2003年

 
 

テロ行為による国際の平和及び安全に対する脅威に関する公開会合における原口国連大使演説(仮訳)

平成15年7月23日

議長、

 既に繰り返し指摘されていることですが、技術の進歩、グローバリズムの進展により、次のような理由から、国際テロリズムは国際の平和と安全にとって今や益々大きな脅威となっています。

  • 第一に、テロリズムは恐怖と不安を生み出すことにより自分の主張を実現しようとする試みであり、これは国連の基本的な目的、すなわち法の支配に基づく公平かつ公正な世界の創造に真っ向から反するものです。
  • 第二に、テロリストは、テロそのもので国際社会に脅威を与えるだけでなく、そのための手段・資金を獲得するために薬物取引、武器の不法輸出等に関与し、世界の善良な経済に脅威を与えます。
  • 第三に、テロリズムを防止するためには基本的に抑止の概念は有効でないため、万一テロリストが大量破壊兵器を入手した場合には、その使用がもたらす惨禍は想像を絶するものがあります。
  • したがって、我々はテロに対して断固として行動しなければならないのです。

    議長、

    モロッコ、パキスタン、フィリピン、ロシア、サウジアラビア、チュニジア、イエメン等の国でテロ事件が相次いでいます。国際社会の取り組みにもかかわらず、なすべきことは多く残されています。国際社会のすべての構成員が、以前にも増して、今こそ、強力なテロ対策をとる政治的意思を示すとともに、それを実行する能力を持つ必要があります。政治的意思については、多くの国がこれまで様々な機会にこの問題に関する決意を表明していますが、これらの国は、すべてのテロ関連条約・議定書を締結する等により行動でもそれを示す必要があります。能力については、途上国に対しキャパシティ・ビルディング面で支援を提供することが益々重要であり、日本は、CTCがこのためクリアリング・ハウス機能を果たしていることを高く評価しています。支援マトリクスやCTCと加盟国の間の書簡の交換を通じて蓄積された情報及び知識は、国際的なテロ対策のためのキャパシティ・ビルディングにとって有益なツールであり、この取り組みの強化を表明している現在のCTCの四半期計画を歓迎します。

    議長、

    日本は、テロとの闘いにおいて、第一に、資金供与の防止や偽造文書・兵器の否定等テロリストに対しテロを実行する手段を否定すること、第二に、テロリストに安住の地を与えず、テロリストの訴追又は引き渡しを確保すること、第三に、国内の保安措置、危機管理・被害対処能力の強化等によりテロに対する脆弱性を克服することの重要性を繰り返し指摘してきました。これらの措置の重要性は、本年六月のG8エビアン・サミットの機会に採択されたG8行動計画においても確認されています。G8は、同行動計画に基づき、CTCの支援を目的としてテロ対策行動グループ(CTAG)を設置し、同グループは既に活動を開始しています。日本は、G8及びCTAGの一員として、引き続きCTCの効果的な活動に協力していきます。

    議長、

    日本は、また、テロとの闘いにおける二国間の協力の取り組みも加速化させています。六月二十三日及び二十四日にモスクワで開催された日露テロ協議、六月二十四日に発出した国際テロリズムとの闘いに関する日インドネシア共同発表、先週発出した国際テロリズムとの闘いに関する日豪共同声明は、このような協力の一例であり、我々は、同様の協力を通じて、特にアジア太平洋地域のキャパシティ・ビルディングに取り組んでいくことを引き続きコミットします。

    議長、

    テロとの闘いは、見えない敵との困難な闘いですが、「見えない」ということは、必ずしも「打ち勝てない」ということを意味しません。国際社会は、テロ行為を不可能とする世界の秩序を形成するため、引き続き全力を挙げて取り組まなければなりません。

    議長、ありがとうございました。

   
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866 United Nations Plaza, New York, NY 10017
Tel: 212-223-4300

2003年

 
 

テロ行為による国際の平和及び安全に対する脅威に関する公開会合における原口国連大使演説(仮訳)

平成15年7月23日

議長、

 既に繰り返し指摘されていることですが、技術の進歩、グローバリズムの進展により、次のような理由から、国際テロリズムは国際の平和と安全にとって今や益々大きな脅威となっています。

  • 第一に、テロリズムは恐怖と不安を生み出すことにより自分の主張を実現しようとする試みであり、これは国連の基本的な目的、すなわち法の支配に基づく公平かつ公正な世界の創造に真っ向から反するものです。
  • 第二に、テロリストは、テロそのもので国際社会に脅威を与えるだけでなく、そのための手段・資金を獲得するために薬物取引、武器の不法輸出等に関与し、世界の善良な経済に脅威を与えます。
  • 第三に、テロリズムを防止するためには基本的に抑止の概念は有効でないため、万一テロリストが大量破壊兵器を入手した場合には、その使用がもたらす惨禍は想像を絶するものがあります。
  • したがって、我々はテロに対して断固として行動しなければならないのです。

    議長、

    モロッコ、パキスタン、フィリピン、ロシア、サウジアラビア、チュニジア、イエメン等の国でテロ事件が相次いでいます。国際社会の取り組みにもかかわらず、なすべきことは多く残されています。国際社会のすべての構成員が、以前にも増して、今こそ、強力なテロ対策をとる政治的意思を示すとともに、それを実行する能力を持つ必要があります。政治的意思については、多くの国がこれまで様々な機会にこの問題に関する決意を表明していますが、これらの国は、すべてのテロ関連条約・議定書を締結する等により行動でもそれを示す必要があります。能力については、途上国に対しキャパシティ・ビルディング面で支援を提供することが益々重要であり、日本は、CTCがこのためクリアリング・ハウス機能を果たしていることを高く評価しています。支援マトリクスやCTCと加盟国の間の書簡の交換を通じて蓄積された情報及び知識は、国際的なテロ対策のためのキャパシティ・ビルディングにとって有益なツールであり、この取り組みの強化を表明している現在のCTCの四半期計画を歓迎します。

    議長、

    日本は、テロとの闘いにおいて、第一に、資金供与の防止や偽造文書・兵器の否定等テロリストに対しテロを実行する手段を否定すること、第二に、テロリストに安住の地を与えず、テロリストの訴追又は引き渡しを確保すること、第三に、国内の保安措置、危機管理・被害対処能力の強化等によりテロに対する脆弱性を克服することの重要性を繰り返し指摘してきました。これらの措置の重要性は、本年六月のG8エビアン・サミットの機会に採択されたG8行動計画においても確認されています。G8は、同行動計画に基づき、CTCの支援を目的としてテロ対策行動グループ(CTAG)を設置し、同グループは既に活動を開始しています。日本は、G8及びCTAGの一員として、引き続きCTCの効果的な活動に協力していきます。

    議長、

    日本は、また、テロとの闘いにおける二国間の協力の取り組みも加速化させています。六月二十三日及び二十四日にモスクワで開催された日露テロ協議、六月二十四日に発出した国際テロリズムとの闘いに関する日インドネシア共同発表、先週発出した国際テロリズムとの闘いに関する日豪共同声明は、このような協力の一例であり、我々は、同様の協力を通じて、特にアジア太平洋地域のキャパシティ・ビルディングに取り組んでいくことを引き続きコミットします。

    議長、

    テロとの闘いは、見えない敵との困難な闘いですが、「見えない」ということは、必ずしも「打ち勝てない」ということを意味しません。国際社会は、テロ行為を不可能とする世界の秩序を形成するため、引き続き全力を挙げて取り組まなければなりません。

    議長、ありがとうございました。