方箋となっています。我が国はコロンビア、南アとともに小型武器決議の共同提案国として、この決議がコンセンサス採択されてきたことは意義を有していると考えています。「国連小型武器政府専門家パネル」及び「国連小型武器政府専門家グループ」はともに堂之脇光朗大使が議長を務めてきましたが、これも小型武器問題に関する我が国の取り組みの一つです。

議長、

小型武器問題における我が国の考えにつき、何点に絞って述べたいと思います。これらの点は事務総長報告に含まれる主要な要素とも密接に付随しています。

小型武器問題への取り組みにおける国連プロセスの指針は、2001年に採択された「あらゆる側面における小型武器非行法取引の防止、除去及び撲滅のための行動計画(通称、国連小型武器行動計画)」に基づいています。我が国は、この行動計画の実施を支援するため、東京、バリ、カザフスタン、フィジーといった各地でのセミナーやワークショップへの支援を含む様々な活動を行っています。本年4月には日本、中国、スイス及び国連アジア太平洋平和軍縮地域センターによりASEAN及び中央アジア諸国を招き、各国での国連小型武器行動計画の実施を支援するためのワークショップの開催が予定されています。

非合法な小型武器の刻印及び追跡(トレーシング)は、国連小型武器行動計画に示された大きな課題の一つであります。国連事務総長報告も指摘するように、国連総会によって設立されたオープンエンド作業部会は進展を見せており、また我が国は、原則として武器を輸出しない国家として、作業部会での議論に建設的な貢献を行ってきました。引き続き作業部会の成功のために貢献していきます。

事務総長報告において最新の状況が詳細に示されているように、DDRは、紛争後において国家が再び紛争に立ち戻らないことを確保するためにますます重要は手段となってきております。様々な分野において発展が見られる一方、解決しなければならない問題も多く残されています。DDRにおける進展のため、我が国は具体的な行動をとっています。例えば長引く内戦により疲弊したアフガニスタンにおいてDDRを行うことは、平和と安定を維持するために必須であります。我が国はかかる観点に立ち、アフガニスタンでのDDRのリード国として、専門家の派遣や、草の根レベルでのプロジェクトの実施を通じ元兵士の社会復帰のための職業訓練を提供することでDDRを支援しております。

また我が国はリベリア、コンゴ(民)等、アフリカにおいてもDDRプロジェクトを実施する国連関係機関と協力しています。

 この点については、私(川口総理補佐官)は、ついこの前まで外務大臣として、我が国の外交の柱の一つとして「平和の定着」を提唱しました。この間替えは、ポスト・コンフリクト状況にある国が、国家再建に向け、円滑に移行できるよう必要な支援を行うということです。こういった努力は徐々に実を結びつつあると確信しています。

議長、

「平和の定着」の考えは、国際的な平和及び安定に関する問題は、グローバル化した世界の開発問題と密接に関連しているというハイレベルパネルでの主要な認識とも一にするものです。

この観点から、日本は、今後も小型武器の被害を受けた国に対して現場における支援を行ってまいります。非合法小型武器の回収・破壊のほか、適切な法制度整備や輸出入管理に関するキャパシティ・ビルディングは、国際社会の協力が特に必要とされる分野です。この点を念頭に置きつつ、日本は、カンボジアにおいて武器の対価として開発を支援する武器回収プロジェクトを実施し、過去二年間に亘り平和構築無償支援の枠組みで800万米ドルを超える支援を行ってきております。現在、我々は、国連グローバル地域軍縮信託基金の中の小型武器基金等を通じて、アフリカ諸国との協力の可能性を検討しております。

議長、

2006年6月には行動計画の運用検討会議が予定されています。我々は、会議に向けた努力を通じ、小型武器の分野におけるよい進展があることを期待しています。またその進展は来年の事務総長報告で述べられることになるでしょう。

 我々は、世界の平和と安定に寄与する国家として、行動計画の実施において国連と協力していくとの立場を改めて確認するとともに、世界の平和と安定に貢献する国家として小型武器問題の解決のための取り組みを一層強化することを決意致します。

議長、ありがとうございました。

(了)