2004年

 
 

中部アフリカ安保理ミッションの勧告に関する国連事務総長の進捗状況報告に関する安保理公開会合における原口国連大使演説(仮訳)

2004年2月17日

議長、

中部アフリカ・大湖地域情勢は、残念ながら、引き続き緊迫かつ不安定な状況が続いており、国際社会の継続的な関与が求められています。また、この地域の紛争は、しばしば近隣諸国を関与させており、我々は、地域的視野にたってその解決を追求しなければならないということも認識する必要があります。したがって、本日の会合の開催を決定し、地域全体の視野から問題に取り組むことを可能にされたことを歓迎します。昨年九月に日本で開催されたTICADⅢ(第三回アフリカ開発会議)において、我が国は、「平和の定着」を我が国のアフリカ支援の三本柱の一つとし、人間の安全保障の推進を強調しました。我が国としては、平和の定着と人間の安全保障の推進のための取り組みが特に求められている大湖地域を重点地域と位置づけています。

議長、

コンゴ民主共和国に関し、まず、イツリ地方において発生したケニア人のMONUC軍事監視員の殺害に対し、深い哀悼の意を表します。このことは、移行政権設立以降の和平プロセスの進展にもかかわらず、コンゴ(民)東部地区の状況が引き続き危険かつ不安定であることを示しています。日本は、MONUCの東部地域への再配置を全面的に支持します。コンゴ(民)における和平プロセスを一層強化するため、同国の治安部門の改革に決定的に重要であることは言うまでもありません。このため、日本は、昨年十月、コンゴ(民)兵士の武装解除・動員解除及び社会復帰のため、約四百万米ドルの支援を実施することを決定しており、この分野において、国連及び他のドナーとも調整しつつ、更なる支援を検討しているところです。安保理は、事務総長の提案に基づき、基礎的な調査を行う技術専門家のグループ及び同グループの報告に基づいて安保理に勧告を行う制裁委員会の設置等、国土の東部地域に適用されている武器輸出禁輸措置の強化を検討していると承知しています。この関連で、安保理によるいかなる措置の導入も、現実的かつ実効性あるものとなるよう、その費用対効果を慎重に検討した上で行われるべきであることを強調したいと思います。

議長、

ブルンジについては、日本は、FNLの代表とンダイゼイエ大統領との間で会談が行われ、協議を継続することで合意したことを歓迎します。状況は依然として脆弱であり結果は予断を許しませんが、このような協議がブルンジの恒久的平和の達成につながることを強く希望します。同時に、ブルンジにおいては、和平合意を促進、仲介した南アフリカ及びタンザニアの取り組み、大湖地域首脳レベルのイニシアチブ、AUの最初の平和維持活動であるAUブルンジ・アフリカ・ミッション(AMIB)等、紛争の解決及び平和の定着に関するアフリカのイニシアチブも進行中であることに留意すべきです。これらは、いずれも、NEPAD及びTICADの主要な原則である、アフリカのオーナーシップの具体化であり、このような取り組みを高く評価します。我が国は、AU平和・安全保障理事会に関する議定書が発効し、アフリカ諸国がこの地域の紛争に一層効果的に対処することが可能となりつつあることを歓迎します。日本は、アフリカにおける紛争は、この地域の紛争に関し当然により現地の事情に通じ及び文化的センシティビティを有しており、また、強いオーナーシップの意思から、アフリカ諸国自身によって効果的に対処することができると確信しており、AMIBを含むこのようなAUの活動の成功は、将来のアフリカの紛争解決に決定的に重要であると考えています。日本は、この関連で、南アフリカ、エチオピア及びモザンビークの貢献を評価するとともに、AMIBの活動が、十分な国際的支援を得て効果的に継続されることを強く希望します。

議長、

自分は、経社理のブルンジ・アドホック諮問グループのメンバーとして、人道面及び経済面の支援の必要性の審査、整合的・効果的支援の実施に関する助言の作成等のための国際的な取り組みに参加するという貴重な経験を得、ブルンジは、様々な面で国際的支援を必要としていることが分かりました。ブルンジの紛争後の和平プロセスを推進するため、日本は、他の国、国連及び関連国際機関と調整しつつ、ブルンジを支援していく考えです。より具体的には、人々のための人間の安全保障の推進、DDRの促進及び選挙の実施について、関連の国家プログラムが策定された暁には、ブルンジ政府及び国際機関の具体的要請に応じ、適切な支援を提供することを検討しています。現在、ブルンジの平和の定着のための取り組みを支援するため、国連の事前調査ミッションが現地に派遣されていると承知しています。日本は、両国間の将来の協力について我々のパートナーと協議するため、来週、これに平行してブジュンブラにミッションを派遣する考えです。これまで、安保理は状況を十五ヶ国のみで評価し、主要な財政貢献国である非理事国に何ら協議しないまま、重要な意思決定を行ってきました。それでいながら、安保理は当然、非理事国もその決定に係る財政的負担を負うことを期待しています。日本は、この観点から、国連事務局が、主要なドナー及び貢献国に対し、平行してミッションを派遣し、国連ミッションとともに状況評価を行う機会を提供したことを歓迎し、これが将来の先例となることを希望します。我が国は、また、ブルンジが、紛争後の段階から復興・開発の段階に移行する過程で、アフリカにおいて人間の安全保障を推進する上でモデルとなることを期待しています。

議長、

大湖地域国際会議のフレンズ国として、日本は、会議が本年末に延期されたことを残念に思います。我が国は、言うまでもなく会議の成功を期待していますが、同時に、テーマ及び議題が広すぎることを懸念しています。会議は、平和の定着に焦点を当てるべきであることを強調したいと思います。

議長、

平和を定着させるためには、地域社会の住民に対し、平和の配当を示し、和平プロセス、人道・復興支援及び治安を包括的かつ一体として進めていくことが不可欠です。我が国は、このような考えに立ち、この地域の平和の定着に引き続き強くコミットしていきます。

議長、ありがとうございました。

   
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2004年

   

中部アフリカ安保理ミッションの勧告に関する国連事務総長の進捗状況報告に関する安保理公開会合における原口国連大使演説(仮訳)

2004年2月17日

議長、

中部アフリカ・大湖地域情勢は、残念ながら、引き続き緊迫かつ不安定な状況が続いており、国際社会の継続的な関与が求められています。また、この地域の紛争は、しばしば近隣諸国を関与させており、我々は、地域的視野にたってその解決を追求しなければならないということも認識する必要があります。したがって、本日の会合の開催を決定し、地域全体の視野から問題に取り組むことを可能にされたことを歓迎します。昨年九月に日本で開催されたTICADⅢ(第三回アフリカ開発会議)において、我が国は、「平和の定着」を我が国のアフリカ支援の三本柱の一つとし、人間の安全保障の推進を強調しました。我が国としては、平和の定着と人間の安全保障の推進のための取り組みが特に求められている大湖地域を重点地域と位置づけています。

議長、

コンゴ民主共和国に関し、まず、イツリ地方において発生したケニア人のMONUC軍事監視員の殺害に対し、深い哀悼の意を表します。このことは、移行政権設立以降の和平プロセスの進展にもかかわらず、コンゴ(民)東部地区の状況が引き続き危険かつ不安定であることを示しています。日本は、MONUCの東部地域への再配置を全面的に支持します。コンゴ(民)における和平プロセスを一層強化するため、同国の治安部門の改革に決定的に重要であることは言うまでもありません。このため、日本は、昨年十月、コンゴ(民)兵士の武装解除・動員解除及び社会復帰のため、約四百万米ドルの支援を実施することを決定しており、この分野において、国連及び他のドナーとも調整しつつ、更なる支援を検討しているところです。安保理は、事務総長の提案に基づき、基礎的な調査を行う技術専門家のグループ及び同グループの報告に基づいて安保理に勧告を行う制裁委員会の設置等、国土の東部地域に適用されている武器輸出禁輸措置の強化を検討していると承知しています。この関連で、安保理によるいかなる措置の導入も、現実的かつ実効性あるものとなるよう、その費用対効果を慎重に検討した上で行われるべきであることを強調したいと思います。

議長、

ブルンジについては、日本は、FNLの代表とンダイゼイエ大統領との間で会談が行われ、協議を継続することで合意したことを歓迎します。状況は依然として脆弱であり結果は予断を許しませんが、このような協議がブルンジの恒久的平和の達成につながることを強く希望します。同時に、ブルンジにおいては、和平合意を促進、仲介した南アフリカ及びタンザニアの取り組み、大湖地域首脳レベルのイニシアチブ、AUの最初の平和維持活動であるAUブルンジ・アフリカ・ミッション(AMIB)等、紛争の解決及び平和の定着に関するアフリカのイニシアチブも進行中であることに留意すべきです。これらは、いずれも、NEPAD及びTICADの主要な原則である、アフリカのオーナーシップの具体化であり、このような取り組みを高く評価します。我が国は、AU平和・安全保障理事会に関する議定書が発効し、アフリカ諸国がこの地域の紛争に一層効果的に対処することが可能となりつつあることを歓迎します。日本は、アフリカにおける紛争は、この地域の紛争に関し当然により現地の事情に通じ及び文化的センシティビティを有しており、また、強いオーナーシップの意思から、アフリカ諸国自身によって効果的に対処することができると確信しており、AMIBを含むこのようなAUの活動の成功は、将来のアフリカの紛争解決に決定的に重要であると考えています。日本は、この関連で、南アフリカ、エチオピア及びモザンビークの貢献を評価するとともに、AMIBの活動が、十分な国際的支援を得て効果的に継続されることを強く希望します。

議長、

自分は、経社理のブルンジ・アドホック諮問グループのメンバーとして、人道面及び経済面の支援の必要性の審査、整合的・効果的支援の実施に関する助言の作成等のための国際的な取り組みに参加するという貴重な経験を得、ブルンジは、様々な面で国際的支援を必要としていることが分かりました。ブルンジの紛争後の和平プロセスを推進するため、日本は、他の国、国連及び関連国際機関と調整しつつ、ブルンジを支援していく考えです。より具体的には、人々のための人間の安全保障の推進、DDRの促進及び選挙の実施について、関連の国家プログラムが策定された暁には、ブルンジ政府及び国際機関の具体的要請に応じ、適切な支援を提供することを検討しています。現在、ブルンジの平和の定着のための取り組みを支援するため、国連の事前調査ミッションが現地に派遣されていると承知しています。日本は、両国間の将来の協力について我々のパートナーと協議するため、来週、これに平行してブジュンブラにミッションを派遣する考えです。これまで、安保理は状況を十五ヶ国のみで評価し、主要な財政貢献国である非理事国に何ら協議しないまま、重要な意思決定を行ってきました。それでいながら、安保理は当然、非理事国もその決定に係る財政的負担を負うことを期待しています。日本は、この観点から、国連事務局が、主要なドナー及び貢献国に対し、平行してミッションを派遣し、国連ミッションとともに状況評価を行う機会を提供したことを歓迎し、これが将来の先例となることを希望します。我が国は、また、ブルンジが、紛争後の段階から復興・開発の段階に移行する過程で、アフリカにおいて人間の安全保障を推進する上でモデルとなることを期待しています。

議長、

大湖地域国際会議のフレンズ国として、日本は、会議が本年末に延期されたことを残念に思います。我が国は、言うまでもなく会議の成功を期待していますが、同時に、テーマ及び議題が広すぎることを懸念しています。会議は、平和の定着に焦点を当てるべきであることを強調したいと思います。

議長、

平和を定着させるためには、地域社会の住民に対し、平和の配当を示し、和平プロセス、人道・復興支援及び治安を包括的かつ一体として進めていくことが不可欠です。我が国は、このような考えに立ち、この地域の平和の定着に引き続き強くコミットしていきます。

議長、ありがとうございました。