西部アフリカ情勢に関する原口大使演説(仮訳)
2004年3月25日
議長、
私は事務総長の西部アフリカにおける準地域的な国境を越える問題に取り組む方法に関する報告書にある実際的な勧告を歓迎したいと思います。報告書において指摘されたように、我々も西部アフリカの各国政府が自らの統治を強化し平和構築プロセスにおいてオーナーシップを発揮することが重要だと思います。事務総長が統治の改善の第一義的責任が西部アフリカの各国政府にあるとした点は特に留意されるべきです。我が国はこの見解を共有します。我が国は1993年のTICAD(アフリカ開発会議)プロセスを開始して以来、アフリカ諸国のオーナーシップ及び国際社会のパートナーシップを通じて成し遂げられた協調を、アフリカ政策の中心としてきました。この考え方は、アフリカにおける平和の定着の推進に向けた我々の努力の基盤でもあります。国際社会と協力しつつ、我が国は西部アフリカ地域の紛争の解決を活発に主導する同地域の諸国や機構を引き続き積極的に支援していく所存です。我が国はまた、平和構築の過程において、人間の一人一人に注目し、その保護とエンパワーメントを実現する「人間の安全保障」のアプローチを実現しています。西部アフリカ地域においても「人間の安全保障」が確立されるように国際社会が具体的な行動を取ることを期待します。我が国はシエラレオネにおいて、人間の安全保障基金を通じた元兵士の社会復帰プロジェクトを支援することにより人間の安全保障の推進に取り組んでいます。
世界の各地で平和維持活動への要請が高まっています。しかしその要請に応えるための資源には自ずと限りがあることを認識することは重要です。従って、UNAMSILが削減されることによって生じた資源の余裕をリベリアやコートジボワールに再利用することは、実際的な良い勧告であり、真剣な検討に値すると思います。長期的にPKOの地域化の可能性を含め、域内ミッションの相乗効果を増大するための努力が追求されるべきと考えます。またコートジボワールの例に見られるように、国連の平和維持活動と多国籍部隊の間で役割分担に合意することも有益です。
議長、
事務総長の報告書において言及されるように、小型武器の回収を促進するために、当該地域社会のための開発プロジェクトを実施するという考え方は、真剣な検討に値します。我が国は実はこの方法をカンボジアにおいて「開発のための小型武器回収」プロジェクトとして実践しており、大きな成功を収めています。
紛争後の段階における元兵士の社会復帰と地域社会の復興・開発は、紛争の再発を防止するために不可欠であるとの認識は、事務総長報告においても強調されている通り重要です。この認識の下、我が国はシエラレオネにおけるDDRプロジェクトに累計約650万ドルの支援を供与してきました。一方で、西部アフリカでは当該国及び近隣諸国の兵士が国境を容易に越えるため、ある国で効果的にDDR活動を行うには地域的な側面に注意を払わなければなりません。この理由から、DDR活動をリベリアやコートジボワールなどの近隣諸国においても実施することが不可欠です。これに関連して、我が国は今月19日、ユニセフを通じてリベリアにおける児童兵のDDRR計画に約360万ドルの支援を決定しました。また、コートジボワールにおけるDDRプロジェクトに総額230万ドルのノンプロ無償見返り資金による支援を決定しております。我が国は西部アフリカにおける社会的犠牲者である児童兵及び女性兵の問題が深刻であり、紛争を助長する要因として認識しています。事務総長報告書の勧告にあるように、児童兵の雇用や使用に対抗する政策を各国が採用するよう求めたいと思います。
議長、
西部アフリカ諸国にとって、開発の促進こそが最も強く求められるものであり貴重な資源を浪費し住民に悲惨さだけしかもたらせない紛争に血道をあげる余裕はないはずです。例え当事者間の立場に大きな相違があるとしても、対話を通じて信頼を醸成し、その結果平和的に問題を解決していく姿勢が死活的に重要です。既に平和維持の分野ではECOWASの下で西部アフリカ諸国がオーナーシップを発揮する事例が見られますが、統治の向上や平和構築促進の分野においても各国が同様に強いオーナーシップを発揮することを期待します。こうした努力には我が国も国際社会とともに引き続き支援を行っていく考えです。
議長、ありがとうございました。
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