(ハイレベル委員会報告書に対するとりあえずの反応)
ブラジル、ドイツ、インド及び日本はハイレベル委員会報告書を歓迎し、相互に関連する脅威に対応するため必要な改革に関する議論に新たなモメンタムを創出したことにつき、事務総長及び委員会に対して謝意を表する。眼前に広がる脅威はその性質と規模において未曾有のものであり、必要とされる広範な議論を事務総長がこの時期に開始することは高い賞賛に値する。
我々は包括的アプローチに対する要請を支持する。国際の平和と安全に対する脅威の関連がこれほど明白になったことはかつてない。就中、我々は開発と安全が密接に関係しているとの委員会の見解に同意する。
効果的な多国間システムは、今日の世界の課題に対処するために必要不可欠である。如何なる国家であっても、地球規模の脅威からひとり身を守ることはできず、いわんや持続可能な解決策を見い出すことはできない。したがって、今後の集団安全保障及び所要の機構改革に関する共通理解が必要とされている。
こうした点に留意し、我々は、より効果的な政策のための努力及び今日の世界の現実に国連システムを適合させていくことに積極的に参画していく考えである。
委員会の提言につき詳細にコメントするためには、我々はまず報告書の検討を尽くさねばならない。現時点においては、とりあえずの所見を述べるに止めることとしたい。
我々は、委員会は適切な問題に焦点を当てたと考える。すなわち、貧困、感染症及び環境悪化を含む経済社会的脅威、国家間紛争、内戦を含む国内紛争、ジェノサイドその他の大規模な残虐行為、核・放射性・化学・生物兵器、テロリズム並びに国境を越えた組織犯罪という問題である。さらに我々は、こうした多くの課題を解決するための手段として機構改革を重視する見解を共有する。
開発問題は地球規模の安全と密接に連関している。極度の貧困及び生活状況を改善する機会の欠如によって醸成される不公正感は、多くの場合、テロリズム、社会不安、国内紛争、国家間紛争の格好の温床となる。したがって、先進国と開発途上国が協力して、開発を効果的に推進するための努力を払う必要がある。
武力行使の合法性と正統性の問題に長年にわたり多大な関心が払われてきたのには十分な理由がある。我々はパネルがこの文脈で作成した基準を慎重に検討する。
国連は加盟国の信頼と支持を必要としており、国連がそれを創出しながら機能していくためには機構改革が必須である。このことは幾つもの機関に妥当するが、最も重要なのは安全保障理事会である。
安全保障理事会における常任理事国及び非常任理事国の両カテゴリーを拡大すること及び開発途上国を両者に加えることは、同理事会の構造的欠陥を是正する。そのような提案はハイレベル委員会報告書の中でも特に注目され、安全保障理事会が今日の現実を反映することを可能にするものである。
必要な改革を実現するため、国際社会はこの好機をつかむ必要がある。これは歴史的な瞬間であり、事務総長がハイレベル委員会を設置した際に述べたように、「分岐点」である。
これらの問題の多くは長年にわたり議論されてきている。その可能な解決策、選択肢、利益、後退及び利点は良く知られている。
したがって我々は、必要とされるだけの関心をもって、恣意的に加速し又は遅延することなく行動すべきであると信ずる。現在のモメンタムを失わぬよう現時点から明年9月の首脳級会合までの時間は完全に活用されるべきである。
そのためには結果重視型の作業を計画する必要があり、すべての主要なクラスターは並行的に議論されるべきである。達成可能な成果は確保されなければならず、必要があれば投票で決められるべきである。いかなる問題も別の問題の人質になってはならない。9月の首脳級会合の前に最大限の結果を固めることによってのみ、同会合を我々が求める大きな成功とすることができる。
ピン総会議長は、総会で速やかに作業を開始し、この高度に複雑な取り組みを計画するにあたって議長を補佐するフレンズ・グループを可能な限り早期に指名するとの意向を有しており、我々はこの意向を歓迎する。
(了)
関連情報:
ハイレベル委員会報告書
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