11日(木)、西田大使は、代表部において定例記者会見を行いました。当地邦人プレスから計8名が出席しました。
1.冒頭発言
(1)国連総会の成果
【野田総理の第67回国連総会出席】
・野田総理は,9月24日(月曜日)から26日(水曜日)まで,第67回国連総会出席のためニューヨークを訪問した。
・総理の一般討論演説では,複雑化する国際社会の諸問題の解決に向けて,(1)「未来」を慮る能力,(2)地球を俯瞰する視点,(3)紛争をルールに基づいて理性的に処理するという作法,という人類の三つの叡智を活用し,直面する課題を現在の世代で解決すべきこと,そのために日本が貢献していくことを世界各国の指導者に伝えた。また,今次総会の主要テーマの一つである「法の支配」については,日本はいかなる場合においても,国際法に則って紛争を平和的に解決するという国際社会の原則を堅持していくこと,国際社会における法の支配の強化に向けて貢献していくことを訴えた。
・滞在中,野田総理はギラード豪首相,ユドヨノ・インドネシア大統領,エルベグドルジ・モンゴル大統領,サントス・コロンビア大統領,ムルスィー・エジプト大統領,イェレミッチ第67回国連総会議長,潘基文国連事務総長との会談を行った。イェレミッチ国連総会議長との会談では、国連の諸課題についての協力で一致し、同議長は2015年に本邦で開催予定の国連防災会議に対する支持を表明するとともに、安保理改革などでも日本との緊密な連絡をしていく旨の発言があった。総理からは安保理改革、日中関係などに関する我が国の立場を説明した。また、国連事務総長との会談では、先方よりPKO、TICADⅤ、防災分野への日本の貢献に対する謝意表明があり、総理からは「法の支配」に対する我が国の立場、現下の日中関係などを説明した。
・また野田総理は「人間の安全保障」をテーマとしたレセプションを主催し、国連が経済・金融危機、環境破壊等様々な諸課題への対応に向けその真価が問われる中、人間一人ひとりに着目し、その保護、能力強化を通じて、人づくり、社会作りをする考えを共有するとともに、その取り組みをさらに強化していくべきと主張した。
【玄葉外務大臣の第67回国連総会出席】
・玄葉外務大臣は,9月24日(月曜日)から28日(金曜日)まで,第67回国連総会出席のためニューヨークを訪問した。
・滞在中,玄葉大臣は,米国,ロシア,中国,英国,韓国,イラン,ウクライナと外相会談を実施した他,太平洋同盟加盟4カ国との外相会合及び日米韓外相会合に出席した。それぞれとの二国間関係等に関する意見交換に加え,日中関係に関する我が国の立場を第3国に対してもしっかりと説明し,理解を求めた。
・また,玄葉外務大臣は,ポストMDGsサイドイベントを主催するとともに、議長を務め、ハイレベルパネルのメンバーと市民社会や民間セクター,研究者,若者等が対話し、ポストMDGs策定のための有意義な意見交換を行う場を提供した。また軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)第5回外相会合及び第6回包括的核実験禁止条約(CTBT)フレンズ外相会合の共同議長を務めたほか,安保理改革に関するG4外相会合,ポリオ撲滅に関するハイレベル会合等各種会合に出席した。加えて,法の支配に関するサイドイベントでは、玄葉大臣より腐敗防止に引き続き取り組んでいく旨の発言があった。さらに国連史上初の「法の支配」をテーマとするハイレベル会合が開催され、玄葉大臣からは「法の支配」の発展の重要性やICJの強制管轄権の受諾等を求めた演説がなされた。
・一般討論演説における中国外相の尖閣諸島に関する発言(9月27日)は全く受け入れられず、兒玉大使が2回の答弁権を行使し、我が国の立場を明確に述べた。本件については、後ほど詳しく説明する。なお,韓国については,金外交通商部長官は,一般論としての戦時下の性的暴力への取り組みの重要性を強調する発言を行った。法の支配の重要性を強調した野田総理の一般討論演説に対するものも含め,韓国との間で答弁権のやりとりがなかったことはご承知のとおりである。
【菅前総理のポスト2015年開発目標に関するハイレベルパネル第1回会合への出席】
・菅前総理は、ポスト2015年開発目標に関するハイレベルパネルのメンバーとして、9月24日(月曜日)~26日(水曜日)までNYを訪問し、このハイレベルパネルの第1回会合に出席した。右会合では菅前総理は活発な議論に貢献した。11月には第2回会合がロンドンで開催される予定。
今回は、野田総理、玄葉大臣にとって2年連続での国連総会出席となった。このため野田総理、玄葉大臣のそれぞれより、国連の直面する諸課題に対する日本の取り組みにつき効果的なメッセージの発信がなされたともの理解する。
(2)日中関係
【尖閣諸島を巡る国連でのやりとり】
・9月27日,国連総会一般討論演説において,中国(注:楊潔チ中国外交部長)が,尖閣諸島に関し,日清戦争中に日本が窃取した,日本政府による尖閣諸島購入は完全に不法かつ無効であるとの発言を行ったため,我が国として答弁権を行使し,かかる中国の主張に反論を行った。
・尖閣諸島が我が国の固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も疑いがなく、現に我が国はこれを有効に支配している。中国の主張はあらゆる意味において根拠がない。尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しないからである。
・日中関係は我が国にとって最も重要な二国間関係の一つであり,アジア太平洋地域の安定と繁栄のためには,中国の建設的な役割が不可欠。尖閣諸島を巡る事態が日中関係全般に影響を与えることは我が国では望んでおらず,大局的観点から,日中両国の「戦略的互恵関係」を深化させるとともに,地域の安定した秩序作りに向けた協力を深めていくことが重要というのが我が国の立場である。
・尖閣諸島が我が国の固有の領土であることは,歴史的にも国際法上も疑いがなく,現に我が国はこれを有効に支配しているという点については,引き続き国際社会に対して明確にしていく努力を続ける考えである。
【中国による領海基線を記した海図の国連への提出】
・中国が尖閣諸島周辺に独自に定めた領海基線を示す海図などの関連文書を国連に提出し、これが9月21日(金)に国連海事・海洋法部のウェブサイトに掲載されたことを受け、24日(月)に当代表部から我が国の立場を記した同口上書を国連事務局宛に発出した。
・口上書においては、尖閣諸島が我が国固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いのないところであること、今般の中国の一方的な行為は国連海洋法条約を含む国際法上何ら根拠のないものであること等を明記した。
・なお、海図などの国連に対する寄託は、国連海洋法条約上沿岸国が設定した領海基線を公表し、広く締約国間で情報を共有する趣旨で行われるものであり、国連で審査されたり、何らかの判断が行われたりするものではない。いずれにせよ、中国が、我が国固有の領土である尖閣諸島に領海基線を設定することができないことは明らかであり、我が国の領有権に何ら影響を生ずるものではない。
(3) 第一委員会の開催など
10月8日から11月8日の日程で軍縮不拡散問題を扱う第一委員会が開催されている。今会期においては、我が国が主導して提案している核軍縮決議以外にも、武器貿易条約の交渉再開のための決議案等が審議される予定であり、例年にも増して重要な会期となることが予想される。我が国は、軍縮不拡散教育にも力を入れており、今年は通常兵器分野での教育の重要性につき各国の理解を高めるためのサイドイベントの開催も予定している。今年の第一委員会の審議の重要な分野等については、現在,ジュネーブ軍縮代表部から交渉のために関係者が当地に出張している。当地来訪中の天野軍縮代表部大使による記者ブリーフィングが明日12日(金)15:00~16:00に行われる予定と承知している。
2.質疑応答
(問)野田総理は国連総会議長との会談を行ったとのことだが,所信表明演説,その他を聞く限り,ナスル前総会議長と比べ,安保理改革に関する姿勢についての言及が少なく感じたが,評価如何。
(答)新しい総会議長が就任してまだ間もないため,前総会議長との対比において,より熱心であるかについて判断するのは適切ではない。先に紹介した,野田総理とイェレミッチ国連総会議長との会談においても,野田総理よりこの件について発言を行った。また,同議長からは,安保理改革を含む国連の改革には,自分としても最重要視しているとの趣旨の発言がなされた。
(問)第三委員会における北朝鮮の人権問題如何。
(答)北朝鮮の人権問題の極めて深刻な状況について,毎年,第三委員会の場を通じて,決議案という形で国連の司法面,考え方を評価してきているが,残念ながら,この1年を通じ,北朝鮮の人権状況について,拉致問題を含めて改善が見られたとは考えていない。この状況を踏まえ,今会期においても今まで同様,同じ趣旨の決議案提出を考えている。
(問)第三委員会おいて,従軍慰安婦問題について韓国から提起があるのではないかとも伝え聞いているが,右状況如何。
(答)報道については承知している。これまでも第三委員会等の場において,本件に関して,韓国側から多様な発言があった。右を踏まえ,日本側の本件に関する考え方を踏まえた上で,適切に対応すべきと考えている。(了)
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