2003年

 
 

安保理改革作業部における原口大使ステートメント

2003年2月10日

議長、

まず最初に、貴議長が安保理改革作業部会議長に就任され、議事進行をされていることに対し祝意を申し上げます。議長のリーダーシップのっした作業が進展するよう、日本は努力を惜しみません。また、インガルフソン・アイスランド大使の副議長再任とカセムサルン・タイ大使の副議長就任をお祝い申し上げます。

議長、

1994年1月に設立されたこの作業部会の議論は10年目に入ります。昨年の作業部会で日本はその前年にホルケリ議長がまとめられたペーパーを更に改善することに努力を集中しましたが、残念ながら何ら進展を得ることはできませんでした。実際、安保理改革はこの10年間ほとんどみるべき進展がありません。従って、議論が10年目を迎えるこの機会に、この会合の参加者が新鮮な視点と前任者と異なるアイディアをもたらすかも知れないという希望の下、この問題の原点に戻り、省みることは有益であると考えます。

議長、

安保理の構造は1965年に非常任理事国の議席数が拡大されて以来変わっていません。それ以来、73ヶ国が国連に加盟し、そう加盟国数は191ヶ国となっています。この状況は、拡大した国連メンバーシップが安保理メンバーシップに十分に代表されているのか、我々に疑問を抱かせます。このことは安保理の正当性に関する加盟国の見方に多分に関わる問題だけに、より深刻な問題となっています。股、国際関係の性質が大きく変わってきているという事実を認識することが重要です。冷戦の終焉に伴い、我々は国際関係において東西のイデオロギーと膨大な軍事力による対立から開放された協調的な国際秩序を求めることができる一方で、これまで東西対立の下で迎えられていた潜在的な民族的、宗教的対立が顕在化してきました。このメンバーシップの増大とこれら国際関係の変化こそが安保理改革の努力が始まった背景にありました。

議長、

安保理はその使命をより効果的に果たすため、国際社会の変化に対応して改革されなければなりません。実際、作業部会での議論が始まって以降も国際社会は急速に変化し続けています。その結果、安保理が国際の平和世安全を確保する努力をする際、政治・安全保障に関する問題に加え、HIV/AIDS、女性の地位、食糧問題等の非軍事問題にも対応するケースが多くなってきています。従って、安保理は広い分野における知識と専門性が必要となってきています。テロ対策を例に取れば、安保理は国家間安全保障問題にとどまらない国内治安維持や、国際金融のような経済問題にも対処しています。動揺に安保理決議の効果的な履行を確保するためには、これら幅広い分野で安保理メンバーのみならずその他の国連加盟国の協力を得ることが不可欠となってきています。現在の安保理が、その規模と構成の点でそのような協力を得るのに適当なのかどうかは未解決の問題です。

安保理改革が実現していない結果、この急速に変革を遂げつつある世界の国際の平和と安全の分野で重要な貢献をしている国々が過去10年間、安保理の意思決定プロセスに十分参加する機会を奪われてきました。例えば日本は国連通常予算及びPKO予算の19.6%を負担しており、右は米国を除いた全ての常任理事国の分担率の合計を上回るものとなっています。財政的貢献が何にも増やして重要であるというつもりは有りませんが、このような貢献が重要であることは否定できません。国の貢献の程度に比例した形で各国が安保理の意思決定プロセスに関与しなければなりません。現在のこの状況は安保理の有効性を強化する上で望ましくないのみならず公定でもありません。

議長、

2000年のミレにアム宣言で各国首脳は包括的な安保理改革にコミットしました。我々はそのコミットメントを実現するため努力を続けなければなりません。昨年10月の総会における安保理改革の審議の際にも、多くの国が安保理改革の重要性を強調しています。そしてその中の多くの国が常任・非常任議席双方の拡大を支持しました。安保理改革で一般的合意に到達するために必要な様子が出揃っていることは明かです。だからこそ、安保理改革を進めるために総会から権限を付与されたこの作業部会が大きな進展をもたらしていないことは誠に遺憾です。

この作業部会デこれまでの堂々巡りの議論を繰り返すことは、作業部会メンバーの間のいわば「議論疲れ」につながります。必要なのは包括的改革実現に向けての新たなモメンタムと政治的な意思です。昨年の議論のたたき台となったペーパーはこの問題のあらゆる論点をカバーしていますので、このペーパーを基礎として、ステップ・パイ・ステップで実現的な包括的改革パッケージ作成に向けての作業を始めることを提案したいと思います。このコンセンサスにより決定を行う作業部会で議論の進展が期待できないことが明かとなる場合には、更なる方途を模索しなければいけないかもしれません。

日本としては貴議長の強い指導力に高く期待しております。改めて日本は可能なあらゆる方法で議長を支援していく所存であることを押し述べ、演説を終えたいと思います。

有り難うございました。

   
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(c) Permanent Mission of Japan to the United Nations
866 United Nations Plaza, New York, NY 10017
Tel: 212-223-4300

2003年

 
 

安保理改革作業部における原口大使ステートメント

2003年2月10日

議長、

まず最初に、貴議長が安保理改革作業部会議長に就任され、議事進行をされていることに対し祝意を申し上げます。議長のリーダーシップのっした作業が進展するよう、日本は努力を惜しみません。また、インガルフソン・アイスランド大使の副議長再任とカセムサルン・タイ大使の副議長就任をお祝い申し上げます。

議長、

1994年1月に設立されたこの作業部会の議論は10年目に入ります。昨年の作業部会で日本はその前年にホルケリ議長がまとめられたペーパーを更に改善することに努力を集中しましたが、残念ながら何ら進展を得ることはできませんでした。実際、安保理改革はこの10年間ほとんどみるべき進展がありません。従って、議論が10年目を迎えるこの機会に、この会合の参加者が新鮮な視点と前任者と異なるアイディアをもたらすかも知れないという希望の下、この問題の原点に戻り、省みることは有益であると考えます。

議長、

安保理の構造は1965年に非常任理事国の議席数が拡大されて以来変わっていません。それ以来、73ヶ国が国連に加盟し、そう加盟国数は191ヶ国となっています。この状況は、拡大した国連メンバーシップが安保理メンバーシップに十分に代表されているのか、我々に疑問を抱かせます。このことは安保理の正当性に関する加盟国の見方に多分に関わる問題だけに、より深刻な問題となっています。股、国際関係の性質が大きく変わってきているという事実を認識することが重要です。冷戦の終焉に伴い、我々は国際関係において東西のイデオロギーと膨大な軍事力による対立から開放された協調的な国際秩序を求めることができる一方で、これまで東西対立の下で迎えられていた潜在的な民族的、宗教的対立が顕在化してきました。このメンバーシップの増大とこれら国際関係の変化こそが安保理改革の努力が始まった背景にありました。

議長、

安保理はその使命をより効果的に果たすため、国際社会の変化に対応して改革されなければなりません。実際、作業部会での議論が始まって以降も国際社会は急速に変化し続けています。その結果、安保理が国際の平和世安全を確保する努力をする際、政治・安全保障に関する問題に加え、HIV/AIDS、女性の地位、食糧問題等の非軍事問題にも対応するケースが多くなってきています。従って、安保理は広い分野における知識と専門性が必要となってきています。テロ対策を例に取れば、安保理は国家間安全保障問題にとどまらない国内治安維持や、国際金融のような経済問題にも対処しています。動揺に安保理決議の効果的な履行を確保するためには、これら幅広い分野で安保理メンバーのみならずその他の国連加盟国の協力を得ることが不可欠となってきています。現在の安保理が、その規模と構成の点でそのような協力を得るのに適当なのかどうかは未解決の問題です。

安保理改革が実現していない結果、この急速に変革を遂げつつある世界の国際の平和と安全の分野で重要な貢献をしている国々が過去10年間、安保理の意思決定プロセスに十分参加する機会を奪われてきました。例えば日本は国連通常予算及びPKO予算の19.6%を負担しており、右は米国を除いた全ての常任理事国の分担率の合計を上回るものとなっています。財政的貢献が何にも増やして重要であるというつもりは有りませんが、このような貢献が重要であることは否定できません。国の貢献の程度に比例した形で各国が安保理の意思決定プロセスに関与しなければなりません。現在のこの状況は安保理の有効性を強化する上で望ましくないのみならず公定でもありません。

議長、

2000年のミレにアム宣言で各国首脳は包括的な安保理改革にコミットしました。我々はそのコミットメントを実現するため努力を続けなければなりません。昨年10月の総会における安保理改革の審議の際にも、多くの国が安保理改革の重要性を強調しています。そしてその中の多くの国が常任・非常任議席双方の拡大を支持しました。安保理改革で一般的合意に到達するために必要な様子が出揃っていることは明かです。だからこそ、安保理改革を進めるために総会から権限を付与されたこの作業部会が大きな進展をもたらしていないことは誠に遺憾です。

この作業部会デこれまでの堂々巡りの議論を繰り返すことは、作業部会メンバーの間のいわば「議論疲れ」につながります。必要なのは包括的改革実現に向けての新たなモメンタムと政治的な意思です。昨年の議論のたたき台となったペーパーはこの問題のあらゆる論点をカバーしていますので、このペーパーを基礎として、ステップ・パイ・ステップで実現的な包括的改革パッケージ作成に向けての作業を始めることを提案したいと思います。このコンセンサスにより決定を行う作業部会で議論の進展が期待できないことが明かとなる場合には、更なる方途を模索しなければいけないかもしれません。

日本としては貴議長の強い指導力に高く期待しております。改めて日本は可能なあらゆる方法で議長を支援していく所存であることを押し述べ、演説を終えたいと思います。

有り難うございました。