東ティモール情勢に関する安全保障理事会公開会合における原口国連代表部大使演説(仮訳)
平成15年3月10日
議長、
本日の東ティモール情勢に関する会合を開催して頂き有難うございます。事務総長の特別報告を説明して頂いたジャン=マリー・ゲエノ事務次長にも感謝致します。
これまでの発言者と同じく、東ティモールにおける平和のための貢献中に先週貴重な生命を失われた韓国の5名の平和維持要員の御家族に対し心より哀悼の意を表します。
議長、
本日私は国連東ティモール支援団(UNMISET)の縮小計画の修正の問題に絞って発言したいと存じます。これまでの東ティモールへの国際社会の関与は成功物語でした。多大な努力が払われ、平和の維持と国造りにおいて多くのことが達成されました。予定通り来年6月のUNMISETの完了に向けて私達が着実な努力を続けることが重要です。
しかしながら、我が国は、事務総長と同様、昨年11月、12月頃から見られるようになった東ティモールの幾つかの国内治安情勢の変化を懸念しております。また、我が国は、一般論として、マンデートの成功と平和維持要員の安全の双方のため、治安環境の変化に応じ平和維持活動の構成を調整することの必要性を認識しています。
特別報告における事務総長の観察と勧告に関しては、我が国は、東ティモール警察には最近東ティモールで発生したような規模の暴動や武装集団による事件に効果的に対処する能力がいまだ不足しているとの事務総長の評価を共有します。したがって、我が国は、警察部門に関し特別の措置がとられることが望ましいと考えており、国際文民警察のプレゼンスの強化及び東ティモール警察に対する支援の増加に関する提案を支持します。
他方、UNMISET軍事部門に関し提案されている措置に関しては、関係国政府の間に見解の相違があるように思われます。この相違は、最近の事件や国境地域の治安状況、また東ティモール国防軍の果たし得る役割に関する評価の違いから生じているものと思われます。仮に提案されているような形で縮小計画が修正されるとすれば、要員派遣国は展開スケジュールを調整しなければなりませんが、これは容易なことではなく派遣国として相当の時間と努力を要します。現地における国際社会の関与が必要以上に長期化するようなことになれば、国際社会としても好ましくないことはもちろん、東ティモール自身の自立をかえって阻害することにもなりかねません。我が国は、これらの要素を考慮に入れた決定が関係者全てが受け入れられる形で早期に行われることを希望します。
議長、
我が国は、軍事部門の役割に関する理解を向上し誤った宣伝活動の潜在的可能性に対処するため、UNMISETが東ティモール住民とのより良好な関係及び広報能力の向上を促進するとの勧告を全面的に支持します。この文脈で、我が国の施設部隊は現地住民に対する様々な民生支援、広報イベント及び訓練を通じ東ティモール住民との良好な関係を築くよう努めていることに言及したいと思います。我が国はこのような努力を継続します。
議長、
最後に、事務総長が正しく指摘している通り、持続的な安定は、法の支配に対する東ティモール指導層の強い政治的コミットメントとガバナンスの強化のための継続的な努力にかかっていることを強調したいと思います。東ティモール指導層が自らかかる真摯な努力を進める限りにおいて、国際社会の側においてもこれを引き続き支持することが重要です。我が国としても東ティモールにおける平和の定着に向けてできる限りの支援を続ける決意です。
有難うございました。
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