第五十八回国連総会における議題二十八(アフガニスタン情勢及びその国際の平和及び安全に対する影響)及び議題四十(f)(戦争により被害を受けたアフガニスタンの平和、正常、復興のための国際的な緊急支援)の審議における原口国連大使演説(仮訳)
2003年12月05日
議長、
ボン合意から二年が経過したこの時期に、この重要な議題につき審議の場を設けていただいた議長のイニシアチブに感謝いたします。この二年間、アフガニスタン自身の努力及び国際社会の支援により、先般の憲法草案の発表を含め、多くの進展がありました。これらに到るアフガニスタンの関係者の努力に敬意を表します。政治プロセスの更なる進展のためには、目前に迫った憲法ロヤ・ジルガが具体的成果を得て成功し、これを来年の選挙につなげていくことが極めて重要であり、この目的を達するため、カルザイ大統領の一層の指導力とアフガニスタンのすべての関係者の一層の努力を期待したいと思います。
議長、
我が国は、アフガニスタンを再び不安定にし、テロの温床にしてはならないとの決意の下、国際社会と協調してその復興に積極的に取り組んできており、先般、アフガニスタンにおいてテロとの闘いのため「不朽の自由作戦」連合軍の活動を支援するためインド洋に派遣され補給活動に従事している海上自衛隊艦船の活動期間を延長するため、テロ対策特別措置法の効力を延長させたところです。
また、資金面では、昨年一月の東京復興支援会議において、二千四年六月までに五億ドルの復興支援をプレッジしています。既にその九十パーセント以上にあたる約四億六千八百万ドルについてその使途を決定済み又は実施済みであり、残り約三千二百万ドルについても加速的に具体化・実施していきます。
さらに、アフガニスタンの当面の緊急的なニーズに応えるため、我が国が世界銀行及びアジア開発銀行に設置した信託基金を通じて、先月、二千万ドルの支援を追加的にプレッジしたところです。来年六月以降の新規支援についても、既に世界銀行、アジア開発銀行及び国連開発計画に対してニーズアセスメントの早期作成を要請しており、我が国に相応しい貢献を表明できるよう検討を進めていきます。
議長、
政治プロセスの進展、各国の支援の円滑な実施のためには、国内治安情勢の回復が不可欠です。この観点から、タリバン再結集の動き、人道復興支援要員等、テロリストの活動の標的のソフトターゲットへのシフト、麻薬生産の拡大、女性の権利促進に対する攻撃等、治安情勢に関する最近の動きにつき深刻に憂慮します。我々は、この問題に真剣に取り組む必要があります。我が国は、この関連で、ISAFが地方に展開し、追加的な任務を果たすことを可能にした安保理決議一五一○の採択を歓迎しています。各国の支援を得て、ISAFのカブール以外での活動を強化し、地方における治安が改善することを強く期待します。
我が国は、国連とともに元兵士の武装解除、動員解除及び社会復帰(DDR)支援を主導しており、DDRの試行段階の事業が開始されたことを歓迎するとともに、これに対する国際社会の一層の支援を求めたいと思います。特に、DDRを成功させるためには、それがアフガニスタン人すべてのために行われるものであって、特定のグループの利益のために行われるのではないことを確保するため、これを公正かつ公平に実施する必要があり、このことを検証するため国際監視団(IOG)が極めて重要な役割を果たします。我が国は、これまでのDDR試行段階の事業におけるIOGの活動を高く評価しており、今後、DDRの本格的実施に向け、移行政権及びアフガニスタンの全てのグループに対しIOGへの協力を求めると共に、国際社会に対し、IOGに対する財政面その他で更なる支援を呼びかけたいと思います。
議長、
平和の定着のためには、政治プロセス、国内治安の改善、人道復興支援の三つの分野でバランスの取れた進展を図ることが不可欠です。この三つは相互に関連しており、治安情勢の不安により政治プロセス、人道復興支援が遅延しかねない状況にあります。国連は現在種々の批判にさらされています。しかし、やりかけた仕事を最後まできっちりと遂行することが国連の権威を維持する上で極めて重要です。国連は、アフガニスタンが圧政と貧困と紛争状況から民主的で、平和で将来に明るい展望を持った国へと脱皮するよう強いイニシアチブをとってきました。この目的を達成することは、アフガニスタンにとっても国連にとっても、極めて大切です。提示されている決議案の共同提案国として同決議を強く支持しつつ、我々は引き続き全力を挙げてこの目的を達成するため最大限の取り組みを行い続けることが重要であることを改めて強調したいと思います。
有り難うございました。
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