(仮訳)
2004年10月4日
議長
本日我々は、国連システムの強化と総会の再活性化という、現在の重要課題について議論するため参集しました。一般討論終了直後にこれらの議題を取り上げることとしたのは、議長が国連改革を重要視していることを示すものであると考えます。議長のイニシアティヴに敬意を表します。
国連は、普遍的な構成と広範なマンデートを持ち、国際社会において他の国際機関が果たし得ない重要かつユニークな役割を果たしています。しかし、今日の国際社会において生起しつつある新たな脅威と課題に直面し、国連はその妥当性と有効性を保つため、改革され、強化されなければなりません。小泉総理が9月21日の一般討論演説において述べたとおり、我々は強くかつ効果的な国連を必要としており、まさに「国連新時代」を構築しなければなりません。
この関連で、「脅威、課題と変革に関するハイレベル委員会」の作業が進行しています。12月に発出される同委員会の報告書は、高い尊敬を集めるメンバーの叡智の結晶です。現在我々が直面する脅威と課題につき、同委員会が洞察力あふれる分析を行い、解決のための革新的な方途を示すことを期待しています。しかし、国連強化の方策につき、政治的な意思決定を行う最終的な責任は加盟国にあります。したがって、既存の国連システムをいかに改善し、今日のニーズに適合させていくかにつき、我々加盟国が真剣な検討を始めることが不可欠です。
我々に失敗は許されません。これに成功しなければ、国連は時代に取り残され、次第に有効な機関としての妥当性を失っていくでしょう。テロ、大量破壊兵器の拡散、貧困、環境破壊、HIV/AIDSをはじめとする伝染病などの新たな脅威と課題に直面し、国連が効果的にその目的を果たしうるよう、国連を改革し強化することは、我々の責任です。
議長
国連システムの全体にわたる改革が必要です。ミレニアム宣言の第8章において、国連が強化されるべき分野が列挙されています。特に、総会の中心的地位を再確認しなければなりません。安保理の包括的な改革の実現のための努力を強化しなければなりません。経社理を一層強化しなければなりません。事務局に対し、資源を最もよく利用するよう促さねばなりません。日本は、これらの改革の中で核となるのは安保理改革であると考えています。それら個別の問題については、後日各関連議題の下で更に我々の考えを述べたいと考えます。
本日私は、総会再活性化、及び行財政問題に関連するいくつかの点につき述べたいと思います。
第58回総会のジュリアン・ハント議長は、総会の再活性化を自らの任期における優先事項の一つと考えていました。前会期中、総会は二つの意義深い決議、58/126と58/316を採択しました。私は、これら決議の採択を、総会の再活性化に向けた有益な一歩として歓迎します。今後、加盟国により決議が誠実に履行されなければなりません。
今会期の開会に先立ち、決議58/126に則り、我々は6月初めに総会議長及び副議長、主要委員会議長及びビュローのメンバーを選出しました。新旧ビュローの引き継ぎも制度化されました。新しいビュローは、前もって職務に必要な準備を行うことができます。これにより、各会期にわたり行われる議論の継続性を保つ上でも、また更なる改革へのモメンタムを維持する上でも、今期我々はよいスタートを切ることができたと思います。
これらの決議を協議する中で、主要委の日程を二期に分割する可能性についても検討しました。しかし、それを実現することは大変困難であることがわかりました。ニューヨークとそれ以外の場所とで行われる会議、活動や行事は、相互に関連しており、そのスケジュールを再構成することは極めて複雑な作業であることが指摘されました。主要委の作業が一般討論の時期から切り離されるべきでないと論じた国々もあり、私はこれは当を得た議論だと思います。作業日程の集中を緩和するためには、一般討論を9月初めに行うことも、代案として検討に値すると考えます。
しかし、最も緊急かつ重要なことは、議題の合理化です。作業効率を改善する上では、議題の合理化が鍵となります。議題の合理化によって、小規模代表団のみならず、我々全てが裨益し得るとかんがえています。
この点に関し、二つの決議が議題の問題を大きく扱っていることを喜ばしく思います。決議に基づき見出しの下にまとめられた議題が、作業の構成を改善し、ひいては生産性を向上することに役立つことを期待します。更に、総会がこれまでずっと行われていなかった議題のレビューを行い、2議題の削減につながったことは前進です。議題の合理化のプロセスを継続していかなければなりません。各主要委は、今会期中議題の合理化に取り組むことになっており、大胆で実質的な合理化策が出されることを期待します。
議長
「国連新時代」を実現し、活動を企図されたとおりに着実に実行していくためには、リソースの裏付けを必要とします。国連が新たな脅威と課題に対処しうるよう、重要と合意されたプロジェクトや活動に対しては、加盟国がこの経費を負担するとの強いコミットメントが必要です。しかし、加盟国の負担能力に限界があることも認識しなければなりません。したがって我々は、国連が活動の厳格な優先順位付けを通じて予算を合理化することを確保しなければなりません。時代遅れの活動から新たな優先事項に資金を再配置することが、極めて重要です。また、事務局が加盟国に対し、各活動についてのリソースの要求のみならず、そのパフォーマンスに関し、説明責任を果たすことも必要です。
負担がメンバーの間で衡平に配分されているか、チェックすることも重要です。国連が有効な世界統治システムとして存続するためには、加盟国の義務と権利のバランスが取れていなければなりません。もし国連が、このような観点から正統性と衡平さを失っていると認識されれば、加盟国の全面的な支持を得ることは難しくなります。この点で我々は、現在の分担率について、各国の国連における地位と責任とを勘案した、よりバランスの取れたものとなるよう修正される必要があると考えています。
議長
国連システムの強化は、個々の加盟国の堅いコミットメントとと献身を必要とします。日本はこのプロセスに対し有意義な貢献を行うよう、最善を尽くす所存です。
ありがとうございました
(了) |