西田大使定例記者会見(11月)

2012年11月21日

21日午後、西田大使は、代表部において定例記者会見を行いました。なお、当地邦人プレスから11社12名が出席しました。


(1)冒頭発言
ア ガザ情勢
・両当時者間で停戦の合意ができた旨発表がなされ、当地時間午後2時頃より発効されたと承知している。日本政府としてはこれを歓迎し、エジプト政府を始めとする関係者の努力を賞賛したい。これからは、イスラエル、パレスチナの武装勢力の相互間での停戦が継続されるよう、国際社会とともに引き続き日本政府としても、これを後押しながら協力していきたいと考えている。なお、昨日、玄葉外務大臣がイスラエル及びパレスチナそれぞれのカウンターパートと電話会談を行っている。

 

イ 平和構築委員会(PBC)教訓作業部会の開催
・本日午前,安保理と平和構築委員会(PBC)との関係というテーマの下、我が国が議長を務めるPBC教訓作業部会を開催した。同テーマは,我が国が昨年よりイニシアティブをとって推し進めてきたテーマである。昨年12月,教訓作業部会で初めて本件を取り上げて以来、本年7月には安保理公開討論及び非公開討論、さらに9月にはPBC組織委員会が開催されるなど、議論が大きな前進を見せている。本日の会合では、内容について深く踏み込んだ議論を行うことを目的とし、国連ミッションの移行プロセスにおけるPBCの役割とは何かという具体的な切り口から、安保理とPBCとの関係を考えることを試みたものである。
・本日の会合の一番の結論は、PBCの比較優位は、国連ミッション移行後の仕事を担うことになる開発アクターの準備状況や視点を安保理に還元できる、すなわち、「平和と安全」と「開発」との間に存在する構造的ギャップをブリッジングするというものであった。今後のPBCの活動の方向性を明確化することに貢献したものと考えている。

 

ウ 東京でのPKOセミナーの開催について
・11月5日(月)、東京の国連大学において外務省及び国連広報センターの共催で『国連と日本のPKO年―新たな課題への対応―』と題するシンポジウムが開催された。当地からは、国連PKO局のエルベ・ラドゥスス局長に同シンポジウムに御参加頂いた。自分もパネリストの一人として参加した。
・同シンポジウムは、我が国のPKO活動の開始から20年であると同時に、国連PKO局設立から20年である節目の年である機会であり、国連PKOの20年の歩みを振り返りながら、これからのPKOの在り方について議論すべく開催されたものであった。
・シンポジウムでは、ラドゥスス局長より、これまでの我が国の貢献、特に自衛隊が行ってきた施設活動などの高機能・高付加価値の活動、財政面での貢献、国連PKO改革におけるNYでの議論に対する貢献を評価する旨の発言があった。加えて、施設、医療、航空、司令部要員、警察官等、質の高い機能と能力が求められる分野での我が国の更なる貢献への期待が示された。
・自分からは、国連PKOの役割が平和構築・国造りにまで広がっている中で、まさに質の高い貢献が重要であり、自衛隊の施設部隊等に加え、幅広い文民部門の専門的能力を含めたオールジャパンで資源を投入し、我が国の持てる力を最大限に活かす形で貢献していくべきである主旨を述べた。

 

エ バチェレUNWOMEN事務局長訪日
・11月11日(日)~14日(水)まで、ミチェル・バチェレUN Women事務局長が訪日した。
・チリ史上初の女性大統領という経歴を有するバチェレ氏は、2011年1月に正式発足した最も新しい国連機関であるUN Womenの初代事務局長に大きな期待を背負って就任された方である。
・国連では、事務総長の掲げる主要5課題の1つが「女性と若者」であり,今次総会開会式でも事務総長・新総会議長ともに、優先事項としてジェンダー問題に言及している。あらゆる場においてジェンダー問題に注意が払われている。また女性の地位向上とエンパワーメントは、「新成長戦略」にもつながる我が国国内の問題でもある。
・かかる中、今次訪日中には、野田総理、玄葉大臣、中塚内閣府特命担当大臣(昼食会)、榛葉副大臣(夕食会)、「開発と女性」UNウィメン議連などの政治ハイレベルとの接点を設けた他、経済同友会との会合、内閣府主催市民社会との対話、女性に対する暴力根絶運動に関連した東京タワー点灯式、日本記者クラブ主催記者会見などが実施された。

 

オ 軍縮・不拡散に関する国連第一委員会の結果
・軍縮不拡散問題を扱う国連第1委員会が10月8日から11月7日までの期間開催された。途中、ハリケーン・サンディーの影響などもあり審議が中断したが、審議及び決議案の採択を終えて終了した。59本の決議が12月初旬にも開催が予定される総会にて採択される段取りとなっている。
・今年の注目点は、我が国が例年提出している核軍縮決議や来年3月に交渉を再開する武器貿易条約(ATT)決議などがあった。
・武器貿易条約(ATT)決議案については、我が国は2006年に国連にて同条約案を交渉することに合意した、日本、英国、豪州、アルゼンチンなどの原共同提案国が中心となって、各国の支持を集めた結果、100ヶ国以上が共同提案国となり、157ヶ国の賛成を得て採択することができた。来年3月の交渉にてATTが無事に成立するよう、我が国としては引き続き努力を尽くしていく所存である。

 

カ 核軍縮決議
・日本が主導する核軍縮決議は、1994年の提出以降毎年圧倒的多数の国々の支持を受けている。提出後19年目となる本年の決議は、2015年のNPT運用検討会議を見据え,2010年の運用検討会議で合意された行動計画の内容を着実に実施していくことを訴えたものである。決議は賛成159票、反対1(北朝鮮)、棄権12(イスラエル、イラン、インド、キューバ、シリア、中国、パキスタン等)の圧倒的多数をもって採択された。

 

キ 北朝鮮人権状況決議
・11月9日(当地時間)、我が国は、EUと共同で主提案国として、北朝鮮人権状況決議案を国連総会第3委員会に提出した。
・北朝鮮の人権状況に改善が見られないこと、また、拉致問題にもいまだ進展がないことは極めて遺憾であり、本年の決議は、指導者の交代にもかかわらず人権状況に改善が見られない点への懸念を表明する文言を盛り込んだ。また、拉致問題に関しては、日朝平壌宣言10周年であることも踏まえ、昨年の深い懸念を「表明する」から「強調する」に変更し、懸念の表現をさらに強めることとした。我が国としては、本件決議案の採択により、拉致問題の早期解決を含め、北朝鮮の人権状況の改善に向け、国際社会が一致して明確なメッセージを発出することを期待している。

 

ク 人権理選挙結果
・12日、国連総会において、人権理事会理事国選挙が行われ、我が国は182票の支持を得て、理事国に選出された。今回の選出により、2013年1月1日から3年間、3期目の理事国を務めることになる。この結果は、多くの国が世界の人権促進に対する日本の貢献への期待と信頼の表れと理解している。シリアや北朝鮮の人権侵害など、人権理事会が深刻な人権侵害に対し一連の行動を取り、国際社会としての強いメッセージを発出していくことが重要である。理事国としての責務をしっかりと果たしていく。

 

ケ 分担率及び予算
・今年は3年に1度の国連分担率交渉の年である。我が国としては、基本的に支払い能力の原則に従い、各国にとって分担率が公平なものとなるよう、積極的に交渉に参加。
・また、今年は、職員の異動(モビリティ)促進施策についても審議が行われるところ我が国としては、その内容をよく精査し対応していきたい。

 

 

(2)質疑応答
(問)29日にパレスチナが提出する予定のオブザーバー国・ステータスの総会決議案について、日本としての対応如何。
(答)29日に投票に付すという意向をもって決議案が配られたが、同時に決議案の内容は随時変化しており、最終的な決議案が完成したとは承知していない。最終的なテキストを見て判断する。


(問)先日、総会本会議の安保理改革での議論において、来年ハイレベル会合を実施してほしい旨日本が主張したと承知をしているが、具体的な提案や日本がホストする等の想定はあるのか。
(答)基本的な文脈としては、本件議題を前期(第66回総会)から今期(第67回総会)に引き継ぐにあたり口頭の決定がなされている。これは、前期の政府間交渉の議長であったアフガニスタンのタニン大使が発出した書簡の中で、ハイレベル会合が具体的な提案の1つとして触れられている。これを踏まえ、我が国としては、このような考え方に関して前向きに受けとめ、条件が整った際に、日本としては協力して参りたいという主旨を述べたものである。


(問)分担率について、日本としては各国公平になるようなことに重点を置き議論を進めたいと伺ったが、日本としては既存の分担率について他国と比べ負担が大きいため、本年の交渉で下げる方向にいくのか、日本としての見通し如何。
(答)日本は、多くの国によって共有されているが、加盟国の支払能力に準じた形で支払うべきだと考えている。具体的には、新たな新興経済国もあるので、経済の発展に従って、応分の対応をすることが好ましいと考えている。これ以外にも複雑な方程式をもって計算された上で分担率が出てくるわけであるが、適切なレビューを行っていく必要がある。日本が払いすぎていると述べたことはない。


(問)カザの停戦について、今回エジプトの仲介により停戦に結び付いたわけだが、過去のパレスチナ‐イスラエル紛争と比べて、特にアラブの春を経験した後の地域の力関係において、今回はエジプトが主導して、アメリカは少し後退した印象だが、これについて大使の意見如何。
(答)アラブの春により、エジプトではムバラクが退陣し、新たな政治勢力が政権をとることになった。この新政権が外交的にどのように対応するのかということについて、国際社会は強い関心を持って見守ってきた。今回、この新政権は、停戦という国際的努力の中で、非常に積極的な役割を果たしたことは極めて好ましい。そもそも、エジプトはアラブ世界のリーダー。また、中東和平問題においては、常にイスラエルとエジプトが中心となってこれまでの枠組みを作ってきたという経緯がある。エジプトが大きな役割を果たすことは特段新しいことではないが、新政権となってもエジプトが引き続き大きな役割を担ったということが注目されたということである。


(問)ガザで停戦合意されたが、日本の中東和平担当特使は予定通りエルサレムに向かうのか。
(答)昨日、玄葉大臣が飯村特使を現地に派遣すると発表したところまでしか承知していない。その後の具体的な詳細については承知していない。


(問)最近、パレスチナ問題が世界の注目を集めているが、国連に於いてシリア情勢との関連で懸念されることはゴラン高原の治安の問題と思うが、現状如何。
(答)シリア情勢の影響を受けた形でゴラン高原の治安問題については大きな関心を持っている。国連事務局、具体的にはDPKO等とは緊密に連絡を取り合って意見・情報交換している。一般的な印象として、状況は悪い方向に向かっている。現地はもちろんのこと、引き続き国連との間の協力を強め、然るべく対応したい。


(問)関連した質問だが、然るべく対応というのは、将来の状況次第でPKOの撤退も読んでいるということなのか。
(答)そこまでのことは申し上げていないが、治安情勢について通常より大きな関心を持っており、国連との協議は頻繁にやっている。(了)