第58回国連総会第4委員会 議題85「全ての側面における平和維持活動の問題全体の包括的レビュー」に関する原口国連常駐代表演説(仮訳)
2003年10月17日
議長、
初めに、貴議長の今会期における優れた指導に感謝を表したいと思います。一昨日の会合において包括的な御説明を行って頂いたジャン=マリー・ゲエノPKO局長に対しても感謝申し上げます。これは、私達の討議の有益な基礎となるものです。
議長、
PKOは、誕生してから半世紀以上を経過し、停戦監視を主とする伝統的なものから、平和構築をも担ういわゆる複合的なPKOまで存在しています。これは、PKOがその時々の国際情勢や当該地域の状況に応じて柔軟に展開されてきた証であり、このようなPKOの持つ柔軟性は引き続き重視し、不断により良いPKOの在り方を検討していく必要があります。
この観点から、日本の取組、考えにつきいくつか述べたいと思います。
我が国は「平和の定着と国造り」のための支援を外交の柱とし、紛争解決のため、包括的に取り組んでいくことが重要であると考えます。こうした考えに基づき、我が国は積極的にPKO等に参加してきました。また、国際平和協力の一層の推進のため、国際平和協力全般の人材育成の具体的な検討を開始しました。
更に、我が国は、本年4月、複合型PKOにおいて重要なテーマとなる軍民協力に関し、PKO局の協力も得て「文民と軍事要員の協力セミナー」をホストしました。右セミナーは国際機関やNGO、更にアジア太平洋地域での関係者の連携・協力をも視野に入れたものであり、これまでのPKOの経験や教訓を踏まえ、今後の平和活動に生かせるものと考えています。
我が国は、ゲエノ局長が、一昨日のブリーフィングの中で、より強力なマンデートを持ったPKOに関し、引き続き受入国の同意が基本的な原則であると述べたことを歓迎します。我々は、受入国及び当該国民の同意は、PKOの成功及び平和の定着にとって極めて重要であると考えます。
議長、
また、部隊派遣の迅速性、部隊維持の容易性などの観点から、PKOにおいては、当然ながら当該地域諸国のイニシアティブは極めて有効に機能する場合があります。我が国は、西アフリカにおけるECOWASの活動や中部アフリカにおけるAUの活動に敬意を表するとともに、NEPADにおいて平和と安全保障が開発の前提として重視され、AUでも安全保障面の取り組みを強化しようとしていることを支持し、更なる進展を期待いたします。
議長、
地域情勢に応じてPKOを展開することが極めて重要である一方で、それを支える財政的負担が加盟国にとり充分納得できるものである必要があります。予算措置を伴うPKO決議に当たっては、特に主要な財政貢献国に対して透明性が充分確保されることが重要と考えます。また、PKOの費用効率性の向上も重要なテーマと考え、我が国として、明年初めに行われる予定のCOE作業部会での議論について重大な関心を持って注目していきたいと考えております。
また、PKOを含む国連の諸活動に参加する全ての要員の安全は引き続き重要な課題です。我が国は、PKO局及び国連安全調整官室と協力し、全ての加盟国にとって有益な枠組みの構築の検討に協力してまいります。
議長、
最後に、PKO局の職員の採用に言及いたします。我が国は、同局の最近の改善努力を認めつつも、依然として存在する地理的代表性についての不均衡に懸念を表明し、職員数が過少又は全く在籍していない国の代表性を改善するための措置を直ちにとるとともに、サポートアカウントポストへの採用における過小代表の基準に関する報告を事務総長に求めた総会決議57/318パラ10の履行の必要性を強調したいと思います。
ありがとうございました。
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