平成23年春の叙勲において外国人叙勲者とされた,ノーマ・チャン前国連安全保障理事会部部長に対する旭日小綬章(Order of the Rising Sun, Gold Rays with Rosette)の授与が,7月26日,西田恒夫国連大使により,大使公邸にて行われました。
今回叙勲の対象となったノーマ・チャン氏は,国連安全保障理事会部における30年以上の勤務経験を通じ,国際連合の枢要な機関である安全保障理事会が有効に機能するように献身的に貢献してきました。特に,我が国をはじめとする非常任理事国におけてその職責を効果的に果たすことができるよう有用なアドバイスを行うなど,大きな力となってきました。
勲章伝達式において,西田大使は,チャン氏が安全保障理事会における非常任理事国に対して重要な支援を行い,我が国の国連における外交政策の実施への取り組みに多大な貢献をもたらしてくれたことを紹介するとともに,チャン氏が常に,国連を重視する日本外交の支援者であったことを多くの日本の外交官が感謝していることを述べつつ,同氏への祝意を表しました。
勲章の授与に引き続き、チャン氏は,今回の叙勲につき天皇陛下、日本政府関係者に対し心から感謝している旨述べるとともに、長年にわたる安全保障理事会部勤務経験を通じ、多くの日本の外交官と中東、アフリカ、アフガニスタン、旧ユーゴスラビア、そして朝鮮半島問題等の重要な問題に協力して働くことができたことは忘れがたい貴重な経験であったと述べました。
また、チャン氏は、日本が安保理における国際の平和と安定の問題だけでなく、平和構築、PKO,ミレニアム開発目標といった国連の様々な重要な課題に取り組んできたことを触れつつ、最近では東日本大震災への対応を通じ、日本の人々の互いに協力する精神、秩序だった振る舞いをはじめ、困難に直面した時に示される人々の真価にあらためて世界が感銘を受けた旨述べました。チャン氏は、日本人の力強さは「なでしこジャパン」の女子サッカー・ワールドカップ優勝によっても如実に示されたと述べました。
チャン氏はさらに、今回の叙勲は、単に自分のためのものではなく、国連における業務に従事する国連事務局の同僚への栄誉であると考えていると述べるとともに、「芙蓉の花は美しいが、その美しさを引き立たせるには緑の葉が必要である(the flower of the peony looks nice but it needs green leaves to enhance its beauty)」という中国のことわざを引きつつ、日本と国連事務局の良好な関係は、今後も丹精込めて手を入れられることで、一層育まれていくと信じていると述べました。
チャン氏は,最近でも安全保障理事会部長として、日本が安全保障理事会の非常任理事国を務めた2005年~2006年,及び2009年~2010年の際においても,長年の経験と知識に基づいた有用な助言や支援を提供し,日本の安全保障理事会における積極的な活動を支援しました。チャン氏は,国際公務員として有する中立性及び廉潔性を維持しつつ,我が国が朝鮮半島問題をはじめとする様々な重要な問題に対応し,国連を主軸とした外交政策を実施する上で,大きな貢献を果たしました。
チャン氏は2011年に安全保障理事会部長の職を退きましたが,日本政府代表部が,ニューヨークにおいて,同氏をはじめとする,多くの国連事務局関係者と築いてきた,緊密な協力関係は,今後もますます発展していくものと期待されます。今回のチャン氏に対する叙勲は、国連において、日本と協力しつつ、献身的に業務に従事する国際公務員に対する日本の感謝の気持ちと高い評価を表すものです。
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