第57回国連総会における原口幸市国連代表部大使の演説(仮訳)(総会議題14:IAEAの報告)
平成14年11月11日
議長、
日本政府を代表して、声明をされ、報告を準備された国際原子力エネルギー機関(IAEA)事務局長モハンマド・エルバラダイ博士に感謝申し上げます。また、エリトリア、キルギス共和国及び、セイシェル共和国が新たにIAEAの加盟国となったことを心から歓迎いたします。
議長、
原子力の平和利用の促進は、世界のエネルギーの安定供給と環境保護に寄与するものであります。我が国は原子力の平和利用、核物質防護、核不拡散の分野で国際協力を促進し強化する上でIAEAが果たす役割を高く評価しています。我が国は唯一の被爆国として、そして長きに亘り原子力の平和利用に専心してきた国として、その豊富な経験を人類のより大きな利益のために活用していく決意です。我が国は原子力の平和利用において原子力安全の確保を最優先とし、国の内外で安全性を高めていく努力に務めています。
議長、
まず、核兵器不拡散条約(NPT)体制に対する様々な挑戦に対処するため、「追加議定書」普遍化の重要性を強調したいと思います。追加議定書は、提供される情報の幅を広げ、補完的なアクセスを行うことによって、未申告の核物質や原子力活動を明らかにするためのIAEAの検認能力を強化するものであります。このような追加議定書の普遍化に向けてのモメンタムを維持するため、我が国はIAEAと協力して、来月東京において「IAEA保障措置強化のための国際会議」を主催する予定であります。この会議は、これまで5つの地域で行われたシンポジウムやセミナーの総仕上げとしてグローバルな観点から開催されます。そして参加国は国際社会の平和と安定を保障するIAEAの保障措置の重要性を再確認し、各加盟国による追加議定書の締結を通したIAEA保障措置の強化の方途につき協議することを目的とします。
また、この点に関連し、我が国は、IAEA事務局に対し、保障措置の合理化を実現するためのみならず、追加議定書締結に対するインセンティブを与える「統合保障措置」の早期適用に対する更なる努力を求めます。
議長、
北朝鮮の核兵器開発は我が国の安全保障上の重大な問題であると共に、国際的な核不拡散上の大きな懸念となっています。小泉総理が金正日委員長と9月に会談した際発出された日朝平壌宣言で、両国は「朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連する全ての国際的合意を遵守することを確認」しました。先月クアラルンプールで開催された日朝国交正常化交渉第12回本会議において、日本は再度その懸念を詳細に表明するとともに、改めて関連する全ての国際的合意の遵守を強く求めました。
先月26日に行われた日米韓首脳会議及びAPEC首脳会議において、各首脳は北朝鮮が国際社会の一員として、より大きな参画を果たすことにより受ける潜在性に留意しました。しかしながら、議長、今や北朝鮮と国際社会との関係は、北朝鮮が核兵器開発プログラムを撤廃するために迅速かつ目に見える行動をとることにかかっています。
この点に関して、北朝鮮がIAEAとの間の保障措置協定を完全履行し、IAEAが北朝鮮の核開発の状況に関して結論を出し得るために必要な行動をとることを認めるのは極めて重要です。我が国としては、この点を引き続き強く北朝鮮に働きかける所存です。また、我が国は、IAEAが、保障措置の実施に関して協議を行うため、高いレベルの使節団を北朝鮮に派遣する、又は北朝鮮の使節団を受け入れる用意がある旨表明したことを高く評価すると共に、北朝鮮に対して、IAEAの提案に応じるよう求めます。
我が国政府によるIAEAの諸活動に対する強いコミットメントと支援を改めて申し述べ、演説を終えたいと思います。ご静聴ありがとうございました。
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