20日午後, 西田大使は定代表部において定例記者会見を行いました。なお, 当地邦人プレスから11社11名が出席しました。
(1)冒頭発言
ア 本年の回顧と展望
(ア)本年は, シリア情勢等を通じて, 国連, 特に安保理の存在意義があらためて問われた1年となった。その中で, 我が国は様々な分野で, 存在感をアピールすべく努力をしてきた。
(イ)9月の第67回国連総会のハイレベルウイークでは、野田総理、玄葉大臣がそれぞれ2年連続のご出席となった。また,同タイミングにおいて,尖閣に関する中国外相の不適切な発言に対して、当代表部より2回に亘り答弁権を行使し、本件についての日本の立場を国際社会に明確に伝えることが出来たと考える。
(ウ)シリア情勢等を機に, 安保理改革の必要性はさらに高まっていると考える。他方残念ながら, 一向に進展しないこの問題に来年はさらに取り組む覚悟であるが,改めて全ての加盟国がより柔軟な立場で本問題に取り組めるよう, 我が国として各国に促して行きたい。
(エ)4月には, 我が国が行った大陸棚延長申請に関する大陸棚限界委員会の勧告を受領した。申請した7海域のうち6海域につき勧告が出され, 日本の国土の約8割に相当する広さの大陸棚延長が認められた。
(オ)「開発」について,述べる。
●6月の「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」での決定を踏まえ, 本格的なフォローアップが始まるところ, 我が国は積極的に参加していく。
●ポスト2015年開発目標については、事務総長のハイレベルパネルに、菅前総理が参加し,今後も積極的に貢献していく考えと聞いている。
●我が国が主導してUNDPミャンマー国別プログラムの正常化が9月の執行理事会で19年ぶりに審議され, 来1月の執行理で正式採択予定である。
(カ)防災分野では, 4月に防災をテーマとした総会討論が実施され、7月に日本が「世界防災閣僚会議in東北」を主催した。また, 2015年に我が国で「国連世界防災会議」を開催することが第2委員会では既にコンセンサス採択され, 総会でも近く採択の見込みである。
(キ)日本が積極的に関与してきた重要な決議案が, それぞれの委員会で採択された。
●9月に我が国と人間の安全保障ネットワーク(議長ヨルダン)の主導で, 人間の安全保障に関する総会決議を採択。
●11月には, 我が国が伯とともに提案した「ボランティア主流化決議」がコンセンサスで採択された。
●ミャンマー人権状況決議が, 対象国であるミャンマー自身も参加した形で初めてコンセンサスで採択された。我が国も, コンセンサス形成に向け積極的な貢献を行った。
●本日午前,国連総会の本会議において,我が国とEUが共同で提出した北朝鮮人権状況決議案が、11月27日の第3委員会に続き,コンセンサスで初めて採択された。採択自体は8年連続8回目となる。本決議が全ての国連加盟国からなる国連総会本会議でコンセンサスで採択されたことは拉致問題の早期解決を含む北朝鮮の人権状況に対して,国際社会が強い懸念を有していることを示しており,北朝鮮に対し,状況改善を求める明確なメッセージを改めて発出することになったと考える。我が国としては北朝鮮がかかる決議に示された国際社会の声を真摯に受けとめ,拉致問題の早期解決を含む,人権状況の改善,国際社会等の協力に向け具体的な行動を取るように引き続き働きかけていく考えである。
(ク)行財政分野について、述べる。
●5月に高須前国連大使が管理局長に就任され, 以後精力的に活躍されている。我が国としては、高須局長を積極的に支援し, 引き続きのご活躍に期待している。
●6月には過去10年間増加乃至横ばい傾向にあったPKO予算につき約7%の削減を実現した。我が国を始めとする主要財政貢献国が厳しく予算案を精査した結果である。
(ケ)最後に我が国が関わった選挙につきご説明する。
●11月には国連分担金委員会の渡部委員(現コロンビア大使)が再任された。来年は行財政諮問委委員会(ACABQ)選挙が予定。
●12月には国連総会で人権理事国選挙が行われ, 我が国も選出された。人権理事会では, シリアや北朝鮮などでの人権侵害などに対して強いメッセージを出すべく責務をしっかりと果たしていく。
イ 北朝鮮のミサイル発射関連
●北朝鮮を巡る様々な問題は,国際社会における大きな懸念材料となっている。北朝鮮による核・ミサイル開発,拉致問題をはじめとする人権問題等であり,これだけ政治・軍縮不拡散・人権等の幅広い分野で国際的な懸念や非難を集めている加盟国は残念ながら少ないと言わざるをえない。
今年は我が国が例年提出している核軍縮決議においても,北朝鮮による4月のミサイル発射に対する国際社会の懸念を明記した内容が,過去最多の174票の賛成票と99ヶ国の共同提案国を集めて総会で採択された。また人権決議も第三委員会及び総会,双方において,コンセンサスで採択された。
このような国連における審議・決議採択を通じ,国際社会は北朝鮮に対し,国際的なルールを遵守するように呼びかけているということを北朝鮮は然るべく理解すべきと考えている。
●そうした中で,北朝鮮は12月11日にミサイル発射を強行した。日本や韓国の要請を受け,翌12日に安保理が迅速に審議し,議長が安保理の一致した意見として,今回の発射を非難し,関連安保理決議に違反すると指摘し,安保理としての対応の必要性を述べたことはかかる強い問題意識の現れと理解している。
●現在我が国は,安保理メンバーや韓国・米国をはじめとするこの問題に関心を強く有する主要関心国とも連携しながら,4月の議長声明において自制を求められたにもかかわらず今回発射を強行した北朝鮮に対し,国際社会としての強いメッセージを発することができるように,安保理としての適切な対応を実現すべく努力している。
ウ 中東情勢
●シリアについて, 既に21ヶ月以上も暴力,弾圧が継続し, 安保理も本来の役割を果たすことな, 情勢が深刻化していることを強く懸念している。
●今月12日、マラケシュにおいて、我が国を含む130を越える国や機関の参加を得て, 「シリア・フレンズ閣僚会合」が開催された。会合の議長総括は, 「シリア国民連合」をシリア人の正統な代表(the legitimate representative of the Syrian people)として認めた。今回の会合において, 国際社会の多くの国が, 国民連合とともに, 民主的かつ多元的な新しいシリア政府の樹立に向け, 協力していくことで一致したことは, 一つの前進であると考えている。
●我が国は, これまで計1300万ドルの難民支援を実施するとともに, 11月30日には東京において制裁ワーキング・グループ会合を主催するなど, 国際社会と連携して,シリア問題に取り組んできた。我が国としては、ブラヒミ共同特別代表の努力を支えながら, シリア政府による弾圧と暴力が停止し,シリア人主導の政権移行プロセスが円滑に進むよう, 今後とも国際社会と協力していく考え。
エ 中韓との関係
●今年は, 尖閣諸島や竹島をめぐる問題をはじめとして, 中国及び韓国との間で緊張が高まった。国連の場においても関連する様々な問題に対応する必要が生じた。我が国としては, いかなる国際的な問題も, 国際法に従って平和的に解決することが重要という立場で一貫しており, 冷静に対処するとともに, 国際社会における「法の支配」の重要性を夙に強調してきた。個別の問題についての我が国の立場はあえてここでは繰り返さないが, 今後とも, 国連の場において, 我が国の基本的な立場をしっかりと主張しつつ, かつ冷静に対処していきたい。
●なお, 直近の動きについて一言付言すれば, 国連事務局海事・海洋法部のウェブサイトによれば, 12月14日, 中国は、東シナ海における自国の大陸棚延長申請を大陸棚限界委員会に提出した。
●政府としては, まずは中国政府の申請内容を精査, 検討した上で, 今後適切に対応していく。
(2)質疑応答
(問)北朝鮮人権状況に関する国連総会の決議について,8年8回目で今回初めてのコンセンサスで採択されたが,今までとの意味合いが違ってくるか。
(答)第3委員会でも同じくコンセンサスで採択をされた時にも述べたが,これまでは数年に亘り,同種の決議案を提出してきた。毎回投票に行き,我が国としては,多数の同じような考えを持つ国々に支えられ,決議案を成功裡に通してきたところである。そのような中で,分析をすれば,支持者の数が増え,反対者の数が減り,棄権する国も増減している。基本的に言えば,EUと共同提案しているが,我が国の考えに共鳴し,これを強く支持してくれる加盟国が増えてきたことは, 非常に明らかな趨勢であった。この趨勢を背景に,今回北朝鮮はあえて投票を要求しなかったということであろう。我々は北朝鮮がこのような国連における大きな流れを踏まえて,国連の場で投票によって自らの立場を正当化することはもはやできないという判断に至ったものと考えている。この意味に置いて,これまでの蓄積した努力が1つの大きな展開を遂げたものと理解している。
(問)北朝鮮のミサイルの発射について。北朝鮮は,これまでの安保理の決議や議長声明を無視する行動,拉致問題や人権問題についても, 北朝鮮は明示的に拒否すると述べており,国際社会を無視する態度をとり続けている。これに対し,今後日本が国連と共にどのように働きかけを行っていけばこの状況を打破することができると考えるか如何。
(答)本件については、短期的,また長期的に考えていく必要がある。国連の場などで,明らかになっていることは,北朝鮮の孤立が益々進んでいるということであり,同時にそれが国際社会の懸念を強めている。孤立が進み、極めて閉鎖的である北朝鮮に対して,どのような働きかけを行っていくことが,地域及び国際社会にとって適当であるかが議論されてきている。この1年で北朝鮮の孤立は非常に明らかになっており,この事象を踏まえて,今後国際社会として,短期あるいは長期としていかなる対応が適当であるかをさらに真剣に議論を深めていくということとなるだろう。今回のミサイル(発射への対応)で短期的に言えば,まさに安保理でいかなる対応を取るのかが焦点となっており,日本も含めて,日米韓あるいは同じ考えを共にする安保理メンバーと連携を高め,中国と話をしているが,残念ながら発射から今に至るまで,中国との間で適切な対話がなされていないという状況である。我々はこのような対応が短期的には正しいと考えており,長い目で見て,どのような取り組みを行っていくのか,対話を再構築するのか,あるいは彼らが国際社会の平和と安全のために,これを害している状況を1日も早く止めされることができるかという議論を同時並行的に行っていくということとなるだろう。当地ニューヨークにおいては,当然ながら安保理が適切に対応するよう,注力している状況にある。
(問)中国との話で適切な対話ができていないということか。
(答)自分が述べたのは,日米韓の考えている安保理の適切な対応と,中国の考える対応に食い違いがあるということである。従ってその間において議論が成り立っていないということである。
(問)そのような状況の中で,ミサイルを発射した当日は非難で一致という「プレス・エレメンツ」が出たが,その後のアクションが取れていないことに対する問題,安保理としての対応に時間がかかればかかるほど,北朝鮮に対しての最初のメッセージが弱くなるのではとの懸念があるが,右について如何。
(答)一般論で述べれば,的確な対応が早くなされることがよいことは言うまでもない。タイミング,フォーマット,サブスタンス等々,幾つかの要素を如何に組み込んで全体としてより良い,強いメッセージを安保理として出せるかということに努力していると理解してもらえばと思う。
(問)昨日,イスラエルの占領下の入植地問題について,事務総長を含め安保理のアメリカを除く14理事国が非難する声明を出しているが,この問題に関して,今後日本政府としての対応如何。
(答)従来からイスラエルが一方的に入植地を拡大していくことは国際法上違反であるという立場は,あらゆる場を使って明確に表明してきている。今回の措置は,日本の立場としても,非常に残念なことである。現在日本は安保理ではなく,安保理の審議の延長線上としてステークアウトということはやっていないが,質問の趣旨に答えるとすれば,日本として,新たな入植地を拡大していくということは,非難されるべきものと考えている。
(問)北朝鮮について,先程,安保理が強いメッセージを出すべきであるとのことだが,(今回の)発射直後に大使が,4月の議長声明以上のもの(強いメッセージ)という言い方をされたが,現在も同じような考え方か。また韓国あるいは米国との意見も同じと言えるか。
(答)4月の対応以上のものという基本的な立場に変化はない。また,このような基本的な考え方については,日米韓では全く一致している。いかなる意味においてもすれ違い,行き違いというのは全くあるとは思っていない。 |